注目映画紹介:「思秋期」 中年の男女の出会い 愛には人を救う力が備わっていることを思い知る

(C)CHANNEL FOUR TELEVISION/UK FILM COUNCIL/EM MEDIA/OPTIMUM RELEASING/WARP X/INFLAMMABLE FILMS
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 「マイネーム・イズ・ジョー」(98年)や、最近では「戦火の馬」(12年)などに出演したピーター・ミュランさん主演のヒューマン作「思秋期」が20日に公開された。監督は、「ボーン・アルティメイタム」(07年)や「ブリッツ」(11年)などに俳優として出演するパディ・コンシダインさん。脚本も自ら手掛けている。監督としては、短編で英国アカデミー賞で受賞するなどしているが、長編映画の製作は今作が初めて。その今作で、サンダンス映画祭での監督賞、審査員特別賞受賞、英国アカデミー賞では新人作品賞に輝いている。

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 失業中で男やもめのジョセフ(ミュランさん)は、酒を飲んでは大暴れし、周囲に迷惑をかけていた。そんな彼があるときチャリティーショップで働くハンナ(オリビア・コールマンさん)に出会った。富裕層が暮らす地域に住んでいるハンナに反発を覚えながら、自分のために祈ってくれた彼女と打ち解けていくジョセフ。しかしハンナにも人にいえない事情があり……。

 原題は「ティラノサウルス」という恐竜の名だ。その理由は本編を見ていただくとして、「思春期」といえば、若者のキラキラした甘酸っぱい感情をイメージする。一方の「思秋期」は、人生も熟年期に差しかかり、だからこそかもし出せるしっとりとした情感をイメージさせる。まさにその年齢に達した中年男女が主人公。幸せではない環境にいる2人が出会い、ささやかな幸せを見つけていく。「あこがれの監督はケン・ローチ」とコンシダインさん自身が語るように、端々にローチ監督のにおいを感じることができる。それはすなわち、社会の底辺で暮らす市井の人々を優しいまなざしで切り取り続ける社会派、ヒューマン作品の監督としてだ。この映画によって私たちは、愛には人を救う力が備わっていることを、改めて思い知るだろう。20日から新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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