ステファニー・メイヤーさんが05年に発表した小説が原作で、08年からスタートした映画「トワイライト」シリーズ。バンパイア族とオオカミ族の因縁の対決を背景に、人間の少女とバンパイアの禁断の恋が、これまで4作にわたって描かれてきた。そして、そのシリーズが、いよいよこの「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンPart2」で決着する。1作目からヒロイン、ベラ・スワンを演じてきたクリステン・スチュワートさんが、PRのために来日し、インタビューに応じた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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前作「ブレイキング・ドーンPart1」で、ついにバンパイアのエドワード・カレン(ロバート・パティンソンさん)と結婚し、自らもバンパイアとなり、カレン家に加わったベラ。2人の間にレネズミ(マッケンジー・フォイさん)という娘も生まれ、幸福な生活が待ち受けているはずだった。ところが、バンパイアの王族ヴォルトゥーリ族が、レネズミをバンパイアを滅ぼす“不滅の子”と判断したことで、レネズミはもとより、カレン家が狙われることに。エドワードをはじめとするカレン家のメンバーは、世界中のバンパイアを招集、さらに、オオカミ族にも協力を請い、ヴォルトゥーリ族との最終決戦に挑んでいく……というのが今作のあらすじだ。
このシリーズ5作目で、ベラはついにバンパイア化する。だからといって特別な役作りは必要なかった。なぜなら「私は過去の4本で“人間ベラ”を知り尽くしているから」。だからこそ、「バンパイアになったときのベラが、ただ赤い目をした白い肌の速く動けるだけの存在ではなく、そうしたバンパイア的特徴を持つ以上に、彼女の特質をうまく演じられたと思う」と胸を張る。
今回初めてアクションにも挑んだ。前4作までは「みんながアクションやスタントをしているときでも、私一人、守られてばかりだった」。そうした物足りなさは「今回、私自身が走ったり、ジャンプしたりといったスタントにチャレンジできた」ことで払拭(ふっしょく)できた。ちなみに、スチュワートさんが見どころに挙げたアクションシーンは、映画の序盤に出てくる、森の中での狩りのシーンだ。
ところで、このシリーズは1作目の「トワイライト~初恋」のキャサリン・ハードウィックさんにはじまり、2作目「ニュームーン」のクリス・ワイツさん、3作目「エクリプス」のデビッド・スレイドさんと、これまで3人の監督がメガホンをとり、それぞれ個性を発揮してきた。そしてシリーズ最終章となる今作は、前作「ブレイキング・ドーンPart1」に続き、「シカゴ」の脚本や「ドリームガールズ」の監督・脚本などで知られるビル・コンドンさんがメガホンをとった。
そのコンドンさんの演出について、スチュワートさんは「とにかくロマンチックで、女の子が大好きな味付け」と語る。ともすれば少女趣味が過ぎて「周囲からは、ちょっとクサいんじゃない? (映画の)広報の人も、もっと新しく、クールな感じでと注文をつけたらしいけど、それでは『トワイライト』ではないのね。『トワイライト』というのは、ラブストーリーをきっちり受け止めて描くことが大切で、それをビル(・コンドン監督)は心得ていた。だからこそ、原作が持つロマンチシズムにしっかり目を向け、キャラクターたちの関係や恋愛の部分を、とても美しく描いてくれたと思う」とコンドン監督の手腕をたたえた。
シリーズ1作目に出演したのは、スチュワートさんが17歳のとき。それから22歳まで、ベラという一人の女性を演じ続けてきた。ベラ役と5年間付き合ったことで、自分がどう成長したかを答えるのは難しい。でも「演技というものが自分には価値あるもので、愛しているという自覚ができた」。また「感受性が強くなる年代に、この5作品が重なったことは、私自身、よかったと思うし、自信も得られた」という。その一方で、自分の行動や発言に対して周囲から意見されるなどの「試練も与えられた」。それによって、「感受性はより強くなり、目盛りは目いっぱいのところまできているけれど、それでも女優をやり続けたいと思う」と、まっすぐなまなざしで答えた。
クールな外見とは裏腹に、スチュワートさんの口から出てくる言葉は終始熱かった。「演じていて満足感があった」と語るベラとは、今作をもってお別れとなる。ファンには寂しい限りだが、だからこそ最後の姿をスクリーンで見届けてほしい。映画は28日から全国公開中。
<プロフィル>
1990年、米カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。02年、「パニック・ルーム」でジョディ・フォスターさんの娘役を演じ、注目される。05年の「ザスーラ」、07年の「イントゥ・ザ・ワイルド」などをへて、08年の「トワイライト~初恋~」をはじめとする「トワイライト」シリーズでヒロイン、ベラ・スワンを演じ、一躍スターダムに。ほかの出演、主演作に「イエロー・ハンカチーフ」(08年)、「ランナウェイズ」(10年)、「スノーホワイト」(12年)などがある。
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