ブック質問状:「憤死」 新しい綿矢りさに会える! 表紙は可愛いが中は黒い

綿矢りささんの「憤死」(河出書房新社)
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綿矢りささんの「憤死」(河出書房新社)

 話題の書籍の魅力を担当編集者が語る「ブック質問状」。今回は、綿矢りささんの「憤死」(河出書房新社)です。河出書房新社の担当編集に作品の魅力を聞きました。

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 −−この作品の魅力は?

 この本の魅力はなんといっても、綿矢さんが初めて書いた連作短編集だということ。子どものころに経験した奇妙で不思議な出来事が共通して描かれているのですが、怖い話あり、笑える話ありと、まさに綿矢さんのさまざまな魅力が一冊で味わえる作品集なんです。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 綿矢さんはデビューのころから、インタビューで好きな作家について聞かれると、スティーブン・キングって答えていました。自分もいつかは背筋がゾクッとするようなホラーテイストの作品を書いてみたいと。でもまさか今回、それが実現するとは思ってもいませんでした。ホラーと恋愛小説が好きと公言していらっしゃいますが、短編集だけに、ともかく綿矢さんの好きなものが詰まっている感じです。

 −−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。

 「おとな」という作品から始まるのですが、この超短編を冒頭に置こうというアイデアは綿矢さんからいただきました。子どものころに見た夢の真相に、大人になってからふと気づくというちょっと怖いお話なんです。まるで作家から読者へ送った招待状のようで、いきなりこの本の世界に引きずり込まれる。そのうえ、主人公が“りさちゃん”という名前なので、「これは本当の話ですか?」って、実は問い合わせもあるくらいなんです(笑い)。

 −−最後に読者へ一言お願いします。

 「表紙はピンクで可愛いけれど、中は黒い!」って、ご自身もおっしゃるくらい、新しい綿矢さんに出会える本です。

 河出書房新社 担当編集

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