ぴなメイドな生活:人間交差点的メイドカフェ

 
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 みなさまこんにちは! 今年で10周年を迎える秋葉原のメイドカフェぴなふぉあの元メイド、元気たっぷりみかんです! こちらのコラムでは何度目かのこんにちはですね。はじめましての方もぜひお見知りおきください。

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 なんとですね、このたびみかんはメイドカフェぴなふぉあを卒業いたしました! なので、卒業生として、メイドの世界を振り返っていきたいと思います。

 私のメイド人生は長く、ぴなふぉあ以外も含めて10年近く秋葉原で過ごしてきました。「今は決まった方にはお仕えしていないけれど、卒業をする時はたった一人のためにお仕えする時です」と言いながらメイド人生をすごしてきた私。要約すれば「お嫁に行くときになったら辞めます!」ってことですね。

 卒業の発表があった時には「おめでとう!」とか「幸せになってね!」などとお祝いの言葉をいただいたものですが、実際は体の不調でした……お祝いの言葉をくださったみなさま、本当に申し訳ありません!!!

 でもみんな信じてくれなかったじゃないですか……! うぁーん!! 体の不調とは言いつつも、大事をとって様子を見る、という形をとっただけですのでご心配はいりません。今は、ぴなふぉあの裏方として妖精さんとして日々がんばっております。

 今回はとても印象に残っているお客様のお話です。

 そのお客様は見た目がとても怖い人でした(失礼!) 背丈が高く、体つきもがっちりしていて、まったく笑いません。服装はスーツだったのですが、仕事は終わったはずなのにネクタイもゆるめず、キチンとしていました。

 話しかけても笑わずに最初は「なんでこの人、メイド喫茶にきたの? 機嫌悪いの? 笑わないしこわい! なんか怒られる!!」と思っていました。とうとうその日、その方は一度も笑わずにお店を後にしました。

 そしてその方はその後もお店に来てくださいました。しかし初めてお会いしたその日から、怖い印象を持ってしまった私。

 一応話しかけには行くものの「今日は良いお天気ですねー」「そうですね」。会話が……、続かない……。

 それでもその方は、何度もお店に来てくださいました。「今日は良いお天気ですねー」「そうですね」。やっぱり会話は続きません。

 それでも何度もお顔を拝見しているうちに恐怖心なく、話しかけに行けるようになりました。やっぱり会話はお天気の話くらいなんですけどw

 「そうですね」と返事をしてくれるのだから、聞いてはくれているんだなと考えてました。なんてポジティブwww だって、会話の後の空気がおだやかなんです。寄ってくるな、みたいないやな空気じゃなかったのです。

 そして、ポジティブで当たっていました。その方はすごい人見知りだったのです。ぼんやりとしか覚えていないのですが、確か勇気を持ってお天気以外の話をした気がします。その方とはいろいろな話ができるようになりました。すごい人見知りなこと、見た目が怖いせいで、怖い人だと思われていること。本当は結構小心者なこと、出されたご飯は残さないこと……。

 いちばんツボだったのは、かわいいものが好きだということw そんなに大きな身体をしてwwwニャンコ先生可愛いとか言うwwwww そしてすごく優しく、思いやりのある方だということ。

 そしてその方は転職をして忙しくなってしまい、なかなか会える機会が減ってしまいました。それでも忙しい中でも時間をみつけてはご来店くださり、お顔を見られると、ホッとしました。その方がより良い人生を歩んでいくために応援しました。

 卒業式にも来てくださり、今でも時々ブログにコメントを残してくれます。がんばっているんだなあ、私もがんばらなくちゃなんて、こちらも元気をもらえます。

 当時20歳程度の小娘だったわたし。人は見た目で判断してはいけませんね。言葉としては分かっていても、体験したのは初めてだったと思います。詐欺師が詐欺師みたいだったら、誰もだまされませんもんね! こわい見た目をしていても、優しい人もいるのです。

 お店を辞めれば、会えなくなってしまう。けれどひとつひとつのやりとりは、普通のお店の店員さんとそれよりももっと深いものなのだと思います。一緒にお話をしたりした時間は、確かに本物で、素敵な時間でした。普通のチェーン的な喫茶店ではなかなかないです。

 もし気が向いたらメイドとお話ししてみてください、秋葉原にはたくさんのメイドがいますが、ひとりひとり人間です。向き合ってみると面白くて、きっとあなたの心にも何か残りますよ。

 卒業して半年、みんな元気かなあ……、なんて思うのでした。わたしは元気です。

 ◇著者自己紹介

 今年で10周年を迎える秋葉原のメイド喫茶、ぴなふぉあの元メイド、ビタミンたっぷりみかんです。現在はぴなふぉあでデザインの妖精さんお手伝いとして日々修行中。

 ※このコラムでは、一部特殊な表現が使われていますが、コラムの趣旨に則り、できるだけ原文のままの表現としています。(編集部)

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