「綴り字のシーズン」(2005年)のスコット・マクギー監督とデビッド・シーゲル監督がタッグを組み再び家族をテーマに送る「メイジーの瞳」が31日に公開された。6歳の少女の目から大人たちの世界を描き、揺れる小さな心に寄り添いながら、新しい家族の形を描き出している。ロックスターで身勝手な母親役を、過去4度米アカデミー賞候補にもなったジュリアン・ムーアさんが演じている。衣装は、マーク・ジェイコブズさんに師事し、ファッションスタイリストとして一線で活躍、「ブリングリング」などソフィア・コッポラ監督作品も手掛けるステイシー・バタットさんが担当した。
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メイジー(オナタ・アプリールちゃん)は6歳の少女。母スザンナ(ムーアさん)はロックスター、父ビ−ル(スティーブ・クーガンさん)は美術ディーラー。夫婦はケンカばかりしている。メイジーの世話は、シッターのマーゴ(ジョアンナ・バンダーハムさん)がしている。その後、離婚した両親は裁判所から共同親権を言い渡され、メイジーは父と母の家を行ったり来たりすることになった。ビールはマーゴと再婚。スザンナも若い男リンカーン(アレキサンダー・スカルスガルドさん)と再婚した。ある日、スザンナの代わりに学校に迎えに行ったマーゴは、リンカーンとはち合わせになる。マーゴは新婚旅行のためにすぐに空港へと向かった。見送るメイジーはリンカーンの手を握り、歩き始めた。母は「あなたのために再婚した」と言うのだが……という展開。
6歳の少女メイジーを取り巻く状況は深刻だ。離婚した父と母の家を行き来することは、現実にもよくあることだろうが、父も母もメイジーの面倒を見る気はない。幼い女の子が、父、母、シッター(のちに父と再婚するが)、母の再婚相手の間をたらい回しにされる。重い話だが、短いカットをつなげてキラキラとした光の中、サラリと描かれている。それがかえってチクチクした悲しみを感じさせるが……。メイジーは文句も言わず、聞き分けもいい子だ。そんな性格の強さが周囲に「この子は大丈夫」と思わせるのか、大人たちは自分勝手にふるまうばかり。子どもなのは大人の方で、6歳の子が大人たちを気遣っている。1897年にヘンリー・ジェームズさんが書いた小説を基に作り上げたという。可愛い洋服はいっぱい持っているのに、メイジーに足りないもの。メイジーは持っているのに、大人には足りないもの。それらを考えながら見ていくと感慨深い。31日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)、シネマライズ(東京都渋谷区)ほか全国で公開中。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画生活に突入。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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