「SOMEWHERE」(2010年)のスティーブン・ドーフさんと「ある愛へと続く旅」(12年)のエミール・ハーシュさん、「17歳のエンディングノート」(12年)のダコタ・ファニングさんといったハリウッドスターの共演で兄弟の絆を描いた「ランナウェイ・ブルース」が公開中だ。人生に立ち向かう力を持ち合わせていない兄と、支える弟の逃避行を、アニメーションも交えて独特の演出で描き出している。12年にローマ国際映画祭で観客賞や最優秀脚本賞など4冠を受賞した作品。
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米シエラネバダ山脈のふもと、ネバダ州リノで暮らす弟フランク(ハーシュさん)と兄ジェリー・リー(ドーフさん)は、幼いころ孤児になったとき、わずかばかりの金と父親のウィンチェスター銃しか持ち合わせておらず、弟が作る物語に兄がイラストをつけ、日々のつらさをまぎらわしていた。ある日、自動車事故を起こしてしまった兄はどうしようもなくなって自暴自棄な行動に出る。追いかけてくる警察におびえる兄のためにフランクは、形見の銃を売ったりして資金を作り、兄を連れてかつての恋人アニー(ファニングさん)の住むエルコへと向かう……というストーリー。
舞台となったネバダ州リノという街はラスベガスに次ぐカジノの街。兄弟が乗った車が夜道を走るとき、街のネオンが物悲しく光る。その弱い光のように、何事にも不器用な兄を励まし、照らし続ける弟。2人は運からも見放されているが、優しく見守る人もいるというのに、他人に助けを求めるすべも知らない。本当に困っている人は声を上げられないというところにリアルさを感じる。貧困家庭の子は貧困という悪循環。人は他人に「希望を持て」と口にするが、そう簡単にはいかないものだ。3人の主要キャストの芝居が秀逸で、中でもハーシュさんは、鋭い目つきでつらい人生を生きてきた人物を体現していて魅力的だ。「バッド・ルーテナント」(09年)のプロデューサーとして知られるアラン・ポルスキーさんとガブリエル・ポルスキーさんの兄弟は今作で監督デビューを飾った。音楽の使い方にもセンスのよさが感じられる作品だ。15日からシネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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