「太陽がいっぱい」(1960年)、「リプリー」(99年)などの原作者、パトリシア・ハイスミスさんの「殺意の迷宮」を映画化した「ギリシャに消えた嘘」(ホセイン・アミニ監督)が11日から公開される。ヴィゴ・モーテンセンさん、オスカー・アイザックさん、キルスティン・ダンストさんといったハリウッドの豪華キャストが集結。男女の複雑な三角関係を軸にした上質なサスペンスドラマだ。
あなたにオススメ
来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹” 朝ドラヒロインまで手が届くか
1962年のアテネ。米国人の青年ライダル(アイザックさん)は、パルテノン神殿でツアーガイド中に、米国人夫妻に目を奪われる。リッチそうな紳士チェスター(モーテンセンさん)に、亡き父の面影を見たライダルは、年下の妻コレット(ダンストさん)の美しさにも魅了された。偶然に出会って、夫妻のガイドについたライダルは、その晩、食事を共にする。ところが、ホテルを訪ねてきた探偵をチェスターが殺害してしまったことから、3人の運命は変化していく。偽造パスポートの手配をし、逃亡の手助けをしたライダルも、夫妻とともにクレタ島へ向かうことに。やがて、ライダルとコレットの関係が親密になり……という展開。
アテネ、クレタ島からイスタンブールへ。ミステリー映画には欠かせない魅惑的なロケーションで繰り広げられるのは、偶然出会ってしまった3人の男女の心理ドラマだ。オフホワイトのスーツに身を包むダンディーなチェスターと美しいコレットの裏の顔は、詐欺師とその妻。「親切心? それとも金目当て?」と行動の裏側を図りかねるライダルは、チェスターに父親の面影を見ていて、この三角関係は、父と息子の様相で語られる2人の関係が太い軸となって展開する。冒頭、父と息子に関係したギリシャ神話が語られるが、男同士の虚勢の張り合いが、シンプルなストーリーの中に、複雑な感情として溶け込んでいる。3人の俳優のアンサンブルが見事なのは言うまでもなく、特に、優雅なおじさまのチェスターが嫉妬(しっと)でギリギリしている姿に人間の弱さが見え、ゾクゾクさせられる。まるでフィルムのようなシックな映像と洗練された60年代ファッションも光っている。「ドライヴ」(2011年)の脚本家であるアミニ監督の長編デビュー作。「リプリー」(99年)、「裏切りのサーカス」(11年)の製作陣が手がけた。ヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほかで11日から公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。今作を見ながら、持ち運びに不便そうだけど、昔のスーツケースはカッコいいなあと思いました。
ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作「モアナと伝説の海2」(デイブ・デリック・ジュニア監督ほか)の大ヒット御礼舞台あいさつが12月23日、東京都内で開かれた。イベントでは…
東宝の2025年の配給作品ラインアップ発表会が12月23日、TOHOシネマズ 日比谷(東京都千代田区)で行われ、2024年の興業収入などが発表された。市川南取締役専務執行役員は、…
2012年から7シリーズにわたって放送されたテレビ朝日系の人気ドラマの完結作となる映画「劇場版ドクターX」(田村直己監督)のクランクアップ写真が公開された。主演の米倉涼子さんをは…
俳優の米倉涼子さんが12月22日、東京都内で行われた主演映画「劇場版ドクターX FINAL」(田村直己監督)の“舞台あいさつFINAL”に登場。イベント終盤にあいさつを求められた…
花沢健吾さんのマンガが原作の映画「アンダーニンジャ」(福田雄一監督、2025年1月24日公開)の新キャストが発表された。津田健次郎さんが、謎の存在「アンダーニンジャ(UN)」の声…