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11月21日(木)放送分
人気グループ「SMAP」の木村拓哉さんの当たり役、スーツを着ない型破りな検察官・久利生公平が活躍する人気ドラマの劇場版第2作「HERO」(鈴木雅之監督)が今年最速の公開5日で観客動員100万人を突破、2週連続で興行収入1位を獲得するなど好調だ。昨年、ドラマのシーズン2が放送されたが、木村さんの主演作で連続ドラマとして続編が制作されたのは「HERO」が初めてだったという。そんな木村さんにとって特別な作品となった「HERO」の久利生役について、また気になる続編、そして木村さんにとっての「HERO」とはなどについて、じっくり聞いた。
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映画は、北川景子さんをはじめとする2014年放送のドラマ・シーズン2のレギュラーキャストがそのまま出演しているほか、シーズン1のヒロイン・雨宮舞子を演じた松たか子さんが劇場版1作目以来8年ぶりに同役で復帰を果たしていることでも話題を呼んでいる。さらに久利生の前に立ちはだかる外務官僚役で佐藤浩市さんが出演している。
ネウストリア公国大使館の裏通りでコンパニオンの女性が車にはねられて死亡し、東京地検城西支部の検事・久利生(木村さん)は事務次官の麻木千佳(北川さん)とともに事故を起こした運転手を取り調べる。そんな2人の前に、かつて久利生の事務官を務めていた雨宮(松さん)が現れた。大阪地検難波支部で検察官として活躍している雨宮は、広域暴力団がからんだ恐喝事件を追っており、事故の被害者の女性は雨宮の事件の重要な証人だった。久利生と雨宮は事件の裏に何かがあると感じ、合同で捜査を開始。久利生はネウストリア公国の大使館に出向き交渉を試みるが、そこには「治外法権」という高い壁が存在した……というストーリー。
――昨年のテレビシリーズは木村さんにとってはめずらしく連続ドラマで再度同じ役を演じることになりましたが、素直に役に入っていけましたか。
自分一人で考えたとき、若干クエスチョンというか、正直戸惑いがありました。でも共演者の方や共同作業してくれるスタッフだったり、あと本当に脚本の福田(靖)さんがものすごく入りやすい入り口を用意してくださっていて。
もちろん久利生個人のキャラクターや久利生が向き合うケースも時代は確実に流れているという“今感”はあるけれども、福田さんの脚本が、扉をカチャっと開けた瞬間に感じる懐かしいにおいというか、当時と全く変わらない雰囲気で久利生が今も(検察官という仕事を)続けているという温かくて、面白くて、真剣でという態度があってくれたので、そこからはすごく作業もスムーズですっと入れましたね。
――それまで同じ役をやっていなかったというのは常に新しいものにチャレンジしていきたいという姿勢なんでしょうか。
いや、一度自分のカバンの中から台本がなくなった時点で、どこか(その役柄に)整理をつけているというか。毎回終わった感覚があったんですけれど。
その自分が思い続けてきた感覚を恥じることではないなあとは思うし、自分の中の意識や価値観というものもしっかり持っていたいなとは思いますけれど、実際にこうやって求めてくれる人たちがいてくれるということの大きさも感じていて。
昨年テレビシリーズをやらせていただいて、今回も映画という形を取らせていただいたりと(続編という)現場を自分で経験すると、明石家さんまさんからいわれた言葉で、「うちら生かされてるんやで」という、求めてくれる人がいるからこそ自分たちが表現できるということの大きさはすごく感じますね。
――ドラマの続編が始まるときに映画は視野に入っていたんですか。
全然。ドラマを撮影していたら(出演者の)小日向文世さんあたりが、最終話が近づいてきて「でも、またみんな会えるもんね」と意味深なことを言うから、「何言ってんのかな?」みたいな感じだったんです。ひょっとしたら自分には伝達がなかっただけなのかなとは思いますけど(笑い)。
――実際、映画を撮ると聞いていかがでしたか。
映画では何を取り扱うのか、でしたね。久利生自身は映画だからといって(演じる)作業が変わるわけではないので。でも、どこかテレビシリーズとは一味違う楽しみを皆さんに味わってもらわない限りは映画にする必要はないなと思うので。そこは自分の中でも思いはありました。
ドラマのファーストシーズンから作品を見るという形でコミュニケーションを取ってくださっていた皆さんが、久利生と雨宮という存在に高揚してくれている感じが伝わってきたので、(今回の映画では)本当に松(たか子)さんの参加もすごく大きいことですし、また、あくまでもフィクションですがネウストリアという架空の国の大使館という、日本であって日本でない治外法権、外交特権が存在する中で、久利生が真正面から向き合っていたというのが大きかったですね。
――昨年のテレビシリーズには松さんは出演されていなかったので、今回の映画の現場で会うのも久しぶりだったと思います。すぐに実際の久利生と雨宮のようになれたんですか。
2014年にテレビシリーズとしてやらせていただいた城西支部が映画のときに構築できていたので、松さんからするとホームであるはずの場所に帰ってきたのに、「あれ、私の知っているホームじゃない。ちょっと変わったよね」っていう感覚だったんじゃないですか。だから最初、作業を始めるにあたって、キャストは撮影現場のセットのちょっと横にある「たまり」に常にみんないるんですけど、大倉(孝二)さんと(松さんの難波支部の)2人でほんのちょっと間合いの違う場所に座っていて。「何やってるの」って言って、僕とヤッシー(八嶋智人さん)が「はい、ここに座って」って定位置を決めてからはそのままになっていましたけど。
――佐藤浩市さんは「HERO」シリーズに初めて出演されましたが、今回共演していかがでしたか。
以前にもアイスホッケーの監督(2004年のドラマ「プライド」)だったりとか、吉良邸に討ち入る47人を束ねる方(2001年のスペシャルドラマ「忠臣蔵1/47」)だったりとかで、何度か共演をさせていただいているんですけれど、ここまで向き合う形はなかったのですごく、「HERO」のほわっとしそうな部分を浩市さんの存在でエッジをつけていただいたというか、風味に角を作っていただいたという感じはありますね。
でも浩市さんは、(撮影以外では)移動車にいつも積まれているであろうゴルフクラブを見せていただいたりとか(笑い)、普段すごくカジュアルな方でした。
――ご自身は久利生というキャラクターにどんな感情をお持ちですか。
もちろん仕事に対する向き合い方はものすごい尊敬できる部分はありますけど、女性に対するアンテナのものすごく感度が悪いので、そこらへんはちょっといただけないですね(笑い)。
――「HERO」への思い入れは今回の映画で変わりましたか?
思い入れというか、これだけ長い期間続いている作品なので、その間いろんな場所でいろんな作品、作業もさせてもらったりしているんですけど、話がずっとつながっている感じがあるのが不思議ですね。実際に過ごした月日がほかの作品よりはちょっと長いので、その分の自分と触れている面積はほんのちょっとだけほかのより大きいのかもなとも思いますけれど。だからといって棚の一番上に飾るものではないですし。
――今回映画をやって、この先は考えますか?
みんなに言われるんですけど、どうなんですかね。自分たち(スタッフ、キャスト)主導ではなくて、(見ている)みんなの声だったり気持ちだったりというものがあった場合、なんじゃないかなと思いますけどね。
――ここ数年だけでも幅広い役を映画やドラマで演じていらっしゃいますが、もう少し同じ役を追求していきたいという思いはありますか。
そういうことはできたらいいとは思いますけど、週に2日間は必ず「SMAP×SMAP」を撮っていますので、集中してのめり込むっていうことはここ20年やったことがない(笑い)。それはきっと(SMAPの)ほかのやつらもそうですけど。
――次々と振り幅の大きい役を振られるということは役者として大変ですね。
大変というか、こんな木村拓哉を見てみたいということなのか、求められることに応える。求められることのすごさは何にも代えられないと思うし。それが「できない」という一言で終わらせられることも、ありっちゃありなんでしょうけど、そこはなかなかできないですね。
――それはプライドですか、それとも好奇心?
単なる負けず嫌いなんじゃないですか(笑い)。
――求められて自分を現場に赴かせるというモチベーションのキープの仕方は?
それはやっぱり現場に行けばごろごろあるので。皆さんが放出している本気が、現場にはごろごろ存在しているし、そこに赴いた以上は周りの本気を感じると必然的に自分も高まるというか。その関係性が1日から1週間になって、1カ月になってとなると、その掛け合いがより密になっていくし。気づいたら楽しくて仕方がないということになっています。
――久利生を見て検察官を目指す人もいるそうです。木村さんの演じた役に見た人が影響を受けるということについてどう思いますか。
これ以上のやりがいはないんじゃないですか。検察官だけでなくて、パイロットとか美容師さんとか、その方の人生の一部に自分がなれているということ、こんなに幸せなことはないんじゃないですかね。
――最後に、木村さんにとってのヒーローは?
現場の“撮影バカ”な人たちですね。例えばロケに出てみたら雲行きが怪しくなってきて急に雨がバーッと降り出して。雨に濡れてはいけない機材もあるし、照明機材なんか本当に間違えば事故にもつながるし。なのに現場を前に進めようとして、それぞれ私服の上に気休め程度の雨具を着て、カメラを移動させるレールを運んでいるスタッフだったり、地べたに膝をついて人の誘導してくれている人、照明を当ててくれているスタッフ、撮影バカな人たちの中にいられる自分がうれしいんです。そう思わせてくれる人たちがヒーローなんじゃないですかね。
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2024年11月23日 00:00時点
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