サミュエル・L・ジャクソンさんが大統領に扮(ふん)したサバイバルアクション「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」(ヤルマリ・ヘランダー監督)が15日から公開される。フィンランド北部の山岳地帯を舞台に、テロリストに命を狙われる米大統領と13歳の少年ハンターの必死の逃亡劇が展開する。
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米大統領ウィリアム・アラン・ムーア(ジャクソンさん)を乗せた大統領専用機「エアフォースワン」が、テロリストの地対空ミサイル攻撃を受けフィンランドの山奥に墜落する。ムーア大統領は脱出ポッドで避難し一命をとりとめるが、テロリストグループは彼を捕獲しようと動き出す。狩人の血を引くフィンランド人のオスカリ(オンニ・トンミラさん)は、13歳の誕生日を迎えたその日、大人になるための“通過儀礼”として弓矢で鹿を狩るため、たった一人で森の中を歩いていると……というストーリー。
オスカリが森に旅立つまでが描かれる冒頭では、これがどうサバイバルアクションにつながっていくのかと半信半疑だった。監督と脚本は、フィンランド出身のヘランダー監督。英国・ドイツとの合作とはいえ、フィンランドの監督によるアクション映画とは想像がつきにくかった。その一方で、テレビシリーズ「ROMA[ローマ]」(2005~07年)以降、「マイティ・ソー」(11年)や「G.I.ジョー バック2リベンジ」(13年)などに出演してきたレイ・スティーブンソンさんが大統領を警護するシークレットサービスに、また、「アイリス」(01年)や「ハリー・ポッターと死の秘宝」(10、11年)などの作品で知られるジム・ブロードベントさんが対テロ対策の専門家に扮するなど、ハリウッドには思いつかないようなキャスティングの妙に感心させられた。ほかにも、フィンランドの森の中という設定を活用し、冷凍庫が空を飛んだり、岩肌を滑空したり、ヘリコプターとダイナミックなチェイスを繰り広げたりと、オリジナリティーあふれるアクションシーンが展開する。さらに、ヘランダー監督のおいのオンニ・トンミラさんが演じるオスカリが、物語が進むにつれて魅力を増していき、結果、大いに楽しむことができた。15日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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