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11月3日(日)放送分
女優の篠原涼子さんがクールな刑事、雪平夏見を演じる人気の連続ドラマ「アンフェア」(フジテレビ系)の劇場版第3弾で完結編となる「アンフェア the end」(佐藤嗣麻子監督)が5日に全国で公開された。ドラマシリーズ1作目から脚本で「アンフェア」に関わり、前作「アンフェア the answer」(2011年)でメガホンをとった佐藤監督に、主演の篠原さんについて、また今作に込めた思いなどを聞いた。
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「アンフェア」は2006年1月期に連続ドラマが放送され、07年に劇場版第1弾「アンフェア the movie」、11年に劇場版第2弾「アンフェア the answer」が公開されヒットを記録した人気シリーズ。篠原さんが演じる雪平夏見は、バツイチ、子持ち、大酒飲み。だが、検挙率ナンバーワンの敏腕で、過去に犯人を射殺した経験のある唯一の刑事という役柄。元夫・佐藤和夫(香川照之さん)の死と引き換えに、国家を裏で操る秘密組織の機密データを手に入れた雪平は、今作で再び警視庁捜査1課へと戻り、反撃に出る。雪平が刑事になったきっかけともいえる、父親殺しの真犯人の正体も明らかになる。
佐藤監督は「アンフェア」シリーズには当初から脚本で関わり、劇場版前作「the answer」では監督を務めた。同性ということもあり主演の篠原さんも佐藤監督に全幅の信頼を寄せている。佐藤監督は「涼子ちゃんとは“こういう感じ”というの(感覚)は合っているので、向こうも私が何をいいたいのか分かっていると思うし、やりやすかったと思います。涼子ちゃんがいっていたんですけど、言葉にしなくても、NGを出してももう1回というときに私が何をいい出すか分かるって」と現場では以心伝心だったという。
台本にはなかったが篠原さんが提案したという全裸シャワーシーンを盛り込んだ。「涼子ちゃんがやっぱり最後なんで全部ちゃんと出し切りたい、というか心残りになるようなのは嫌だと言っていて。雪平はテレビシリーズのときから家では裸で過ごしているという設定でもあったのでやっぱり雪平には裸が合っているではないかと」と裸のシーンを撮影することにした。
そのシーンの撮影前には篠原さんの全身をチェックした。「『全部見てください』と(篠原さんに)いわれて、どういうアングルで撮っていこうかと。変にいやらしく撮ろうとは思っていなかったですね。雪平らしく、いいアングルはどういうのだろうと。やっぱり後ろ(背面)がいいなと思ったので後ろにしたんですけど、ちょっと胸も見えそうで、ちゃんと全身をワンカットで見せてあげるという」と篠原さんの姿態が一番きれいに見えるアングルを模索した。
今作の新キャストとして、ドラマの第1シリーズで雪平の相棒を務めた安藤一之役の瑛太さんの弟、永山絢斗さんが新相棒・津島直紀役で出演している。「弟さんだからっていうことでもないんですけど、雪平と一緒にいる相棒というのは安藤のような存在であった方がいいと思って」と永山さんが起用された。津島が雪平に対して「むだに美人ですね」という安藤と同じせりふも盛り込んだ。その理由を「安藤っぽくしたかったので」と説明する佐藤監督。「私自身は(永山さんが)そんなに瑛太に似ているとは感じないんですけど、(周囲で)似ているっていう人は、声が似ていると」とシリーズのファン心理をくすぐる場面も登場する。
永山さんが「うれしかった」という雪平と津島のキスシーンは10テイク以上撮影した。「10何テイク、いろんな表情があります。もっと切ない、もっと悩んでいる表情とかあったんですけど、そこまででないようなのにしました。あの顔が一番いい顔に見えたので」と採用したテイクは名場面となった。
検察庁のエリート官僚役で「EXILE」のAKIRAさんも今回シリーズに初参加した。「緊張していたみたいでしたね。『アンフェア』のことを若いころから見ていたので、『テレビに出ていた人たちがいる』って言ってました(笑い)。なので、最初のころは緊張してか、(待ち時間は)全然座らないでずっと立ってましたね」と明かす。
AKIRAさんに対してはエリート官僚役ということで「お堅い感じでいってくださいというのと、エリートで生まれも育ちもいい人なので、姿勢をよくしてくださいと伝えました。あとAKIRAさんって(普段は)声が大きくて通る声の方なんですけど、普段のようにしゃべらないで、隣の人にささやくようにしゃべってくださいといいました。声が遠くに聞こえる感じだと舞台っぽくなってしまうので、映画的に発声をスケールダウンしてもらいました」と指示を出した。
また、初参加ではないが、ドラマと劇場版第1作に子役として出演していた雪平の娘・美央役の向井地美音さんが、現在はAKB48に所属し17歳に成長した姿を披露している。「一時期(活動を)休止していたと聞いて、復活したようなうわさも聞いていたんだけど、どこに行ったのかしらと思ったらAKB48で(笑い)。びっくりしました。小さいころは無口な子だったので、アイドルというのが意外でした。受け答えがすごくはっきりしていて、礼儀正しいお嬢さんになっていてびっくりでしたね」と成長した姿に驚いたという。
さて、今作は完結編と銘打っている。そして佐藤監督も「本当に最後です」と断言する。惜しむ声も寄せられているのではと聞くと、「惜しむ声があるぐらいがいいんじゃないかと思います。まだやっているのかと思われるよりは、ちょっともったいないねくらいの方がいいんじゃないですかね」と笑う。
完結編で「気持ちよく終われるようにしたいということは意識しました。これまではカタルシスはあったかもしれないけれど、後味が悪いという感じだったので。ちゃんと最後という感じで終わらせました」と、きれいな引き際を意識した。
最後だからなのか、主要なキャラクター全員が雪平に対して温かく、また雪平はクールを装いながらも人を信じて信じ抜くいちずな人柄が随所に表れている。佐藤監督は「みんなちょっといい人になる感じは、最後だから意識しましたね。みんなが本当に雪平のことを好きだから。裏切る相手でさえ実は雪平のことが好きだったりする」と全編から温かさと雪平への愛がにじみ出ている。
最後に佐藤監督は見どころを「篠原さんの美しい裸です。あとはツンデレの恋愛を見てほしい。一言も愛してるとか好きだとか言わないで、2人が好き合っているシーンを見てほしいですね」とアピールする。
「アンフェア」はこれで完結だが「篠原さんとはまた別の作品で一緒にやりたい」という佐藤監督。「涼子ちゃんがアクションものをやりたいと言っているので。『アンフェア』は警視庁捜査1課の女刑事だったりしますのでアクションに限界があるんですね。スパイものみたいなアクションはできないので、もっと派手な感じのアクションをやりたいと考えています」と話した。
「アンフェア」シリーズはこれで最後だが、篠原さんと佐藤監督の名コンビ復活の日は近いのかもしれない。
「アンフェア the end」は5日から全国で公開中。
<プロフィル>
1964年生まれ。87年、ロンドン・インターナショナル・フィルム・スクールに留学後、脚本・監督を務めた「ヴァージニア」(92年)で東京国際ファンタスティック映画祭アボリアッツ賞を受賞。監督作「エコエコアザラク」(95年)がゆうばり国際ファンタスティック映画祭批評家賞を受賞する。脚本家、監督として映画、ドラマ、CM、ゲームなど幅広く活動。おもな脚本作品に「恋におちたら~僕の成功の秘密~」(2005年、フジテレビ系)、「アンフェア」シリーズ(06年ほか、関西テレビ・フジテレビ系)、「アンフェア the movie」(07年)、「独身貴族」(13年、フジテレビ系)、「宮本武蔵」(14年、テレビ朝日系)など。監督作品に「K-20 怪人二十面相・伝」(08年)、劇場版第2弾「アンフェア the answer」(11年)などがある。
(インタビュー・文・撮影:細田尚子/毎日新聞デジタル)
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2024年11月05日 23:00時点
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