WOWOWは毎週土曜午後1時に「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。11月14日に放送される「ノンフィクションW 市川崑 アニメからの出発~幻のフィルム、巨匠の原点~」のプロデューサーを務めたWOWOWの制作部の遠藤裕さんに、番組の魅力を聞いた。
ウナギノボリ
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昨年、ある貴重なアニメーションフィルムがアメリカで見つかったことがニュースになりました。1935年に日本で製作された「弱虫珍選組」という作品で、のちに「犬神家の一族」「東京オリンピック」などを手掛けた市川崑監督が、そのキャリアの最初期に作画担当の一人として参加していたものです。番組では、このフィルムを入り口にして、市川監督の原点ともいうべきアニメーションへの思いと、そこからつながるいかなる情熱が“映像の魔術師”市川崑を生んだのかを、貴重な資料や証言から明らかにしていきます。
もちろん、昨年、アメリカに「弱虫珍選組」の幻のフィルムが存在していることが明らかになったことがきっかけです。さらに、2015年11月は市川崑監督の生誕100年にあたりますので、監督がアニメーターとして映画製作の道に入ったという一般的にはあまり知られていない事実を改めて紹介し、それが、素晴らしい映画の数々を生み出す原点であったことを掘り下げるのにはふさわしいタイミングだと考えたことが取り上げた理由です。
誰もが知る名作ぞろいの巨匠・市川崑監督ですから、そのフィルモグラフィーを紹介するだけでも自然に面白くなってしまいますので、うっかりそういう紹介番組にならないように、アニメーションという原点につながる部分をストイックに抽出し、その中から生涯を懸けて目指したものを描き出すことを心がけました。
やはりうれしいのは、取材が進んでいく中でのさまざまな新発見です。今回は「弱虫珍選組」がアメリカに渡った経緯についてのほぼ確実な証拠が見つかり、また、崑プロにご協力をいただいて、未発表だと思われる監督の手記や、未公開の人形劇の絵コンテなどを手掛かりにすることができました。
とても良い状態で保存されていた「弱虫珍選組」はもちろん、監督が1970年の万博で手掛けた人形劇の映像、幻のデビュー作の絵コンテ、愛用の品など、貴重な資料が多数登場しますので、ぜひご注目ください。
2015年11月は市川崑監督の生誕100年ということで、特集上映などさまざまな企画が行われていますが、その中でもこの番組は、アニメーションというやや異なる観点からのアプローチで監督の少し意外な姿を描き出せていると思っています。若い頃の情熱を忘れず、生涯にわたって作品を生み出し続けた監督が追い求めていたものが何なのか、ぜひ番組で確かめていただければと思います。
WOWOW 制作部 プロデューサー 遠藤裕
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