映画「仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス」(金田治監督)が12日に公開された。映画は最新作と前作の仮面ライダーが共演する「MOVIE対戦」シリーズの7作目で、偉人や英雄の力を借りて変身する「ゴースト」と車がモチーフの「ドライブ」が力を合わせて戦う姿が描かれている。ライダーたちの前に立ちはだかる敵「ダヴィンチ眼魔」の声を担当したお笑いタレントのケンドーコバヤシさんに聞いた。
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仮面ライダーのイメージを「今も脈々と受け継がれていると思いますが、へたをすれば悪党でも通じるデザインというか、ちょっとつり目で少しおどろおどろしさもあるのがすごく好き」とケンドーコバヤシさんは語り、「基本色が黒というか、ゴーストをはじめ男の子はこういうデザインが結構好きなのでは」と分析する。
昭和47(1972)年生まれのケンドーコバヤシさんは、当時リアルタイムで見ていたシリーズを「再放送がたくさんやっていたのでどれがリアルか難しい」と前置きしつつも、「僕が幼少年期に放送していたのは『X』か『アマゾン』で、小学6年生か中学1年生ぐらいに『スカイライダー』をやっていました」と振り返る。続けて「僕はバイクが好きで今も乗っていますが、やっぱり仮面ライダーのバイクはすごく印象に残っている」といい、「キカイダーとかもそうで、当時のヒーローは(バイクに乗ることが)多かったですけど、男だったらやっぱりバイクやな」と力説する。
自身が出演することになった平成ライダーシリーズについては、「(周りでは)子供がいる人は結構見ているけれど、さすがに僕も大人になっているし、子供もいないのであまり詳しくはない」と話すも、「ただ、(シリーズによっては)バイクのシーンが極端にないとか、バイク自体がなかったり、電車に乗るとか衝撃的な話はいろいろ聞いています」と笑顔で語る。
今作への出演決定の連絡を居酒屋にいるときに聞いたというケンドーコバヤシさん。「その時は早く飲みの席に戻りたくて、軽い感じでオーケーした(笑い)」とジョークを交えて振り返り、「次の日に、あれなんか仮面ライダーと言っていたけど……と重みを感じた」と時間がたってから、じわじわと実感したと語る。
ケンドーコバヤシさんが声を担当するのはルネサンス三大芸術家の一人、レオナルド・ダ・ヴィンチの魂が込められた眼魂(アイコン)を使い、その能力を得たダヴィンチ眼魔という怪人役。「特撮で敵役をやるという話を飲みの席でしたら、たまたま『宇宙刑事』シリーズの悪役の声をやったというスピードワゴンの井戸田潤がいて、子供は何でも見抜いちゃうから、より真剣にやらないと見抜かれるといわれた」とアドバイスをされたという。アニメや洋画の吹き替えなどで声優経験はあるが、「特撮(で声を当てるの)は初めてだったので、先に井戸田に話を聞いてよかったなと。どの作品も手を抜くわけではないですが、すごい世界だなと思った」と感謝する。
さらに、「特撮は子供向けだけれど、大人もニヤリとできるジョークも入れないといけないらしく、(井戸田さんも持ちネタである)『あまーい!』といってほしいと頼まれた」という話も井戸田さんから聞いていたケンドーコバヤシさん。続けて、「もしかしたら急きょ自分になったのではないかと……」と勘繰っていたことを真顔で切り出し、「(井戸田さんの経験を)そんなのあるんだと聞いていたから自分も何かあるのかなと思っていたら、巨大化するときに『ルネサーンス!』というせりふがあったので、もしかしたら本来は髭男爵にオファーがあったのではと、妙な勘繰りをしちゃいました」と本気とも冗談ともつかぬ発言をして豪快に笑う。そして、「まあダヴィンチだから、(ルネサンス)なんでしょうけど」と納得の表情を見せる。
アフレコで感情の入れ方などについては、「ダヴィンチは僕とちょっとダブるところがあるので楽だった」とケンドーコバヤシさんはいい、その理由を「きっと僕が言っていることは200年後ぐらいに理解してくれる人がポツポツ出てくるのではというのがあるし、(レオナルド・)ダ・ヴィンチも没後のほうが評価されている人」とちゃめっ気たっぷりに共感を寄せる。
今作は仮面ライダードライブ・泊進ノ介(竹内涼真さん)と、仮面ライダーゴースト・天空寺タケル(西銘駿さん)が出会い、突然巻き起こった時空のゆがみによって10年前の世界へ飛ばされる……という物語が展開する。「6歳ぐらいの子は時系列を追えるのかなと、ちょっと心配になった」と話すケンドーコバヤシさんは、「心配になるぐらい結構、本格的なタイムスリップもの、過去で起こったら未来が変わるというパラドックスもので、感心というかすごい話だなと」と大人でも楽しめる完成度に舌を巻く。
映画ではテレビシリーズから続く進ノ介と霧子(内田理央さん)の恋の行方も気になるが、ケンドーコバヤシさん自身の理想の女性像を聞くと「こういう子がいい、ああいう子がいいと正直いろいろいっていたのですが、もう自分にはいう権利がなくて、もうこの年齢までくると拾っていただく立場……」と神妙に語るも、「お尻がきれいな人だったら行儀とか悪くても、あとはどんなでもいいかなぐらいまで減らしました(笑い)」と“らしい”理想を語る。
映画では本願寺純役の片岡鶴太郎さんと、仙人役の竹中直人さんが共演するシーンがあるが、「やっぱりうらやましいですし、あちら側のような役でいつか出られたらいいなと思う」と思いをはせ、「おじさんライダーみたいなのは相当おいしいけれど、昔のライダーには少年仮面ライダー隊のようなのがあったように、少年(役)で出たい(笑い)」と驚きの発言も飛び出した。続けて、「ヒゲ面で申し訳ないですけど半ズボンをはいた少年として出て、ドーナツにつられて敵につかまりたい。昔ながらの少年みたいなのをやりたい」と目を輝かせる。
ケンドーコバヤシさんが考えるヒーロー像を聞くと、「僕は結構、理想のヒーローに近い男」と切り出し、「僕は見ていないところで正義を貫く男で、真夜中の点滅信号を1回止まっているのは僕ぐらいでしょう(笑い)」といい、「その代わり人が見ているところだったら、とことん悪をやります(笑い)」とジョーク交じりに語る。そして、「僕の中のヒーローイズムというか、人が見ているところでは悪、見てないところこそ正義というのは、昔からそうでした」と力を込める。
今回ライダーの敵役を演じたことで街中で子供から声をかけられたら……と話を振ると、「イメージを崩さないよう徹底的に怖い人を演じようとは思う」といい、「優しくして、いい人と思われるより、ダヴィンチのためにも悪いやつを貫きます。子供が寄ってきたら蹴散らします!」と笑いながらも覚悟を見せる。
自身の役の見どころを「僕自身がドキッとしたシーンなので、(ダヴィンチが)巨大化するときの叫びをよく聞いておいてほしい」と語り、「楽しみにしている人には実はメッセージをいえなくて、その理由は最後は僕が勝って終わり、お子さんが泣いちゃうので……」と真顔でいい、「俺が勝って終わります!」と最後まで“ケンコバ節”全開だった。映画は全国で公開。
<プロフィル>
1972年年7月4日生まれ、大阪府出身。お笑いタレントとして活躍するほか、俳優や声優としても活動。主な出演作に「パッチギ!」(2005年)、「ヤッターマン」(09年)、「さらば愛しの大統領」(10年)、吹き替えでは「パシフィック・リム」(13年)などがある。
(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)
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