注目映画紹介:「ディバイナー 戦禍に光を求めて」 ラッセル・クロウ初監督作 戦争にまつわる親心描く

映画「ディバイナー 戦禍に光を求めて」のワンシーン (C)2014 DIVINER HOLDINGS PTY LTD, RATPAC ENTERTAINMENT LLC,NETWORK INVESTMENT HOLDINGS LIMITED,SEVEN NETWORK (OPERATIONS)LIMITED AND MEGISTE FILMS PTY LIMITED
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映画「ディバイナー 戦禍に光を求めて」のワンシーン (C)2014 DIVINER HOLDINGS PTY LTD, RATPAC ENTERTAINMENT LLC,NETWORK INVESTMENT HOLDINGS LIMITED,SEVEN NETWORK (OPERATIONS)LIMITED AND MEGISTE FILMS PTY LIMITED

 俳優のラッセル・クロウさんが初監督と主演を務める映画「ディバイナー 戦禍に光を求めて」が27日に公開される。1919年のトルコを舞台にした実話ベースに、多くのオーストラリア人がトルコの地で戦った第1次世界大戦のガリポリの戦いから4年後、消息不明となった3人の息子を捜すためトルコへとやって来たオーストラリア人の父親の愛情や喪失感を描く。2014年度オーストラリア・アカデミー賞最優秀作品賞のほか、主要2部門(助演男優賞・衣装賞)を獲得した。

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 ガリポリの戦いから4年後、水脈を探し当てる職人(ディバイナー)であるオーストラリア人のジョシュア・コナー(クロウさん)は、戦争で行方不明になった3人の息子たちの最期を知るためトルコを訪れる。はるか遠い異国の地での捜索は困難を極めるが、コナーはイスタンブールで宿を営む女性アイシェ(オルガ・キュリレンコさん)や、息子たちと戦ったトルコの英雄ハーサン少佐(イルマズ・アルドアンさん)らと出会い、助けを借りながらかすかな希望をつかむが……というストーリー。

 実話にインスパイアされた戦争映画のように表面上は見えてしまうかもしれないが、その実、描かれているのは戦争を生き延びた人々がいかにしてその後、生きていくかということにスポットが当てられている。ガリポリの戦いは日本人にはあまり知られていないが、知らなくても、親が子を思う圧倒的な愛や登場人物たちの敵味方を超えた関係性などには涙腺を刺激され、感銘を受ける。戦争を扱った作品のため、激しい戦闘シーンはもちろんあるが、迫力だけでなく情感も込められており、一般的な戦争映画とは一線を画す描写や、他民族との友情や反戦、和解のメッセージなども盛り込まれ、クロウさんの初監督とは思えない力作に仕上がっている。27日から有楽町スバル座(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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