ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
登場するキャラクターが全員“ビラン=悪役”という異色の映画「スーサイド・スクワッド」(デビッド・エアー監督)が公開中だ。世界崩壊の危機を前に、政府が下したとんでもない決断。それは、牢(ろう)獄に捕らえられた悪党たちによる軍団“スーサイド・スクワッド”を結成することだった……。このほどスクワッドのメンバーを演じたウィル・スミスさん、マーゴット・ロビーさん、福原かれんさんがPRのために来日。その一人、ロビーさんに話を聞いた。
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「ビラン」とは、「ヒーロー」に対する「悪役」「敵のキャラクター」の意味で使われる言葉で、例えば、「バットマン」におけるビランの筆頭にはジョーカーを挙げることができる。そのジョーカーに誘惑され、彼を愛してしまったことから、犯罪者専門の精神科医ハーリーン・クインゼルから、ハーレイ・クインというビランに“堕(お)ちて”しまうキャラクターが、ロビーさんの役どころだ。ちなみに、今作では、「ダラス・バイヤーズクラブ」(2013年)での演技で米アカデミー賞助演男優賞を獲得したジャレット・レトさんがジョーカーに扮(ふん)している。
「ハーリーンからハーレイに変わっていく部分を今回描いてくれて、すごくうれしかった」と切り出したロビーさん。ロビーさんにとって、ハーレイもハーリーンも、「互いのキャラクターを形作る上では切り離せない存在」だった。というのは、「精神分析医だったハーリーンに相手の心が読める力があったからこそ、ハーレイは他人の心を読み、操るスキルを持てている」からだ。実際演じる際にも、2人を別の人間としてとらえるのではなく、「互いが互いのキャラクターを形作っている」ように心掛けたという。
原作はDCコミックス。アメコミの映画化となれば、当然、アクションシーンも満載で、ロビーさんも今作ではかなりのアクションを披露している。とりわけ、連邦ビルのエレベーター内でのアクションは、ロビーさんにとって「お気に入りのシーンの一つ」だ。「ワイヤなしで、天井に足をかけて1周するという離れ業をやるのは私も初めてだったから、わくわくしながら撮影に臨んだ」と振り返るロビーさん。モニター越しに撮影を見ていたプロデューサーが「こんなの見たことない。最高だね!」と声をかけてくれたことを明かし、「私もすごく誇らしく思ったわ」と胸を張る。
原作では、全身が“スーパービラン的”なスーツで覆われたものや、道化師ルック、あるいはコルセットに短パン姿など、何通りものハーレイが登場している。そのため今回の衣装選びには、「結構自由があった」という。ただ、エアー監督といえば、ロビーさんの言葉を借りれば、「地に足がついた、ざらざらしたリアリティーがある世界を構築してきた人」。それゆえに「いわゆるマンガ的なルックスは、多分ないという話は、スタッフの間で最初からされていた」という。
さらに、「彼(エアー監督)の性格から考えても“完璧”はないわけで、ちょっと乱れたルックスになってよかったと思っている」と体の線がくっきりと出るピチピチのTシャツに短パン、網タイツ、さらに、ヘビメタ系のベルトにブーツという今回のいでたちに満足した様子。
実は、スタジオ側は当初、コルセットにバレエダンサーがまとうチュチュのような、チアリーダーっぽいルックスを望んでいたという。「でもそれは、男性目線の意見だと思った。だってハーレイは、男性に媚(こ)びるような洋服選びはしない。自分のために選ぶ人間だし、自分のやりたいようにする女性だから」とハーレイの心境を代弁する。
そんなとき、米ロックバンド、ブロンディのボーカリスト、デボラ・ハリーさんを写真で見たという。「彼女は、誰の意見も聞かず、好きなものを着ている。『これだ!』と思った」と当時を振り返るロビーさん。それには、衣装デザイナーのケイト・ホーリーさんも同意見で、「ケイトが『コルセットを着けたチアリーダーの扮装は、ハロウィーンでさんざん見ている。そうではない、新しいルックスを作ろう』って」と語る。かくして、今回の、セクシーでキュートで、しかし完璧ではないコスチュームと相なった。
映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年)でブレークし、その後、「フランス組曲」(14年)や「フォーカス」(15年)、「ターザン:REBORN」(16年)といった作品に出演し、そのたびに美しさと存在感をアピールしてきたロビーさん。「レッドカーペットやインタビュー、あるいは映画の現場にせよ、ヘアメークさんがついてくれて、メークのちょっとした秘訣(ひけつ)を教わったり、スタイリストさんが用意してくれる、普段自分が着ないようなデザイナーズブランドのすてきな洋服を着られたりするのは楽しい」としながら、「でも、ノーメークで、格好も気にしないでいられる普段の日のほうが好き」というのが正直な気持ちらしい。
そんなロビーさんが日々大切にしているのは「睡眠」だという。「健康的な食生活をしていても、睡眠がきちんととれていないと、ボディーもしっくりこない。でも、十分にとれているときは、顔つきも違うし、体形もスリムになる。だから睡眠は重要だと思う」と実感を込める。
さらに、エネルギーの源は、故郷のオーストラリアに戻ること。「ライフスタイルが全然違う。今、住んでいる英国ではパブに友達と飲みに行ったり、米ニューヨークでも、クールなバーに行ったりするけれど、オーストラリアだと、岩場にある池に滝の上から飛び込んだり、ティーツリー(オーストラリアの湿原に生息する植物)オイルがしみ込んだ湖や池で泳ぐと、その成分が体を潤してくれる。サーフィンにも毎日行ったり」と笑顔を見せる。特にサーフィンは、「海水の塩分で髪にボリュームが出るし、太陽を浴びることでエネルギーも得られるし」と一石二鳥のようだ。そんなアクティブな一面を持つロビーさんだからこそ、今作のエレベーター内での離れ業にも「わくわくしながら」臨むことができたのだろう。映画は9月10日から全国で公開中。
<プロフィル>
1990年生まれ、オーストラリア出身。17歳でメルボルンに移り、プロの俳優としてのキャリアをスタート。米国でのデビュー作は、テレビシリーズ「PANAM/パンナム」(2011~12年)。その後、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(13年)でレオナルド・ディカプリオさんの相手役を務めブレーク。そのほかの出演作に「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」(13年)、「フランス組曲」(14年)、「フォーカス」「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(ともに15年)、「ターザン:REBORN」(16年)がある。
(取材・文・撮影/りんたいこ)
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