松下優也:朝ドラ栄輔役「本当にラッキーだった」 大反響“ポケットに手”真相明かす

NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」に岩佐栄輔役で出演中の松下優也さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」に岩佐栄輔役で出演中の松下優也さん (C)NHK

 芳根京子さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「べっぴんさん」に、若者に大人気のファッションブランド「エイス」の社長・岩佐栄輔役で出演している松下優也さん。戦後の闇市から成り上がり、大阪万博(1970年)のころには“時代の寵児(ちょうじ)”となる、高度経済成長期を象徴するような栄輔を演じることができて「本当にラッキーだったと思います」と振り返る松下さんに、ドラマや昭和という時代への思い、さらにSNSなどで大反響の“ポケットに手”の真相について語ってもらった。

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「べっぴんさん」は、95作目の朝ドラ。戦後、焼け跡となった神戸で、娘や女性のために、子供服作りにまい進するヒロインと家族の姿が描かれている。

 ◇栄輔ロスにホッと一安心

 栄輔の初登場は第3週だった。栄輔は復員列車で意気投合した兄貴分の潔(高良健吾さん)のことを戦後の闇市で手伝いながら、出征した夫・紀夫(永山絢斗さん)の帰りを待つすみれ(芳根さん)をけなげに支え、心優しい片思いキャラとして人気を博した。やがて復員してきた紀夫と入れ替わる形で第8週ですみれたちの前から姿を消すも、視聴者からは再登場を望む声が次々と上がり、“栄輔ロス”という言葉も生まれた。

 松下さんは“栄輔ロス”と言われ「ちょっとだけホッとした」といい、「今“〇〇ロス”っていうのがいっぱいあるじゃないですか。絶対に“〇〇ロス”って言われないといけないポジションにいたので、これで何も言われなかったらどうしようかなって(笑い)。だから“栄輔ロス”って言葉を見た時、『よかった、オレも何人かにはロスってもらったんだって」と笑顔で明かす。

 ◇再登場後の黒・栄輔「悪いことは何一つしていない」

 そんな栄輔は「13年の空白」を経て、ファッションブランド「エイス」の社長として第15週の後半から再登場。潔にとってはライバル会社の社長で、かつて想いを寄せていたすみれに対しては、どこか冷たい態度で接するなど、以前とは異なる姿を見せて話題を呼んだ。空白期間に渡米していたことは明かされたものの、変化の直接の要因は語られずじまいで、戸惑いからか、優しかったころの栄輔に対して再登場後のキャラクターを「ブラック栄輔」と呼ぶ視聴者も現れた。

 松下さんは「あの時代にアメリカに渡って、周りが自分のことを全く知らない環境の中で何年も過ごした人間は、どのくらい変わるのかって考えた時に、『いやいや、こんなにはならないでしょう』っていうことが、僕はありえると思った」と持論を披露。さらに「本心として潔さんは今も『兄貴』、でもそこは絶対に出したくない部分で、男としてのプライドもありますから。多分、栄輔も素直になりたいんですけれど、ビジネスとしてだったり、いろいろな感情が絡んで素直になれないんです」と栄輔の気持ちを代弁する。

 また松下さんは、再登場後の栄輔を演じる上で意識したこととして、「人間って決して表面だけで判断してはいけないって部分を感じ取ってもらえたらなっていうこと」といい、「栄輔は、悪いことは何一つしていない。栄輔なりの正義というか、偽善ではなく本当の善をやっている。工場を買い取った話でも、工場の人たちが潤って救えるわけで。だからといって栄輔は『やってやった』というタイプでもないですし、(妊娠して行き場のなかった)五月(久保田紗友さん)を受け入れたり、当然のようにそれをやっている。ただそこが、(視聴者に)見えるまではつらかったですね」と振り返る。

 ◇高度経済成長期に「憧れ」 栄輔の勢い・パワーに共感

 物語は第21週から「大阪万博」の時代へと突入。栄輔の上昇志向はとどまることを知らず“時代の寵児”となって、すみれたちの前に再々登場したが、「もちろん栄輔の中には『自分が成功したい』っていうのもあるんですけど、それ以上に『この日本を変えたい』と思っている。その勢いっていうのはとてつもないもので、現代にはあまりない。今は出るくいは打たれる時代で、逆にたたかれちゃうんじゃないかって違和感を覚えますけど。でもあのころの栄輔みたいな人って、めちゃくちゃ勢いがあったように感じるので、当時はリアルな姿だったんじゃないかって思いますね」としみじみと語る。

 また、松下さんは以前から高度経済成長期の日本に対して「憧れがあった」といい、「現代にはない日本人のパワーをすごく栄輔からも感じるので、うらやましくもあり、この時代に生まれたかったなって。波瀾(はらん)万丈だなとは思いますけれど、そういうふうに生きられた時代というか」とも明かす。波瀾万丈な人生を役とともに生きることができて「本当にラッキーだった」といい、「栄輔のようにやっている人たちってカッコいいし、現代ではなかなかいない。あの時代の芸能、音楽、ファッションにはとてつもないパワーがあったと思う。日本の流行を作り出した人を演じられて、自分らしい役柄を与えられたなって」と改めて喜びをかみしめていた。

 ◇“ポケットに手”に二つの意味 「意識改革」と「虚勢」 

 最後に、視聴者から態度の悪さを指摘された再登場後の栄輔の仕草“ポケットに手”について聞いてみると、松下さんは自発的にやったことを明かした上で、「あの時代に栄輔が持ち込んだのってアメリカでは当たり前とされているもの。アメリカのトラディショナルなスタイルを日本に広めただけなので、そういった部分でもちょっとした意識改革というか、『日本を変えよう』という表れなんじゃないかって」と説明。「大切な場面ではおそらくポケットから手は出していたと思うんですけど(笑い)、例えば店のところでポケットに手を突っ込んでいたりとか、僕からしたら『それを失礼という感覚自体がそもそも違うんだ』って」と語る。

 また松下さんは「ただいい服を着ることだけがファッションではないし、僕自身もそう思っている。その人のライフスタイルというか、生きざまというか」と力を込めると、「もちろん潔さんに対して、虚勢を張っていたというのもありますし、だから二つの意味があるんですね。日本人の当たり前を崩すっていうのと、虚勢を張るっていう精神的な表れで……。でもあんなになるとは思わなった。あそこまで話題になるってSNSの時代だなって」と思わぬ反響に苦笑いを浮かべていた。

 NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」はNHK総合で毎週月~土曜の午前8時ほかで放送。

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