放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
俳優の窪田正孝さんが主演連続ドラマ「ヒモメン」(テレビ朝日系、土曜午後11時15分)で、「楽して生きたい」をモットーに働かないことに全力を尽くす、ヒモ男・碑文谷(ひもんや)翔を演じている。これまで映画「東京喰種 トーキョーグール」の金木研、「HiGH&LOW」シリーズのスモーキーなど過酷な運命を背負う役柄も演じてきたが、今回は対照的にコミカルな役どころだ。演じる役の幅広さから“カメレオン俳優”とも呼ばれる窪田さんに、今作への思いとともに、30歳を前にした心境の変化や役者としての理想を聞いた。
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「ヒモメン」は、鴻池剛さんのマンガ「ヒモメン~ヒモ更生プログラム~」(KADOKAWA)が原作。定職に就かず、彼女である病院勤務の看護師・ゆり子(川口春奈さん)のお金だけで生きていく道を選んだヒモ男の翔(窪田さん)が、自身のヒモ生活を守るため、ゆり子の危機に徹底的に立ち向かっていく社会派コメディーだ。
「これまで幸薄い役が多かった」と語っていた窪田さんだが、「幸薄い役でも最終的に報われたり、そのまま壮絶に終わるとか、いろいろなパターンやジャンルがあるので、一緒くたにするのは失礼だとは思うんですけど、そういう役が多かった」と振り返る。
今回演じる翔は、恋人のゆり子への愛情と仕事をしないことへの情熱は誰にも負けないが、ヒモであることの罪悪感は全くない。窪田さんは翔を演じる中で、「(精神的に)どんどんプラスに考えていくことが、すごく今は多くなっていっている。これまでと比べると、ポジティブになっていくというか。深刻になっていかないで、どんどん明るくなっていくというか。闇に向かっていくというよりは、光のほうに向かっています」と明かす。
一方で、「コメディーは難しい」と率直に明かす。「何度もやっても、面白さのほうに振っちゃう癖が出てくるんです。でも、この作品はそこを求めていない。真剣にやってなんぼというか、それが基準。そのベースを崩さないようにするのが結構しんどいですね」と話す。
「ボケ・ツッコミが入ってきたりすると、頭の中の色がコメディーに変わっちゃうんです。この作品は翔とゆり子が真剣に話しているんだけど、どこかズレているのが面白い。台本に沿って演じていく中で色を付けていく作業が難しいですね」と話す。
「2人が真剣に生きているということを表現しないといけない。そうでないとちゃかして終わってしまう」と真摯(しんし)に語る。「ヒモメン」は「ゆり子目線の物語」だといい、「ゆり子が一生懸命生きて、一生懸命翔に振り回されているところに、視聴者の方が共感する作品だと思います。彼女を通して、翔の良さや病院で働くみんなの人柄を見てもらえたら」と見どころをアピールする。
仕事をせずに家でマンガを読んだりゲームをしたり、気ままな生活を送っている翔。そんな生活をうらやましく思うか聞いてみると、「それだけの人生はどうなのかなと思いますけどね」と苦笑しつつ、「ただ、ダラダラ休みがずっと続きます、仕事もないです、となっていったら、どんどん仕事をする感覚を忘れていくのは分かります」と明かす。
自身も10代の頃に似たような経験をしていたといい、「本当に全然仕事がなくて、ずっと仕事から離れて。何カ月かたって久しぶりにマネジャーに会ったら、『オーラも何にもない。表に出る顔じゃない』と言われたんです。その時のことはすごく覚えています。仕事をする、やる気みたいなものがなかったんでしょうね」と振り返る。
仕事をしないことに情熱をささげる翔については、「働いたほうが楽じゃない?と思うことがすごくある」と話す窪田さん。「仕事にもそれぞれあって、最近芝居というものが素直に好きと言えるようになってきた」という。一時期、「芝居にどっぷりとつかって、ちょっと嫌になったり、つらいという感覚になったり」したこともあったが、「時間にゆとりを持てるようになっていく中で、『ああ、やっぱり好きなんだな。この仕事が』とすごく思える瞬間が結構あって、この(『ヒモメン』の)現場でもすごくそれを感じるんです」と明かす。
「みんなで汗水垂らして一つのものを作り上げている感覚がやっぱり好きなんだなと、すごく思えた。だから、仕事をやっていく中で、ご飯を食べられているのは改めて幸せなんだなと本当に思いました」と噛みしめるように語った。
そうした心境の変化を感じたのは、今年に入ってからのことだという。8月6日で30歳を迎えるが、「もっといろいろなものをやっていきたいし、30になって、もっと視野を広げていきたい」と力を込める。
役者としての目標を聞くと、「うーん……」と悩んだ末、「ずっと素人の感覚でいたいというのは理想としてはあります。生きていく中でも芝居の中でも、予想のつかない人でありたい。だから、常に新鮮な感覚でいたいし、慣れたら負けというか終わりだなと思っています。常にそれが理想だなと思っています」と明かした。「ヒモメン」は、窪田さんの新たな魅力を発見できる作品となるのかもしれない。
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