草なぎ剛さん、柄本時生さん、満島真之介さんが声優を務める劇場版アニメ「ムタフカズ」(西見祥示郎監督)が12日から公開される。同作は架空の街“DMC(ダーク・ミート・シティ)”を舞台にキュートな見た目のキャラクターたちが死にものぐるいのサバイバルを繰り広げるバイオレンスアクションだ。草なぎさんが主人公のアンジェリーノ(通称リノ)、柄本さんがリノの親友でガイコツ頭のヴィンス、満島さんがバカで臆病なウィリーをそれぞれ演じる。3人に、アフレコのエピソードや声優に取り組んだ思いなどを聞いた。
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「ムタフカズ」は、劇場版アニメ「鉄コン筋クリート」(2006年)などを手掛けたアニメ制作会社「STUDIO4℃」の最新作で、フランスのマンガ家であるギヨーム“RUN”ルナールさん、ゲームや書籍などの制作会社「ANKAMA」とのコラボレーション作となる。失業者が路上にあふれ、カラーギャングが日夜抗争を繰り広げる米ロサンゼルスのダウンタウン「DMC」を舞台に、リノと親友のヴィンス、お調子者のウィリーのだらだらした日々と冒険を描いている。
――出演が決まったときの気持ちを教えてください。
草なぎさん 「鉄コン筋クリート」がすごく好きな作品なんです。そのスタッフの方たちが作られていると聞いて、この「ムタフカズ」の内容も知らずに「やりたい」と言ったんです。海外に出品されているとも聞いていて、面白そうだなと思いました。
柄本さん もともと、声優にずっと興味があって、やってみたいという気持ちがあったんです。だからお話をもらえただけでうれしかったですね。声の仕事は初めてなんです。
満島さん 初めてなの!? やっていそうなのに。顔がアニメ顔だから(笑い)。
柄本さん やってなかったんだよ(笑い)。だからずっと興味があって。できて楽しかったです。
満島さん 僕も草なぎさんと同じで、「STUDIO4℃」が作ると聞いて、即答でした。「新しい挑戦ができるんじゃないか」と思ったんです。これまでにいくつか声優の仕事はさせてもらっていましたが、今までとはなにか違う形でできたらいいな、と思っていたので、本当に楽しむ気持ちで現場に入って、本当に楽しみました(笑い)。楽しみすぎるぐらい楽しみました。
柄本さん ぎゃんぎゃんに(声で)遊んでいたよね(笑い)。
満島さん そう(笑い)。今回は草なぎさんが最初に声を入れていて、ベースのトーンが分かっていたんです。(草なぎさんと柄本さんの)2人のキャラクターのコンビ感とは違って、ウィリーはぶっ飛んでいてもいいんじゃないかな、と。今までにない感じのやり方でやってみようかなと思って演じていたら、楽しすぎてあっという間に終わりました。
――実際に演じてみていかがでしたか?
草なぎさん 出来上がったのを見ると、1人で録(と)っている感じではなくて、みんなの声がかみ合っていて「さすが、編集すごいな」と(笑い)。柄本くんからも満島くんからも湧き出てくるものが感じられて「すげえな」と思いました。僕も好きにやらせてもらったし、三者三様の色が出ていて。とてもいいんですが、なんで最後に満島くんが歌っているのかなって(笑い)。俺と柄本くんも歌いたかった。
一同 ハハハ(笑い)。
――エンディングテーマは満島さんが「Willy a.k.a. Shinnosuke Mitsushima」として歌っていますね。
満島さん 最初はそんな話になっていなかったんですけど……。本編で、最後にウィリーがラップするシーンがあるんですが、アドリブでやらせてもらったんです。そうしたら、「エンディングテーマをやりませんか?」という話になりまして。
草なぎさん めちゃくちゃうまいよね。ラップの経験あるの?
満島さん いや、初めてです。
草なぎさん 「これ誰が歌ってるんだろう?」と思いました。で、「満島くんじゃないの?」と。
満島さん 3人で一緒に歌うなら分かるけど、1人で歌うって「まさかだな」と思ったんですけど……。いろんな初体験がありました。
草なぎさん 3人で歌いたかった(笑い)。でもウィリーの役で満島くんがやるのが一番ばっちりなんですよ。
――リノは厭世的でクールな役。ヴィンスは友人思いで穏やかなイメージで、ウィリーはテンションが高い……とそれぞれ個性的です。どのようなことを意識して演じましたか?
草なぎさん 語尾をよく注意されましたね。短く切ってくれ、と。無意識で語尾を甘くしちゃうところがあるみたいで。最初は自分のクセを排除して演じるのはやりにくかったんですが、やっているうちにドライな感じが分かってきました。アフレコは長く回してもらえたので、自然とキャラクターと心が重なっていった感じでした。
柄本さん 僕は“生っぽくならない声”をどう作ればいいのかな、とすごく考えました。アニメの、表面的に聞こえるような声ってどう出せばいいんだろう、と……。声だけの演技って難しいんだなと思いました。
満島さん 僕が演じたウィリーは、リノと親友のヴィンスが冒険していく中に入っていくスパイスのような感じだと思ったので、弾ければ弾けるだけ、リノのドライな感じや親友思いのヴィンスのキャラが際立つといいなと、思い切りやらせていただきました。今までにやらせていただいた何本かの声のお仕事では、いつもの状態に近い声で演じていましたが、今回はウィリーというキャラクターに乗っかっちゃった方がいいんじゃないかと思ったんです。変なトーンでしゃべることで、この作品の幅が広がればうれしいなと。実はウィリー、出演シーンがすごく少ないんですよ。だからパーン!と弾ける何かがほしいなと思っていたんです。
柄本さん すごく、いろいろ言っていたよね、真ちゃん(笑い)。
満島さん そう(笑い)。たとえば「どこの店にする?」という会話のときも、草なぎさんがしゃべっている裏で「メキシコ、いやチャイニーズかな」とか言っていたりね。結構、アドリブも多かったです。長回しの収録だったので一瞬で終わってしまって、物足りなすぎて「足りないところないですか?」って聞いてみたり(笑い)。
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