有村架純さん主演の「RAILWAYS」シリーズ最新作「かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-」(吉田康弘監督)が、30日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開される。夫の死でシングルマザーとなったヒロインが、鹿児島に住む義父の元で暮らすことで、新たな一歩を踏み出す姿を描いたヒューマン作だ。運転士一筋で生きてきた義父を國村隼さんが演じている。熊本と鹿児島を結ぶローカル線・肥薩おれんじ鉄道が家族の物語を盛り上げる。
ウナギノボリ
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奥薗晶(有村さん)は、夫・修平(青木崇高さん)の死によって、夫の連れ子・駿也(歸山竜成=きやま・りゅうせい=さん)と共に夫の故郷・鹿児島にやって来る。修平と疎遠だった義父の節夫(國村さん)はローカル線の運転士。妻に先立たれて独り身だった。突然の来訪に最初は戸惑う節夫だったが、事態を受け入れ、3人の新たな生活が始まる。やがて、晶は駿也に背中を押され、夫の夢だった運転士を目指す……というストーリー。
節夫の妹役で筒井真理子さん、駿也の転校先の先生役で桜庭ななみさん、鉄道職員役で木下ほうかさん、先輩運転士役で板尾創路さんが出演し、温かな雰囲気を作り出すことに成功している。
血のつながりのない子供を引き取り、夫の実家を頼った晶。死んだ息子の修平とわだかまりがあった節夫。両者の気持ちに丁寧に添いながら、駿也と共に家族になっていく姿を映し出す。孫に息子の姿を重ねる節夫を、國村さんが味わい深く演じた。運転士姿も堂に入っている。
シリーズの肝、電車のシーンでは、九州の西海岸の光が美しく、女性運転士を目指すヒロインという新たな切り口を存分に楽しめる。一両編成の可愛らしい電車が走る映像に心なごみ、観光列車の「おれんじ食堂」に、旅気分もそそられた。晶が節夫に運転の手ほどきを受ける場面では、乗客の命を預かる運転士という職業の緊張感がみなぎっている。晶と修平とのなれそめや、晶と桜庭さんの演じる先生の間にもドラマがあり、それぞれの生きざまに心を動かされることだろう。
島根を舞台にした「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」(2010年)、富山を舞台にした「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」(11年)に続くシリーズ3作目。「キトキト!」(07年)や「江ノ島プリズム」(13年)などを手掛けた吉田監督が、不器用ながらも家族になっていく人々を、鉄道や鹿児島県阿久根市の美しい風景の中に描き出した。
音楽は、NHK大河ドラマ「西郷どん」の富貴晴美さんが担当。主題歌は、斉藤和義さんが書き下ろした「カラー」が採用された。(キョーコ/フリーライター)
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