放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
女優の有村架純さん主演の連続ドラマ「中学聖日記」(TBS系、火曜午後10時)が18日に最終回(第11話)を迎える。「黒岩君と聖ちゃんが結ばれてほしい」「ハッピーエンドじゃないと年越しできない」と切望する声でSNSが盛り上がっているこのタイミングで、新井順子プロデューサーに話を聞くことができた。有村さん演じる聖の恋を「一生の恋」といい、恋愛ドラマの醍醐味(だいごみ)を「疑似恋愛ができるところ。日常では体験できない、『こんなことがあったらすてきだな』とドキドキして“夢”を見られる場所」と話す新井プロデューサーがドラマにかけた思いとは……。
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ドラマは、マンガ誌「FEEL YOUNG」(祥伝社)で連載中のかわかみじゅんこさんの同名マンガが原作。片田舎の中学校を舞台に、女性教師の末永聖とその教え子の男子中学生、黒岩晶(岡田健史さん)との“禁断の純愛”を描き、第6話から物語は高校生編に突入している。
新井プロデューサーは最終回を目前に控え、聖と晶の恋を「こんなに応援してもらえるとは思わなかった」と思いを明かす。当初は、教師と中学生との“禁断愛”を描くという内容からか、SNSなどでは厳しい声も多く上がっていた。放送開始時点で撮影は後半に差し掛かっており、台本は聖と晶が島を訪れる第9話、気持ちを確かめ合った後の第10話の制作に取りかかっていたという。
「『気持ち悪い』というような声がずっと続くのかなと……。風当たりがきつい中、どう物語を見せていけばいいか迷ったこともありました。でも、これをやると決めたからには突き進むしかないと。最終回のゴールは決めていたので、最後にちゃんと答えがあれば伝わるものもあるはずだと突き進んできたところで、皆さんの好意的な意見が多くなってきた。一日に届くコメント数もすごくて、読み切れないぐらいです」と笑顔を見せる。
新井さんが考えるドラマのターゲットは「20代後半から30代、40代の女性。恋をある程度経験してきた、中学生時代を懐かしいと感じる世代」だったという。「ただ、その世代には中学生のお子さんがいらっしゃる方もいる。だから、ただ単に『恋は良いもの』と描くのではなく、夏川(結衣)さん(晶の母・愛子役)や夏木(マリ)さん(子星中学の教頭・塩谷役)の存在を際立たせ、この恋は許されないものなんだという反対意見も描いてきた」と振り返る。その上で「そうした反対を超えてでも、全てを捨ててでも貫きたいものは何なのか。これは“一生の恋”だと。人にはそう思うような瞬間がきっとあって。聖ちゃんはそれが28歳できたということなんです」と説明する。
新井プロデューサーは「泣けるラブストーリーを作りたい」と以前から語っており、恋愛ドラマに対する思い入れがあった。恋愛ドラマの魅力を「日常で体験できないドキドキを味わえたりと、疑似恋愛ができるところ」と話す。自身も一視聴者として見ていたという、1990年代にヒットしたドラマ「愛していると言ってくれ」(同局系)の豊川悦司さん演じる耳が不自由な画家・榊晃次が初めてヒロインの水野紘子(常盤貴子さん)の名前を叫ぶシーンを挙げて「今でもすごく覚えています。あの瞬間は『きゃー!』みたいな(笑い)」といい、さらに木村拓哉さん主演の「ロングバケーション」(フジテレビ系)のスーパーボールの名場面も「何年も前でも、そのシーンは断片的に思い出せる」と語る。
「こういうシーンがきたらワクワクする、ドキドキするだろうとか、こういうことが現実にあったらすごいよねとか。恋愛ドラマは、そうした夢を見られる場所。ある意味すごくファンタジーなんです」と話す。そうした恋愛ドラマを描くためにこだわったのが「心象風景」だった。「恋愛の場合は『言いたいけど言えない』『言ったけど伝わらなかった』と、どうにもならない感情が生まれる。それを景色や雨の音、自転車のカラカラという音など心象風景で表現する」という。「中学聖日記」では、象徴的なシーンで夕日が登場するが、撮影では「毎日夕日を狙っていた」こともあったそうだ。
「中学聖日記」は、新井プロデューサーがいう「すごく印象的なドラマティックなシチュエーション」が描かれた90年代の恋愛ドラマの要素を持ちつつ、「禁断愛は許されない」という現実をも描き、言葉だけでは表現できない繊細な感情を美しい映像で見せてきた。だからこそ、世界観に浸ることができ、恋の行方にやきもき、ハラハラさせられるのかもしれない。
前回の第10話は、思いを確かめ合った聖と晶が引き離されてしまうような衝撃の展開でラストを迎えた。新井プロデューサーは最終回について「18歳の高校生と28歳の2人が禁断の許されない恋を経験し、どういうラストを迎えるか。どういう答えを出すのかが見どころ」と語っている。
さらに「聖と晶だけでなく、原口さん(吉田羊さん)や勝太郎さん(町田啓太さん)や愛子さんも、最後にそれぞれの決断をする」といい、「それは、社会や固定観念に縛られない、自分が幸せに生きるための選択」になるという。
有村さんはドラマの魅力を「どこも逃したくないと思わせてくれるのがこの作品の魅力。表情だけじゃない部分、手の先から足先までとか、周りの空間も含めて何度でも見て確かめたいと思わせてくれる」と語っている。最後まで見逃すことなく、それぞれの行く末を見守りたい。
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