特撮ドラマ「烈車戦隊トッキュウジャー」で注目を集め、近年では連続ドラマ「初めて恋をした日に読む話(はじこい)」や映画「L・DK ひとつ屋根の下、『スキ』がふたつ。」「虹色デイズ」といったさまざまな作品に出演するなど大活躍中の横浜流星さん。10日には中尾暢樹さんとのダブル主演作「チア男子!!」(風間太樹監督)が公開され、現在特に勢いのある若手俳優の一人だ。「はじこい」で話題を集めたトレードマークのピンク髪から一新、明るい茶髪となった横浜さんは、「イメージを壊していくことが大切」と語る。横浜さんに「チア男子!!」の撮影エピソードや、「イメージを壊すこと」についての思いなどを聞いた。
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「チア男子!!」は、「桐島、部活やめるってよ」などで知られる直木賞作家・朝井リョウさんの小説が原作で、朝井さんが早稲田大学在学中に男子チアチーム「SHOCKERS」をモデルに執筆。これまでマンガ化やテレビアニメ化、舞台化されてきた。映画は、道場の長男として柔道を続けてきた大学1年生の坂東晴希がけがをきっかけに柔道をやめ、親友の橋本一馬と共に男子チアチームの結成を目指す……という内容。チアチームの仲間として瀬戸利樹さん、岩谷翔吾さん、菅原健さん、小平大智さん、浅香航大さんも出演する。
もともとは空手少年で、2011年には空手の国際大会で優勝した経験を持つ横浜さん。だが、そこには個人競技ゆえの孤独もあったという。「脚本を読んでまず思ったことは、団体競技なので『仲間がいる』という心強さですね。空手をやっていたときは孤独だったので。心強いと思えたし、仲間がいることで引き出される力もありました。みんなで何かを作るというのは素晴らしいことだと、改めて思いました」と語る。
直近の公開作「L・DK ひとつ屋根の下、『スキ』がふたつ。」では米国育ちで強気なイケメン役を演じたが、今作の晴希はそれとは真逆の、おとなしめな悩める大学生。横浜さんは晴希役を演じるにあたって声のトーンを意識したといい、「晴希は可愛げのある男の子でもあるので、少し声を高めにしてみました」と明かす。また、「等身大の男の子でいようとは思っていました。ただ、お姉ちゃんや柔道のことなどで悩める青年だったので、内に内にと入ってしまわないよう、あえて明るくはしていました」と振り返る。
「L・DK」や「はじこい」とは異なる物静かな役だが、「違えば違うほど振り切れるので、やりやすいですね」と苦にはしていない。さらに、「主人公は“受け”のお芝居がすごく大切だと思うので、自分がどうこうするというよりも、(共演の)みんなが発信してくれるお芝居を素直に受け止めて返す、ということはずっと意識していました」と演技に対する考えを明かす。
晴希たちが創設する男子チアリーディング部が「BREAKERS」と命名されたように、世間のイメージや自身の殻を「壊す」ことが今作のテーマの一つでもある。完成作を見た横浜さんは「これでもかってぐらい背中を押されました」という。「チアリーディングは女性がやるものだと思われているけど、彼らは気にせず、一生懸命チアリーディングをやる。カズ(中尾さん演じる橋本一馬)が『壊したい』と言うシーンがありますが、みんなで文化祭に向けて頑張っていた姿を見て、『俺もイメージを壊していきたい』と思いました。すごく背中を押されましたね」と心境を明かす。
イメージといえば、3月に終了したドラマ「はじこい」では高校生“ゆりゆり”こと由利匡平役を演じ、そのピンク髪の“無敵ピンク”がトレードマークとして話題を集めた。すっかりピンク髪が横浜さんのイメージとして定着した感もあったが、横浜さんには「ピンクの髪から黒に戻すときが怖い、という思いもあった」という。「ドラマをやって、すごく影響力があって、みんなからそういうふうに役名(ゆりゆり)で読んでもらえるのはうれしいですけど、『しばらくはそう呼ばれるんだろうな』って……。『次の作品を受け入れられない』みたいなコメントもありましたし」と葛藤もあった。
ただ、そういった怖さの中で、今作の存在が支えになった。「どんどんいろんな役に挑戦してイメージを壊していくってすごく大切ですし。そのタイミングで(完成作を)見られたから、背中を押されたところもありました。ファンが大切だからこそ、いろんな顔を見せていきたいと思いましたね。みんなが描いているイメージをいい意味で壊していきたいと、この作品を見て背中を押されました」と力強く語る。
「人それぞれ違うと思いますけど、固定はしたくないな、と思っています。役者という仕事だからこそ、いろんな作品にチャレンジしたい」と横浜さん。ただ一方で、「イメージをつけることも大切」という思いもある。「たくさんの方に知ってもらうことも大切だなと思っているので、(イメージが定着して)そこから自分がどうしていけるかがこれからの課題かなと思う。いい意味で、『こんな顔もできるんだ』というふうに思ってもらえればいいなと思います」とほほ笑む。
ところで話題となったピンクの髪について改めて聞いてみると、「原作がきれいなピンクだったので、みんなであのピンクを作ったんです。きれいなピンクになってよかったです。写真集のイベントをやったときに、髪をピンクにしてくれている子もいて、こうやって増えるのもうれしいなと思いましたね」と目を細める。
ドラマで話題を集め、映画でも主演作が続々公開されるなど、いま特に勢いのある俳優の一人といえる横浜さん。現在のブレークを自身ではどうとらえているのか。そう聞くと、「応援してくださる方が増えたというか……舞台あいさつとか、インスタグラムで実際に皆さんと会えることによって、感じることはできました」と実感を口にする。だが「まずは地に足をつけること」と気を引き締める。「自分は何も変わっていないので、ふわふわしないように、地に足をつけて。一生懸命役と向き合うことがすべてだと思うので、変わらずやっていきたいと思います」と語る。
最後に、「横浜流星」として大事にしていることを聞くと、横浜さんは「目の前のやるべきことを一生懸命やることしかできないですけど……」とし、「とにかく自分ができることはやる。撮影が早く終わったら家に帰って台本を読んで……まだ技術もないし、撮影をしている最中は作品と役に向き合うことしかできないので。ちゃんとその作品、その世界で生きられるように、というのは心掛けています」と語った。
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