月9:「ラジハ」から「監察医 朝顔」へ 視聴率の好調維持に“異例尽くし”の仕掛け

連続ドラマ「監察医 朝顔」で主演を務めている上野樹里さん
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連続ドラマ「監察医 朝顔」で主演を務めている上野樹里さん

 女優の上野樹里さんが主演するフジテレビの“月9”ドラマ「監察医 朝顔」(月曜午後9時)の第1話が7月8日に放送され、平均視聴率は13.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・以下同)を記録し、好スタートを切った。前クールは窪田正孝さん主演の医療ドラマ「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」(ラジハ)が全11話で放送され、期間平均の視聴率12.1%と2桁を維持。「監察医 朝顔」の好発進の裏には、窪田さんと上野さんのバトンタッチイベントや、クールの垣根を越えた“クロスオーバー”出演など、視聴習慣を崩させないために“異例尽くし”ともいえる仕掛けがあった。

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 ◇人間の“生死”の裏にあるヒューマンドラマが視聴者を引き付ける

 ラジハは、マンガ誌「グランドジャンプ」(集英社)で連載中の横幕智裕さん作、モリタイシさん画の「ラジエーションハウス」が原作。病院の放射線科“ラジエーションハウス”を舞台に、CTやMRIで病気を撮像する“天才放射線技師”の五十嵐唯織(窪田さん)と、画像を読影し診断を主治医に伝える放射線科医の甘春杏(本田翼さん)との初恋を軸にラジハチームの活躍を描いた医療ドラマ。唯織らラジハチームが、病院に来た患者たちの病気を発見し患者の命を救うだけでなく、周囲の家族の愛情や絆なども描かれた。

 「監察医 朝顔」は、マンガ誌「漫画サンデー」(実業之日本社、現在は休刊)で連載された作・香川まさひとさん、画・木村直巳さん、監修・佐藤喜宣さんのマンガを原作に、設定をアレンジ。新米法医学者の万木朝顔(上野さん)と、朝顔の父でベテラン刑事の万木平(たいら、時任三郎さん)の父娘が、かたや解剖、かたや捜査で遺体の謎を解き明かしながら、遺体から見つけ出された“生きた証し”が残された人たちの心を救っていくさまをハートフルに描くヒューマンドラマだ。

 法医学者の朝顔が死因不明の遺体の胸に手を置き「教えてください。お願いします」と語りかけながら解剖を始め、興雲大学・法医学教室のメンバーたちと警察が死因を探っていく姿や、残された家族の思いも情感たっぷりに描いている。

 この二つの“医療ドラマ”には人間の“生死”に関する物語が描かれ、SNSでは「作品の色は違うけど、裏にある人間ドラマに感動してしまう」「ラジハも面白かったけど、朝顔も見応えがある」という声が上がっている。

 ◇窪田正孝のプレゼント 中尾明慶の“クロスオーバー”出演 仕掛けがたっぷり

 ラジハの初回(4月8日放送)は視聴率12.7%でスタート。第4話のみ2桁を切ったものの最終回(6月17日放送)では13.8%を記録。翌週の同月24日には、異例ともいえる特別編を放送。特別編は同ドラマシリーズ最高となる15.6%をマークした。また、同作の特別編の放送日と「監察医 朝顔」の初回放送までの期間は2週間で、2016年4月期に同枠で放送された福山雅治さん主演の「ラヴソング」以降、その例はない。

 両作の間では異例のバトンタッチイベントも行われた。ラジハのクランクアップを迎える前に窪田さんが、撮影を開始していた上野さんのもとを訪問。イベントは、朝顔と平が暮らす家のセットで行われ、窪田さんが上野さんに激励の思いを込めて朝顔の絵柄の風鈴をプレゼントした。

 さらに、「監察医 朝顔」で解剖の補助や臓器の病理検査を行う法医学教室の検査技師・高橋涼介を演じる俳優の中尾明慶さんが、同役でラジハの特別編に“クロスオーバー”出演もし、視聴者の期待をあおった。クールの垣根を越えた“仕掛け”が視聴者の期待を持たせる要因となったといえるだろう。

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