スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー(P)が9月30日、東京都内で行われた12月公演の新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」の制作発表会見に登場した。同作は1984年に劇場版アニメが公開された宮崎駿監督の同名の名作マンガが原作で、宮崎作品、スタジオジブリ関連作品が歌舞伎舞台化されるのは初めて。鈴木さんは「宮崎にとってナウシカというのは、いろいろなやってきた中で一番大事な作品だったんですよ」と宮崎監督の思いを代弁し、歌舞伎化については「たぶん彼、嫌がると思っていたんです。というのは、ハリウッドなんかもこれを実写映画にしたいとかいろんな話があり、全部お断りしてきたんです。ところが今回に限ってはなぜかやろうよ、と言ってくれた」と快諾したことを明かした。
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会見には、歌舞伎俳優でナウシカ役の尾上菊之助さん、トルメキアの皇女・クシャナ役の中村七之助さん、演出を担当するG2さん、松竹の安孫子正副社長も出席。鈴木Pは「僕、(宮崎監督に)断られると思っていたんです。だから菊之助さんとお会いしたとき、『もののけ(姫)はどうですか?』とお話したことがあるんです。その方が歌舞伎に近づくから」と笑いながら振り返っていた。
また、鈴木Pは、宮崎監督は歌舞伎化にあたって二つの条件を出したといい、「一つ目が、『ナウシカというタイトルを変えないでほしい』。二つ目が、『記者会見その他、いろんなことがあると思うけど、俺、協力しないよ』と(笑い)。全部、鈴木さんがやってくれるなら、と(言った)」と明かした。
原作の「風の谷のナウシカ」は、宮崎監督が1982年に雑誌「アニメージュ」(徳間書店)で連載を開始し、13年かけて完結した名作マンガ。「腐海(ふかい)」と呼ばれる菌類の森に覆われた最終戦争後の世界を舞台に、辺境の小国・風の谷に住む主人公の少女ナウシカの活躍を描いており、兵器「巨神兵」を復活させる力を秘めた秘石を偶然手にしたナウシカが、愚かな戦争や、腐海や蟲が起こす困難に立ち向かう……という内容。劇場版アニメは宮崎監督の初期の代表作となった。
新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」では、劇場版アニメでは描かれなかった全7巻のマンガの壮大な物語すべてを昼の部・夜の部通しで上演する。新橋演舞場(東京都中央区)で、12月6~25日。
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