放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
女優の戸田恵梨香さんが主演を務めるNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」(総合、月~土曜午前8時ほか)。物語は2月3日から始まる第18週「炎を信じて」で、ヒロイン・川原喜美子(戸田さん)の穴窯での挑戦は佳境を迎え、家を出てしまった八郎(松下洸平さん)との関係は修復できるのか、また喜美子は“理想の色”を出すことができるのか、視聴者は先が気になるところ。喜美子が陶芸家として本格的に歩み始めた第14~17週を戸田さんが振り返った。「喜美子と八郎は、いつも“2人とも間違ってない”というのが、しんどいんです」と語る、その胸中は……。
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第14週「新しい風が吹いて」(1月6~11日)は、父・常治(北村一輝さん)の死から3年がたち、喜美子は31歳に。陶芸家として名の知れるようになった夫・八郎を支える姿が印象的だった。そんな中、幼なじみの信作(林遣都さん)に「今の喜美子は喜美子じゃない」と言われたことで、その後の八郎との関係や喜美子の心境に変化はあったのだろうか?
戸田さんは「喜美子自身『本当にやりたいことをやれていない』という気持ちはあったと思います。でもその中に、ハチさんのことをただひたすら支えたい、フォローしたいという思いがから回ってしまうのが14週でした。ハチさんもそんな喜美子の思いを受け止めているんだけれど、それもハチさんにとっては苦しい。2人の思いがどんどんと絡まっていくさまが、演じていて結構苦しかったです」とコメント。
続けて「喜美子と八郎は、いつも “2人とも間違ってない”というのが、しんどいんです。『もうちょっと、お前がやりたいことをやってもいいんちゃうか』と背中を押してくれるのは、信作だからこそできることですし、信作だからこそ、喜美子の心にぐさっと刺さるんですよね。だけど喜美子は、『まずハチさんが』って考えてしまう。喜美子と八郎の愛情が本物だからこそ、しんどいことってあるんだなと、この作品を通して知りました」と語っている。
第15週「優しさが交差して」(1月13~18日)では、喜美子が絵付け小皿の大量注文を受け、久しぶりにもの作りに対して燃える気持ちを思い出し、没頭していった。
戸田さんは「『ああ、喜美子のこの姿が見たかった』と個人的に思った週でした。ハチさんのことも支えたい、でも同時に、絵付け小皿も頑張りたいっていう二つの欲が同時に生まれて、どうバランスをとればいいのか喜美子は分からなかったけど、ハチさんが背中を押してくれました。だから、ハチさんのことは三津(黒島結菜さん)に任せる、と喜美子が決断できたのだと思います。ただそれをきっかけに三津の八郎に対する気持ちが膨れ上がっていくので、良かったのかどうかはちょっと分からないんですけれど、喜美子と八郎がそれぞれ陶芸家として大きく一歩進んだところなので、そこは良かったと思いました」と話している。
第16週「熱くなる瞬間」(1月20~25日)では、喜美子の家に照子(大島優子さん)と信作が集まり、幼なじみ3人で夜通し語り合うシーンもあった。
戸田さんは「この3人がそろうと『やっぱりこれこれ!』という感覚なるんです。『これがほしかった!』という感じ。一番落ち着くし、楽しいし、喜美子の人生の真ん中にあるのがこの2人なんだなあと思いました。この3人で集まったとたんに、完全にタイムスリップできるんです。こういう経験って私自身はなかなかできないので、子供のころから過ごしている人たちって強いんだなと思いました」とコメント。
第17週「涙のち晴れ」(1月27日~2月1日)では、八郎の応援もあって、喜美子が穴窯を作り、自然釉(ゆう)への挑戦を始める。
戸田さんは「穴窯を作る前は、ちゃんと売れるものを作らなきゃいけないと話していた喜美子が、『売れなくてもいい、自分の作りたいものを作る』と言い出して、考え方も発言も全く変わってしまいます。今まではお金を大事に、家族のために一生懸命やってきた人が、家族がダメになってもやり続けるっていう狂気に似た熱意を持ち始めるんです。本当に自分がやりたいことと出合ったときって、いままで自分が積み上げてきたものもなかったことになるくらい、そっちに突き進んでしまうんだなと。天才になる人の片りんを見た気がしました」と話している。
さらに「17 週あたりになると、喜美子は何としても自然釉というものを完成させたいという気持ちが強くなるんです。窯焚(かまた)きに使うお金について、ハチさんが『武志のためのお金やろ』というのも正論なのですが、喜美子には武志のお金を使って申し訳ないという気持ちは一つもないんです。ハチさんと離れてからは、ハチさんと離れたことに対して、武志に申し訳ないという気持ちを持つけれど、お金に対してはないんです。恐怖と責任を負っているし、絶対に成功させてやる、成功するまではやめたらいけない、それこそすべてが水の泡になる、と考えているのだと思いました」とコメント。
「喜美子が穴窯を作ると決め、成功を目指し没入していくころから、急に喜美子の人が変わったようになるんです。第100回(1月30日放送)で照子が喜美子のもとにきて、『目え、覚ませ』と言ったと き、喜美子は『一人もええなあ』と返しました。このせりふが、17週まで演じてきた中で一番印象に残ったせりふです。一番衝撃的で、台本を読んだときに涙が止まりませんでした。『一人もええなあ』というのは、今までの自分の人生を全部否定するような言葉じゃないですか。今まで、ずっと誰かのために生きてきて、それが喜美子の幸せでもあって、心の支えでもあったのに。こんな重い言葉があるのだと、鳥肌が立ちました」と話している。
「スカーレット」は、101作目の朝ドラ。焼き物の里・滋賀県の信楽を舞台に、女性陶芸家の草分け、川原喜美子の波瀾(はらん)万丈の人生を描く。脚本を人気ドラマ「ホタルノヒカリ」シリーズなどで知られる水橋文美江さんが手がけ、語り(ナレーション)をNHKの中條誠子アナウンサーが担当。主題歌は、ボーカリスト越智志帆さんのソロユニット「Superfly」のオリジナルソング「フレア」。
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