真木よう子:重いテーマ演じる“つらさ”と“やりがい” 「一番役者でいられる時間」

ドラマ「ファーストラヴ」で主演を務める真木よう子さん
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ドラマ「ファーストラヴ」で主演を務める真木よう子さん

 2月22日午後9時から放送されるNHK・BSプレミアムの特集ドラマ「ファーストラヴ」で主演を務める女優の真木よう子さん。ドラマは「第159回直木賞」を受賞した島本理生さんの同名小説(文藝春秋)が原作で、真木さんが演じるのは、父親を殺した女子大生・環菜(上白石萌歌さん)のルポを書くために彼女と向き合う公認心理師の由紀。重いテーマに挑む形だが、真木さんは「やりがいがある」とほほ笑む。真木さんに演じた役への思いや重いテーマに挑む心境などを聞いた。

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 ◇女性なら誰もが共感できる

 物語は、公認心理師の由紀は、出版社から「美人女子大生の父親刺殺事件」のルポの執筆依頼を受けることから始まる。テーマは、父を殺害した女子大生の環菜が「動機は見つけてください」と警察に言い、波紋を呼んでいる事件。環菜の国選弁護人で由紀の義弟でもある迦葉からも協力を請われた由紀は、環菜と面会し「正直に言えば、私、うそつきなんです」と言われる。由紀はカウンセリングのような形で、環菜の家族に何があったのかを突き止めようとするが……と展開する。

 演じる由紀の魅力を「人間らしさ」と表現する真木さん。「由紀は、いつも演じているような“強い女”ではなくて。強さも兼ね備えているけれど、背景にはものすごくつらい思いがあり、なんとか乗り越えてきている、という人間らしい役なのではないかと思いました」と語る。
 
 環菜と向き合う由紀を演じるにあたり、心理師という職業について調べ、さまざまな患者がいることを知った。「患者さんが言葉にしたことが必ずしも全てではなく、おそらくSOSはいろんなところから出ているんだろうな、ということを、今回の作品で学びました」と真木さんは明かし、「環菜が言っていることをうのみにするのではなく、彼女の挙動や目の動き、しゃべり方などを見て、何がおかしいのか、何が起こっているのかを分析していくのが心理師なんじゃないか、と思いました」と振り返る。

 親子の愛憎を描いた今作について、「多くの女性が共感できる」と真木さん。「自分が子供のころ、親は子供にとって決してパーフェクトではなかった。おそらく、ほとんどの人にとってそうじゃないかと思うんです。でも今、私はもう結婚して、娘がいる。だから分かることがある」と親と子の両方の目線で語り、「今は母親になった女性も、母親に何か(の葛藤)を抱いている女性も、私みたいに(過去の葛藤を)乗り越えたような女性も、何か共感できる、心が苦しくなるシーンが散りばめられているので、多くの女性が共感できると思います」と手応えを話す。

 ◇もし「ジョーカー」の話が来たら……

 今作は、親子の愛憎や闇に踏み込む、重いテーマの作品だ。真木さんが演じるのも、公認心理師として父を殺害した容疑者と向き合う……という心理的にハードな役どころだが、真木さんは「今作みたいな決して軽いテーマではないドラマで演じることは、やりがいがある。ぜひやりたいと思いました」と、むしろ歓迎するところだったようだ。真木さんはそれを「役者心」と表現し、「いろんな作品の話が来て『これはかなり感情を出せる』と思ったとき、『やりたい』となる癖があります」と明かす。

 「重いテーマの作品は、見るのはしんどいですけど、演じるとなると、やっぱりやりがいがあるんですよ。だから、そっち(への出演)に行きがちですね。この前も、(ホアキン・フェニックスさん主演の映画)『ジョーカー』を見ちゃって。『あー、しんどい……』と思ったんです」と役者目線で感想を明かし、「でも、もし私がハリウッドスターで、『ジョーカー』の話が来たら、やるよな、とかいろいろなことを思って(笑い)。見る方はとてもしんどいけど、やる方はものすごくやりがいがある、ということはあるので、重い作品に行きがちですね」と語る。

 そう役者心をのぞかせる真木さん。重いテーマの作品を演じることは「しんどい」のだろうが、あえてそこに挑むのは、役者として充実した時間を過ごせるからだ。「(演じるキャラクターが)どういう気持ちだったんだろう、とかそういうことを考えずに演じるのって、楽すぎる気がしていて……。ものすごく考えて、そこまで降りていって、(役と)一緒に考えてあげることはすごくつらい作業だけど、それをやっているときが一番役者でいられる、充実している時間なんじゃないかと思います」と、役者としての思いを語ってくれた。

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