M-1グランプリ2024 決勝戦
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
12月22日(日)放送分
2007年のラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会「カナダ対日本」戦が、WOWOWで7月12日に放送される。5月に現役引退を表明した日本代表最多キャッパー(98キャップ)の大野均さんと、この一戦を締めくくるコンバージョンキックで英雄となった大西将太郎さんによるダブル解説が実現。「均(キン)ちゃん」「しょっさん」と互いを呼び合う同期の2人が、カナダ戦を振り返った。
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──これまで2007年大会の「カナダ対日本」戦の映像を丸々見返したことはありますか?
大野さん 初めてです。しょっさんの最後のコンバージョンキックは何度も見てきましたが、見てみると「こんなプレーやシチュエーションがあったんだ」という発見がありました。
大西さん 自分のキックはこうして取り上げていただいてきたことで何度か見たことはあるのですが、そのプロセスや展開を見たのは均ちゃんと同じく初めてですね。
──その最後のコンバージョンキックはどのような心境でしたか?
大西さん ボールを置いてからはあまり記憶がないのですが、覚悟を決めた瞬間に自分1人だけがグラウンドに立っているような感覚になり、音も静かになったんです。いわゆる「ゾーン」に入ったのはあの時が最初で最後でしたね。気付いたらみんなが駆け寄っていました。
大野さん 「しょっさん、頼む」と祈るような思いで見ていました。本当にうれしかったですし、同期の熊谷皇紀が号泣しているのを見て思わずもらい泣きしてしまいました。
──当時の日本代表はどんなチームでしたか?
大野さん いいチームでしたね。見返してみても雰囲気の良さを感じました。チームのマスコット的存在だったプロップの西浦達吉さんがワールドカップの舞台に立つまですごく苦労しているのを見ていたので、一緒にグラウンドに立ててうれしかったことを覚えています。
──キャプテンはナンバーエイトの箕内拓郎さんでした。
大西さん 僕にとっての日本代表のキャプテンと言えば箕内さんなんです。均ちゃんと同じく体を張る選手で、後に菊ちゃん(菊谷崇さん)やリーチ(リーチ・マイケル選手)といった素晴らしいリーダーが出てきたのも、あのような先輩がいたからだと思います。バックスには大会直前のケガで出場できなかった大介さん(大畑大介さん)もいて、一つ上ですが同期のようなザワ(小野澤宏時さん)もいた。いろいろな人の思いが詰まった大会でした。
──改めて「カナダ対日本」戦の見どころ、注目してほしいポイントをお願いします。
大西さん 得点シーンは少なかったかもしれませんが、一つ一つのぶつかり合いや接点の激しさに力が入る一戦で、ワールドカップに消化試合はないということを改めて思わせてくれた試合でした。(試合が行われた)ボルドーとはあまり縁のない日本とカナダの試合に満員のお客さんが集まってくれて、日本でもあのようなシーンを作りたいと思わせてくれた試合でもあります。去年のワールドカップでそれが実現されたことはすごくうれしく思っています。
大野さん カナダもジャパンも気合がみなぎっていて、ラグビーの醍醐味(だいごみ)であるコリジョン(ぶつかり合い)が楽しめる試合だと思います。しょっさんらバックスの選手もガツガツ当たっていましたし、客観的に見てもすごく面白い試合だと思いました。
──今春、多くのファンに惜しまれつつ現役を引退した大野さんですが、長く現役生活を続けることができた理由やモチベーションはどのあたりにあったのでしょうか?
大野さん 若い時は「何としても試合に出たい」という思いで、試合に出られるようになってからは「出て当然だ」という態度をせず、ベテランになってからは若手に「おっさんでも頑張っているから自分もがんばろう」と思ってもらえるように、という形でその時その時によってモチベーションは変わっていきました。単純にラグビーをプレーすることが好きだったこと、スタジアムでいろいろな方に声をかけてもらったこともその大きな要因ですね。
──大西さんは同期の大野さんの引退をどのように受け止めましたか?
大西さん 均ちゃんは発表よりも前に連絡をくれたのですが、何度見てもメールに「引退する」と書かれていました。信じたくなかったので「とりあえずこのメールは保留ということで」と返信しました(笑い)。引退って誰にでも来るものなんだなと思いましたね。長年、体を張ってきた均ちゃんとトンプソン(トンプソン ルークさん)が同じ年に引退し、一つの時代が終わったという思いです。
──大野さんの今後について聞かせてください。
大野さん 所属する東芝ブレイブルーパスの普及担当に就任しました。ラグビーを知らない層、ラグビーにそこまで興味がないという層にもアピールし普及活動していきたいですね。今はコロナ禍で難しいですが、落ち着いてから本格的に活動していければと考えています。
──最後に、大野さんがラグビーから学んだことを教えてください。
大野さん 2007年大会に向けた最初の合宿で本番までのスケジュールが提示された時、「こんなに期間が長く、こんなに遠征がたくさんあるのか」と気が遠くなったのを覚えていますが、今となっては本当に一瞬で終わったという感覚です。どんなにキツく、つらい状況にもいつか終わりがくる。そのような経験をしたからこそ2015年大会前のキツい合宿も耐えることができました。だからこそ、今のようなコロナ禍の状況でも「自分がやるべきことをしっかりやって、いつかまた光が見える時まで我慢しよう」と思えているのかもしれません。
※……WOWOWでは「ラグビーワールドカップTM 感動と興奮の名勝負選! ~日本代表 激闘の軌跡~」と題して、1991年大会から2019年大会まで、日本代表が激闘を繰り広げた名勝負10試合を放送。「2007年大会 カナダvs日本」は7月12日午後3時半からWOWOWライブで放送される。
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