名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
人気BL(ボーイズラブ)コミックが原作のテレビアニメ「ギヴン」の劇場版「映画 ギヴン」(山口ひかる監督)が、8月22日に公開された。バンド「ギヴン」のドラム担当の梶秋彦の同居人で天才バイオリニストの村田雨月を演じるのが、声優の浅沼晋太郎さん。雨月、秋彦、秋彦に思いを寄せる中山春樹の3人の恋が描かれる「映画 ギヴン」を浅沼さんは「美しいのだけれど、すごく丁寧に扱わないと壊れちゃいそうなデリケートなものだけで構成されているような作品」と表現し、「あえて作り込まず、芝居しすぎないようにしようと意識した」と振り返る。作品の魅力、演じる上でのこだわりを聞いた。
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「ギヴン」は、マンガ誌「シェリプラス」(新書館)で連載中のキヅナツキさんのコミック。バンドメンバーたちの青春群像劇が描かれる。テレビアニメが、フジテレビほかの深夜アニメ枠のノイタミナで2019年7~9月に放送され、バンド結成や高校生の佐藤真冬、上ノ山立夏の恋が描かれた。「映画 ギヴン」では、元恋人でありながら同居を続け、中途半端な関係を続ける秋彦と雨月、長年秋彦に思いを寄せる春樹という3人の苦くて熱い恋が描かれる。
雨月は「ギヴン」のバンドメンバーではなく、今作で本格的に登場する。高校生の真冬、立夏と比べ、春樹、秋彦、雨月は大人組という位置づけだが、浅沼さんは「僕らの世代からしたら、彼らもまだまだ若くて初々しくて、どこか危なげ」と話す。
「きっと秋彦にしても春樹にしても雨月にしても、高校生の真冬と立夏に学ばされるところもいっぱいあるんだろうなと思います。行動やせりふからまだまだ大人じゃないんだなと感じ取れるところがすごくリアル。僕らも現実世界では大人ですが、『もう大人なんだから』と叱られたり、『大人げない』と言われたり、かと思えば『若々しい』と褒められることもありますからね」
今作では、真冬が新曲作りに悩むシーンが描かれ、自身も舞台などの脚本を手がける浅沼さんは「歌詞ができない苦しみだとか、一緒に作っている人間が周りにいるのにどこか孤独を感じる瞬間とかは僕も少なからず経験しているので、すごく感慨深く見ていました」と思いをはせる。
自身が演じた雨月に対しては「口に出して発する言葉とモノローグが裏腹だったり、あるいは言葉足らずだったりするところがある。思ったことを真っすぐに話す真冬とは、同じ天才でも真逆」と話す。
「雨月を演じる上では、演じすぎないようにしなくてはいけないと思っていました。この作品は、すごく繊細なせりふ、絵作り、音と何もかもが、薄いガラスのようで……。美しいのだけれど、すごく丁寧に扱わないと壊れちゃいそうなデリケートなものだけで構成されているので、演じすぎて『特別なこと』にしてしまってはだめだなと、テレビシリーズの時から意識していました。僕はほかの作品では、トーンやしゃべり方の質を気にして作り込んだりしがちなのですが、この作品は地声のまま、あえて作り込まずに、芝居しすぎないようにしようという意識をずっと持っていました」
「声にならない声もマイクに乗れば」とも考えたという。
「物理的に考えたらそんな非現実的なことはないのですが、せりふがない時の空気も雨月から見えたらいいなと。特に『映画 ギヴン』は、テレビシリーズ以上に間が大事にされていると感じたので、なおさらせりふが発せられていないシーンでもキャラクターの存在を感じ取ってもらえたら幸せだなと思って演じていました」
浅沼さんは、今作で描かれる大人組の恋愛は「リアル」だと話す。
「みんなが不器用なのは間違いないのですが、それぞれが置かれているシチュエーションやタイミングのほんのわずかなずれが、3人の恋模様に影響しているんだなと思うと、そこもまたリアルだなと思います。キャラクターたちが幸せになってほしいと思うファンがほとんどだとは思いますが、悲しいかな、現実ではうまくいっている恋の裏側では泣いている人がいるわけで。そこをフィクションだから、作り物の物語だからと、目をそらさずに描くのが、この作品の魅力でもあるんだろうなと思います」
「ギヴン」の世界観を最初から最後まで途切れることなく感じられるのも魅力という。
「映画館では、ものすごく繊細なものも描いていても、しっかりと目に飛び込んでくるサイズであるし、しっかり耳に飛び込んでくる音が発せられていると思うんです。だから、不思議な表現をするなら大胆な繊細さなんですよね。ぜひ、体いっぱい受け止めていただけたらうれしいです」
雨月、秋彦、春樹の恋を繊細に、リアルに描いた「映画 ギヴン」。その恋の行方をじっくりと見届けたい。
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