飯豊まりえ:「縁つないで温かい気持ちに」 メルカリを題材にしたドラマで主演 変化するエンタメ業界への思いも

「そのご縁、お届けします-メルカリであったほんとの話-」で主演を務める飯豊まりえさん
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「そのご縁、お届けします-メルカリであったほんとの話-」で主演を務める飯豊まりえさん

 MBS・TBS深夜の「ドラマイズム」枠の連続ドラマ「そのご縁、お届けします-メルカリであったほんとの話-」(MBSは毎週火曜深夜0時59分、TBSは毎週火曜深夜1時28分)が11月3日から放送される。フリマアプリ「メルカリ」であった実話を基にしたオムニバス形式のオリジナル作品。今作で主演を務める飯豊まりえさんに、話を聞いた。

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 今作の脚本はメルカリに届いた体験談の中をベースに、ドラマ「ゆるキャン△」(テレビ東京系)や配信ドラマ「東京ラブストーリー」(FOD)などで知られる北川亜矢子さんが担当。飯豊さんは台本を読んでの印象を「心に染みるような、1人じゃないということが感じられるような作品。こういう状況だからこそ、人との“距離”ができちゃった状況だからこそ、物が人と人の縁をつないで温かい気持ちになれるドラマはすてき」と語る。

 飯豊さんが演じる黒江陸は売買された商品を届ける配達員で、彼女がモノを人から人へ届けることが物語の“きっかけ”となる。役作りについて「陸の過去もいずれ明らかになっていきますが、それまでの過程は各話の登場人物の気持ちがメイン」と前置きし、「陸がガムをかむシーンがあって、そこで『あの家族また幸せになったのかな』『少年頑張っているかな』とか、そういったモノローグは意識して演じました」と説明する。

 連続ドラマ「きのう何食べた?」(テレビ東京)などを手がけた片桐健滋さんとの仕事を楽しみにしていたという飯豊さん。「監督はすごく愛があって温かい部分もあって、作品ごとに自分の思い入れがあるものをスパイスとしてちょっと入れているそうなのですが、今回もそういうのがある」といい、「ものは違うのですが、今回はそれが“親子丼”で、雰囲気やスパイスを入れています」と説明する。

 片桐監督との印象に残っている出来事を聞くと、飯豊さんがストーリーテラーのような役割のため、メイン回以外の撮影で「監督が『もう帰っちゃうのか』と残念がっていたのが印象的でした」とちゃめっ気たっぷりに明かす。

 ◇手放したくないものは…

 元々「自分が着なくなった洋服とかも友人に受け取ってもらったりする」と話す飯豊さんは、メルカリに対して「誰かにつながってメッセージや通知が来るのは面白いコンテンツだし、人に縁をつないでいる感じはあります」とイメージを持っているという。

 ドラマでは登場人物がなかなか手放すことができない物も登場するが、飯豊さん自身が手放せないものがあるかと水を向けると、「データが入っているし、携帯かな。いろんな人の電話番号も入っているから責任重大だなというのはあるし、落としたら大変なことになりますね」とリアルな意見が。

 「では宝物は?」と聞き方を変えると、「母親から譲ってもらった時計は手放したくないですね。母が初めて仕事をした時に初めて買った時計で、仕事柄つけたり外したりする機会が多いので、まだ2回ぐらいしか着けたことはないです」と答えた。

 ◇コロナ禍でのエンターテインメントの変化は「楽しみ」

 新型コロナウイルスの影響により仕事にさまざまな影響が出ている中、「ありがたいことに休むことがなかった。ただフェースシールドやマスクは必須だし、検温と除菌も欠かせなくて、今までのことがもう当たり前じゃなくなったんだなって」と飯豊さん。

 続けて、「その中でもなるべく環境が変わらないようにサポートしてくださっているスタッフさんに感謝していますし、それでもドラマが作られ続けているのは本当にうれしい。こうやって作品を届けられることもうれしいです」と神妙な表情を浮かべる。

 エンターテインメントに対する意識も、「そういう最低限の中でしか作れないという状況での面白さみたいなものもあります。昔みたいな日が来る日を願いながらも、それはそれで新しいと思う」といい、「リモート版のドラマをやった時、みんなパソコンに向かってお芝居することを『面白いね』と言っていました。そういうふうに転換していくしかないなと思うし、その中でも新しいものをという感じでやっているので楽しみにもしています」と変わりつつあることを明かす。

 そんな飯豊さんだが、自粛期間中は「ドラマや大好きなオーディション番組を見ていました。人に興味がある方なので、そういう人が成長する姿を見て自分も頑張ろうと思えるから好き」と笑顔で話す。

◇「“縁”は意識すれば気づける」

 タイトルにある「縁」にちなみ、意外な巡り合わせと感じた経験はあるか聞いてみると、「たまたまSNSで見つけた地方のお店に1人で行き何度か通い、そこで出会った人と友達になりました」と回答。さらに「その人のお子さんと一緒に3人でご飯を食べに行くなど、そういうご縁はありました。今でも連絡を取り合っています」と楽しそうに話す。

 今作ではそうした“縁”にまつわるエピソードが描かれるが、飯豊さんは「例えば第1話のように、あこがれているアーティストさんと実はつながっているとか、すごくないですか」と切り出し、「そういう小さな奇跡っていっぱい起きてると思う。それに気づけるか気づけないかの差なのかなって。意識するだけできっと気づけると思います」と語る。

 ドラマの見どころについて、「メルカリさんに出品する人は、受け取った側のストーリーはわからない。でもドラマで描いているようなことがあるとなると、手放す側も受け取る側ももっともっと広がっていくし、こういう状況だからこそ1人じゃないことに気づけると思う」と切り出し、「もっと人とのコミュニケーションや、自分の中では使わなくなってしまった物も、他の人が手にすることで必要とされる物になれるということを感じてほしい」と力を込めた。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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