テレビ東京:人気企画は日常の瞬間から 「シナぷしゅ」「生理 CAMP2020」の工藤里紗プロデューサー 特別番組きょう放送

特別番組「時代の言葉が分からないあなたと…ついていけない子さんを愛でる」のロゴ(C)テレビ東京
1 / 14
特別番組「時代の言葉が分からないあなたと…ついていけない子さんを愛でる」のロゴ(C)テレビ東京

 「SDGs(持続可能な開発目標)」「サウナーブーム」「PMS(月経前症候群)」「フェムテック」。最近、よく耳にするこれらの言葉をドラマ形式で紹介する特別番組「時代(イマ)の言葉(ワード)が分からないあなたと…ついていけない子さんを愛(め)でる」が、1月23日午後4時からテレビ東京で放送される。番組を手がけるのは、生理を扱った「生理 CAMP2020」など、女性ならではの悩みと向き合ってきた同局の工藤里紗プロデューサーだ。工藤さんに、番組制作への思いや、企画が誕生する瞬間について聞いた。

あなたにオススメ

 ◇“実はよく分からない言葉”をコメディドラマ形式で紹介

 工藤さんは、2003年に入社後、「ドラゴン桜」の三田紀房さんの人気マンガを実写化した連続ドラマ「インベスターZ」、アラサー男女の恋の手の内をバラした大人のためのバラエティードラマ「アラサーちゃん 無修正」、女性のための情報番組「極嬢ヂカラ」、「マツコ、昨日死んだってよ。」など、数々の話題作を手がけてきた。現在は、民放初の赤ちゃん向け番組「シナぷしゅ」、「昼めし旅~あなたのご飯見せてください~」、「生理CAMP2020」やオンラインイベント「新性教育 セクシャルマインドセットをバージョンアップせよ!」などを演出・プロデュースしている。

 「最近、コロナ禍でリアルで人に会う事も減り、ネット中心の生活になる事で、よく聞くワードについて、『“みんな”知っているんじゃないか』という情報バイアスがかかりやすくなっているかも」と話した工藤さん。テレビ制作の現場でも、たとえば「SDGs」について皆知っていると思いきや、実はよくわかっていない人もいるといい、「楽しく、エンターテインメントとして、プラスな情報もマイナスな情報も知るきっかけを作れたら」との思いから、今回の番組を企画した。

 番組では、人との会話の中で聞いたことはあるが、“実はよく分からない言葉”をドラマ形式で紹介していく。ワンシチュエーションコメディーによるドラマブロックで、「SDGs」「PMS(月経前症候群)などのテーマを扱い、その後のトークブロックで出演者がテーマについて話し合う。

 ドラマという形にした理由について、「(言葉の意味を)知っている人と、知らない人の間で起こる勘違いは、逆に人間らしくていとおしい部分もある。知らないところの差も面白いところがあるので、そんな状態も愛でて楽しんでいこうと。エンタメとして楽しめるのがお芝居なのかな」と明かす。

 番組には、「ついていけない子」として黒沢かずこさん、「いしきたか子」として国生さゆりさん、「ちょいわる男」としてお笑いトリオ「我が家」の坪倉由幸さん、「じゅうじつ子」として和田彩花さん、「しったかぶり男」として「超特急」の草川拓弥さん、「クワバタ社長」としてくわばたりえさん、「カワムラ社長」として川村エミコさんが出演する。

 工藤さんは、「番組を見れば、ちょっと楽になり、ちょっと時代についていけて、ちょっと世の中で起きている問題や悩みに関心が持てる。新しい形の“問題提起型ドラマバラエティー”というスタイルをとっております」とアピール。「最近の話題を浅くても知っておいた方が、困っていることがうっすら解決できるようになって、ちょっと生きやすくなったりします」と話す。

 ◇小学生の息子のママ 日常のふとした瞬間に“企画の種”

 昨年のテレ東無観客フェスでは、「新・大人の性教育 セクシャルマインドセットをバージョンアップせよ!」や「生理 CAMP2020」を手がけるなど、女性ならではの悩みと向き合ってきた工藤さん。どんなときにやりたい企画を思いつくのか尋ねてみると、「『企画を考えよう!』と思っても良い企画は思いつかないんです。ドラマを見て、その後お風呂に入りながら、日常のふとした瞬間に『こういうものがやりたい』と企画の種が生まれます」と話す。

 歩いているときや、電車に乗っているときなどに思いつくといい、「(企画の種は)携帯のメモとかに残しておいて。そこから具体的にどう見せていくかという構成を考えていきます」と話す。

 小学3年生の息子のママでもある工藤さんは、息子とのやりとりの中でも、企画を思いつく瞬間が多々あるという。「(東京)三鷹にある『探究学舎』という所では、子供のために『経済金融編』という授業があって。去年、子供と行ったんですけど、そこでは教室中の子どもが経済に熱狂していて。番組ではないんですけど、『子供×経済』というところで新規の企画を考えていたり……」と明かす。

 ちなみに、息子には、台本を書いたり、リモート会議をする姿など、自身が働く様子も見せているという。「母親としての姿以外を見せることで、子供が社会に出るときに、少し視野が広がったり、大人の世界を垣間見るきっかけになればいいかなと思って。だめなところも、頑張っているところも、見せられるものはわりと見せています」と話す。

 ◇映像制作以外にも興味 「もっと多角的に挑戦してみたい」

 そんな工藤さんは、視聴者の声が大きな励みになっている。「『極嬢ヂカラ』という番組を作ったときに、3.11が起きて。東北地方に住んでいる方が、避難所の体育館にいる中、お手紙をくださったんです。番組では、ポップに生理を扱ったんですけど、『みんな悩んでいるんだ、って勇気をもらった』って。番組で扱ったことで、今ちょっと大変な思いをしている人がハッピーになれたり、勇気をもらえた、というのはうれしいですね」と話す。

 今後については、「地上波テレビの放送にそんなに固執しているところはないんですけど、映像を通して訴えかけられるものって多いと思うので、映像で何かを発信することは続けたいです。同時に、映像制作ではない、違う表現やビジネス、リアルな場にも興味が最近あって……」と思いを明かした工藤さん。

 「コロナになって、テレビ東京ですと、素人の方に取材に行ったり、ロケすることが多い中、それができなくなってしまっていて。イベントや、文字情報、さらに、もしかするとテレビとは全く違うゲームやキャンプを通して何かできないかなと考えています。教育にも興味があって、『シナぷしゅ』は赤ちゃん向けですが、もうちょっと上の世代が楽しみながら世界を広げ、興味を追求できるようなものを作ってみたい。映像だけではなく、もっと多角的に自分が興味があるものに挑戦してみたいなという思いがあります」と明かした。

 最後に、視聴者に向けて、工藤さんは「世の中でついていけない話題はたくさんあると思います。そんな様子も楽しく愛でていこう、そして最後には深い何かが残るかも、という番組になっておりますので、ぜひお楽しみください! 土曜の夕方放送なので、親子でも見てほしいです」と呼びかけた。

 特別番組「時代(イマ)の言葉(ワード)が分からないあなたと…ついていけない子さんを愛でる」は、23日午後4時から放送。

写真を見る全 14 枚

テレビ 最新記事