2019年9月から放送された特撮ドラマ「仮面ライダーゼロワン」(テレビ朝日系)で、主人公の飛電或人/仮面ライダーゼロワン役を演じてドラマ初出演にして主演を果たした高橋文哉さん。放送終了後の昨年10月には「先生を消す方程式。」(同局系)、現在は「夢中さ、きみに。」(MBSほか、木曜深夜0時59分)と間を置かずドラマに出演し、気鋭の若手俳優として注目を集めている。仮面ライダーとして走り抜いた一年を「僕の役者人生の基盤」だと語る高橋さんに、自身の成長や目標の俳優像、塚原あゆ子監督のもとで挑む今回のドラマなどについて聞いた。
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高橋さんは「仮面ライダーゼロワン」で、ドラマ初出演にして初主演。さらに、同作の劇場版で映画初主演も飾った。改めて、仮面ライダーとして過ごした日々を振り返ってもらうと、「ドラマも映画も経験させていただいて、本当に貴重な一年でした。出演をきっかけに取材していただく機会も増え、自分の思いを言葉にできるようにもなりました。まさに、僕の役者人生の基盤です」と、しみじみと語る。
俳優として“初めてづくし”だった一年は、すべての経験が成長につながったといえるだろう。そんな中で、自身が感じる一番の変化を「芝居に対する向き合い方」と答える高橋さん。「クランクイン当時は、お芝居というものが何かも分かっていなくて。自分と役との境界線もあいまいだったように思います。そこから撮影を重ねていくうちに、役としての気持ちや、歩んできた道のりを考える楽しさを知って。それが自分の中で一番大きかったです」と明かしてくれた。
「仮面ライダーゼロワン」の次に出演した「先生を消す方程式。」では、表向きは優等生だが、裏ではクラスを牛耳るリーダーとして暗躍する藤原刀矢を演じた高橋さん。クラスメートに担任教師を“消す”ように提案するなど、狂気に満ちた演技を見せ、それまでの“ヒーロー”の印象を180度覆すようなヒールな役どころが注目を集めた。
2作目で一気に雰囲気の異なる役柄に挑戦し、高橋さんは「大変でしたね……」と率直な思いを語る。しかし、「でも、本当にありがたい苦労をさせていただいたというか、役者としては幸せな苦労だったと思います。以前よりも、役について考える時間が増えましたし、振り切って演じるというのも身につきました」と、自身にとってはプラスになったようだ。
また、ファンからも「怖い」という反響が多くあったといい、「刀矢を演じているうえでは、それが褒め言葉だった。役者として皆さんの中にある僕のイメージを覆せたらいいなと思っていたので、そう言っていただけてうれしかったです」と、演じることへの充実感をのぞかせていた。
そして今回、「夢中さ、きみに。」で新たに挑んでいるのが、中学生のときにモテすぎた反動から、平穏な日常を求めて“逆・高校デビュー”を果たした高校2年生の二階堂明というキャラクターだ。高橋さんは「二階堂みたいに個性的な役は、演じるのがすごく楽しい。『こんな人、現実にはなかなかいないよね』というキャラクターを作っていけるじゃないですか」と声を弾ませる。
さらに、本作では、「アンナチュラル」「MIU404」(ともにTBS系)など数々のヒット作を手がけてきた塚原監督がメガホンを取る。高橋さんは「ご一緒させていただけることを本当にうれしく思います」と感謝し、「本読みをさせていただいたときに、この現場ですごく成長できる予感がしました。塚原監督のアドバイスは明確で、言われてみて『確かに』と思うことが本当に多くあるんです。そのおかげで自分では気づけなかった癖に気づくこともできて……。この現場で役者としての基礎をしっかり学びながら、大切に過ごしていきたいです」と力を込めた。
“ヒーロー”から“ヒール”、そして、今回の個性派キャラと、さまざまな役に挑戦し、今まさに演技の幅を広げている真っ最中だが、目標とする俳優像はどのようなものなのだろうか。高橋さんは「芝居で人を泣かせられる俳優になりたい。自分の芝居で誰か一人でも心を動かすことができたら、役者としてすごく幸せ」だと話す。
憧れの存在は窪田正孝さんだ。「お芝居が繊細で、例えば怖さの中にも、優しさ、悲しさ、悔しさがあったり。そういったいろいろな要素がスッと心に入ってくる演技が印象的だなと思います。それにメーキング映像などで見える人柄や、クランクアップのコメントなども本当にすてきで……」と愛をあふれさせる。記者が「いつかは共演もしてみたい?」と聞くと、はにかみながら「いつか……! できたらうれしいです」と目を輝かせていた。
最後に、2021年をどんな一年にしたいか尋ねた。高橋さんは「出会う役すべてに向き合いたい。悩むこともたくさんあるとは思いますが、一つ一つの役を全うして、純粋にお芝居を楽しみたいです。そして、去年より一人でも多くの方に感動をお届けできたらと思います」と語った。
主演作を完走し、自身のイメージを変える役柄にも挑戦した2020年。その経験を糧に俳優の階段を上っていく高橋さんを、これからも追いかけたい。
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