麒麟がくる:光秀と緊張感ある心理戦も…「価値観違い過ぎてライバルになりえない」 佐々木蔵之介、秀吉語る

NHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」で羽柴秀吉を演じる佐々木蔵之介さん (C)NHK
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NHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」で羽柴秀吉を演じる佐々木蔵之介さん (C)NHK

 放送も残すところあと3回となった俳優の長谷川博己さん主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(総合、日曜午後8時ほか)。1月17日放送の第41回「月にのぼる者」では、長谷川さん扮(ふん)する主人公・明智光秀と、佐々木蔵之介さん演じる羽柴秀吉が、緊張感のある心理戦を繰り広げ、視聴者から熱い視線が注がれた。

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 ◇申し上げれば不義理。申し上げなければ不忠の極み

 第41回で光秀は、訪ねてきた秀吉に、自分に密偵をはべらせ、行方不明の茶器「平蜘蛛(ひらぐも)」を隠し持っていることを信長(染谷将太さん)に報告し、さも裏切ったかのように仕向けた調略について問いただす。

 信長への報告について「申し上げれば不義理。申し上げなければ不忠の極み」と自己を正当化し、光秀を“売って”出世の道を選んだことについても「同じことなら、総大将になり、敵を全て討ち果たして、この乱世を平らかにし、その後おわびをすれば、きっと明智様はお許しになると思い」と言い逃れをしようとする秀吉。

 そこで光秀から「貴殿にとって、平らかな世とはどういう世じゃ」と問われると、「昔の、わしのような貧乏人がおらぬ世ですかな」とぽつり。ここで光秀は「こたびは貸しにしておく。“口の軽い弟”はよく、しかっておくべきだな」と、それ以上の追及はしなかった……。

 ◇“藤吉郎”から“秀吉”へ ト書きの“ふと真顔になり”や“ニッと笑い”をヒントに

 改めて秀吉役を演じることについて、「大河ドラマで豊臣秀吉役というと身構えそうですが、実はプレッシャーはまったくなかったです(笑い)」と話す佐々木さんは、「僕なりの秀吉というより、“『麒麟がくる』の秀吉”を演じようと思っていました」といい、「キャスト・スタッフ・池端(俊策)先生の脚本で、この作品の秀吉を育めたのかなと思っています」と振り返る。

 藤吉郎時代から「天性の明るさと人懐っこさ、信義の厚さを、主体に据えて演じていました」という佐々木さんは、「それが礎になければ、例えば、“才気ある調略の名人”とはならず、ただのペテン師になってしまうからです」と理由を説明。さらには「この『麒麟がくる』での藤吉郎は、大仰でふだんから芝居がかっていて、“この世は長い狂言”みたいな振る舞いです。猿芝居や悪知恵を働かせているように見えるときもあったかもしれません。ただそれは、彼が生き抜くための、一つの手段だったと思うのです」と推測する。

 “藤吉郎”から“秀吉”への変化の予兆を感じたのは、「織田の家臣になってからです」と明かし、「それまでのただただ立身出世を目指す快活で無邪気なサルから、明らかにステージが上がりました。池端先生の脚本にも、そのあたりから “ふと真顔になり”とか“ニッと笑い”というト書きが出てくるようになりました。それは役を造形していく中で、とてもヒントになりました。また、ヒゲ、も僕の中で大きいです。周りの武将はみんな早くに出世をしてヒゲを生やしはじめていたので、序盤からスタッフの方に『僕はいつからヒゲを付けられるんだ』と聞いてました(笑い)」とも語ってみせた。

 ◇秀吉の思考は「幕府や朝廷も、使えるなら残しておくが、不要なら捨てる」

 同じ織田家臣としての光秀と秀吉の“立ち位置”については、「織田家臣の中で光秀が一番最初の城持ちになり、ワシも!と目指すところはあったと思います。ただこの物語の秀吉は、武家出身の光秀と違い、幕府や朝廷も、使えるなら残しておくが、不要なら捨てる、といった思考です。光秀とは価値観が違い過ぎてライバルにはなりえないのではと思っていました」と持論を披露する佐々木さん。

 さらに「(光秀役の)長谷川さんも私も劇団の出身で、勝手に何かしら近いものを感じていました。光秀が長谷川さんだったからこそ、一緒に芝居をつくる幸せを味わうことが出来たと思っています」と話すと、「第23回の、主人公の光秀と初めて対面するシーンは印象深いです。光秀、信長、秀吉の3人が初めてまみえる場面でもありました。この瞬間を、豊臣秀吉が日本の歴史に登場する起点にしようと、私なりに思いました。なので、どのように登場してあげようかと、いろいろ思い巡らした思い出深いシーンです」としみじみと語る。

 最後に「終盤は『本能寺の変』へ向けて、物語は抗(あらが)えなく動いていきます。やはり、光秀の感情の流れを追いながら見るのが面白いと思います。そして誰が味方につき、誰が敵に回るのか? 気が抜けない展開です。どうぞ、最後までお楽しみください」と視聴者に呼びかけた。

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