放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
「周りの人に支えられているって、本当につくづく感じているんですよ! ここ何年、ずっと思っていて。そういう気持ちを絶対に大切にしたいなと思っています」。こう語るのは女優の吉谷彩子さんだ。吉谷さんといえば、転職サイト「ビズリーチ」の“CM美女”としても知られているが、今クールではドラマ2作品にかけもち出演し、そのギャップが話題となっている。2017年放送のドラマ「陸王」(TBS系)の福澤克雄監督との出会いが大きな転機となったという吉谷さんに、女優業への思いなどを聞いた。
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今クールでは、ドラマ「江戸モアゼル~令和で恋、いたしんす。~」(読売テレビ・日本テレビ系、木曜午後11時59分)、ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(日本テレビ系、水曜午後10時)に出演している吉谷さん。「江戸モアゼル」では、葉山奨之さん演じる蔵地に恋する泉美役を演じ、「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」では、岡田健史さん演じる光を翻弄(ほんろう)する、元家庭教師の年上女性・美羽役を演じ、そのギャップにも注目が集まった。
「“ウチカレ”では男を振り回して、『江戸モアゼル』では男に振り回されて、極端な二人をやっているなって、すごく言われました(笑い)」とキュートな笑顔を見せた吉谷さん。“ウチカレ”では、色っぽい衣装もあったといい、取材に同席した女性マネジャーから「衣装合わせのテンションが違った(笑い)」と明かされると、吉谷さんは「私、顔真っ赤でしたもんね」と告白。
「(ウチカレの衣装合わせでは)『すべすべした生地の方がいい』『テロンテロンがいい』とかで、ずっとドキマギしていました。『ふわあ~~汗汗』って感じで(笑い)」と振り返る。
「江戸モアゼル」では、高校の同級生としてしか見ていなかった蔵地に、徐々に惹(ひ)かれ始める泉美の姿が描かれている。突然、蔵地にキスをするなど、積極的な姿勢を見せる泉美に、「自分からキスしましたし、すごいですよね。(自分自身は)ここまではできないです」と明かしながら、「(相手が)あんまりいかないから、こっちからグイグイ行く。『こういう子いるいる!』って思いながらやっています」と話す。
また、泉美の、上司である鳥居社長(前田公輝さん)への接し方について、視聴者からは「社長に対する態度がどんどん悪くなっていくの好き」といった声が上がっている。吉谷さんは、「(台本を)読んでいるだけで笑っちゃいます。鳥居社長といるときは、本当の自分が出せるという意味で爆発しています(笑い)」と話す。
吉谷さんは、1991年9月26日生まれ。千葉県出身。1996年放送のスペシャルドラマ「最後の家族旅行」(TBS系)でデビューし、子役として活躍した。事務所に入ったのが3~4歳くらいだったという吉谷さんは、「幼稚園で誰とも話せないくらい人見知りで、母親が『これはまずいぞ』ってなって。レッスンとかしたら(人見知りが)直るんじゃないかと事務所に入ったら、本当に直って……」と当時を振り返る。
人見知りを克服し、事務所をやめようとした際、記念で受けたのが「最後の家族旅行」のオーディションだった。「初めて受けたオーディションで受かって。本読みまで行かせていただき、『こんな世界、初めてだ!』って感じだったらしいんですけど、全然覚えていなくて(笑い)。私が『すごく楽しい』って言っていたみたいで、母が『じゃあ続けてみる?』という方向性になったと聞いています」と明かす。
その後も芸能活動を続けたが、中学受験のため、小学6年生でいったんストップ。「中学に入ってから少しずつ(芸能活動を)やりはじめて。でも、学業優先にしようと言っていたので、中高ではあまりお仕事しなかったんです。大学に入って、もう一回始めることになって今の事務所に入りました」と振り返る。
「自分の演技プランをもう一度見直したい」という思いから、日大芸術学部に入学。1から演技を勉強した。「いただいた役の演技プランを立てなきゃいけない。台本には書いていないのですが、(自分が演じる)この子はどういう役で、趣味などを書かされたりするんです。(役について)考える力をかなり学べた気がしたので、大学に入って良かったなと思っています」と話す。
25歳のときに出演した「ビズリーチ」(2016年)のCMで注目を集めた後、「陸王」(2017年)、「グランメゾン東京」(TBS系、2019年)など数々のテレビドラマ、映画、CMに出演。昨年は、ドラマ「ハルとアオのお弁当箱」(BSテレ東)でドラマ初主演を果たした。
大学を卒業してからは、あっという間だったといい、「お芝居のことばっかり考えてやっていました。365日中、360日くらい(笑い)。それだけ一生懸命だった」と話す吉谷さん。そんな充実した日々の中には、大きな出会いもあった。「陸王」の演出を手がけた“ジャイさん”こと福澤監督との出会いだ。
「陸王」では、役所広司さんが社長を務める老舗の足袋業者「こはぜ屋」の縫製課の最年少・仲下美咲役を演じた吉谷さん。実は、オーディションで勝ち取った役だった。「そのときのマネジャーさんに『ここのチャンスはでかいぞ』と言われていて。これがダメだったら、(女優業は)ダメかなって思っていたぐらい、賭けていた」と振り返る。
自身を「怖がり」「すごく準備したい」と話す吉谷さんは、手渡された第1~4話までの台本を全部覚えて現場に行った。たまたま撮影が早く終わったある日、前倒しで第4話の段取りを確認することに。まわりの出演者は台本を見て参加する中、第4話までのセリフを頭に入れていた吉谷さんは、台本を見ずに参加した。
「ジャイさんに、『なんだお前、(第4話のセリフを)覚えているのか』って言われて。『覚えています』って言ってから、気にかけていただけるようになって。休憩時間にジャイさんがセリフを合わせてくれたり、本当にお世話になりました」と振り返る。“ジャイさん”の「気持ちが伝われば、セリフはこの(台本)通り言わなくていいから」という言葉が、吉谷さんにとっては「救いの言葉」となった。
「もちろん、セリフを一字一句しっかり言うというのはあるんですけど、気持ちを伝えるために、ちょっとセリフを崩したりするのが怖かった部分があったので、『気持ちの部分を優先して言うべきなんだ』とか、『怖がらなくていいんだよ』みたいなことを教えていただき、それが勇気になりました」
ドラマ撮影終了後、福澤監督からは「“またね”だからな」と言われたといい、「次、一緒にやるまでにもっと成長して、ジャイさんに会いたいなと思っていて。それが原動力になっている」と話す。
そんな吉谷さんは、演じることは「すごく楽しい!」と話す。「毎回思うことは、どんな役でも、その子のことをちゃんと愛してあげないといけないなって。そこはブレないようにしたいなと思っています」
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「私、“ビビり症”すぎて、初めて行く現場とか、1時間前に行って。(現場に)早く行くと逆に気を使われちゃうから、近くの喫茶店とか探して待っているんです」と話す吉谷さん。そんな吉谷さんの担当となってから「1年くらい」という、この日の取材に同席したマネジャーは、「(作品に向けて)すっごい準備をする子」と評する。
マネジャーいわく、プライベートでは「結構、天真爛漫(らんまん)。抜けているところは抜けている」という吉谷さんだが、仕事モードとなると、「準備をしてもしても足りない!」とぐっと入り込むようなところがあるという。
「『(準備はしっかりしたから)大丈夫!』と、あるときから(切り替えが)上手にできるようになった」と最近の成長を明かすマネジャーに、日ごろの感謝の思いを伝えていた吉谷さん。周囲が支えてくれ、“恩人”になってくれるのは、そんな人柄のおかげだろうと思わされた瞬間だった。
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