わたしの宝物
第6話 生まれ変わったら本当の親子になれるかな・・・
11月21日(木)放送分
「20代中盤で園子温監督とご一緒させていただいたことと、29歳のときに二宮健監督の映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』で主演をやらせていただいたこと。この二つはすごく大きいです」。23歳くらいから芝居の勉強を始めたという女優の桜井ユキさん(34)。ドラマ、映画作品に引っ張りだこで、今クール放送中のTBS系の連続ドラマ「リコカツ」(金曜午後10時)のParaviオリジナルストーリー「リコハイ!!」で主演を務めているほか、フジテレビ系“月9”枠(月曜午後9時)の連続ドラマ「イチケイのカラス」にも出演中。そんな桜井さんに、芝居への思いや、女優業での二つの“転機”について聞いた。
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Paraviオリジナルストーリー「リコハイ!!」では、ある日突然、夫・宇治田崇(豊本明長さん)の不倫が発覚する専業主婦の宇治田希恵を演じている桜井さん。崇は離婚届を置いて出て行ってしまい、音信不通に……。ショックを受け、怒り狂った希恵は、崇の不倫相手の部屋を突き止めて乗り込むが、そこにいたのは不倫相手の女ではなく、その彼氏だという若い男・加賀谷健太(黒羽麻璃央さん)だった。
本来なら興味を持たない相手にのめり込んだりする「離婚ハイ」状態=「リコハイ」。そんな精神状態の中で、夫に浮気をされた「サレ妻」、彼女に浮気をされた「サレ彼」、捨てられた2人の奇妙な同居生活が始まり……と展開する。
桜井さんといえば、クールでかっこいい役柄が多い印象だが、今作では、離婚を機に“ハイ”になっているという設定。撮影では「テンションが一つ上にある状態」を求められ、撮影初日には、夫の不倫相手の部屋を突き止めて怒鳴り込んでいくシーンを撮影した。
「私的には、一回(全部)出しきった感じで撮影に入れたのが大きくて」と振り返った桜井さんは、「今まで、喜怒哀楽がはっきりとしていて、相手の目を見てすべての意志を伝える、という様な役があんまりなかったんです。なので今回はすごく新鮮で、かつ心地がよくて、日々楽しかったです」と明かす。「意外と私って、もっと感情的な人間なのかな?とか思ったりもしました。そういう意味で新境地でした」と続ける。
今作では年下イケメンとの同居生活が描かれるが、桜井さんの理想のタイプは「虫取り網を持った少年」だ。虫取り網を持ったポーズをしながら、「『わー』って言って、いつまでも虫を追いかけていてほしいんです(笑い)」とチャーミングに笑った桜井さんは、「それを後ろでほほ笑ましく見ていたいですね。正直な人が好きです。男性には、いつまでも少年の心を持っていてほしい」と話す。
福岡県出身の桜井さんは、小学生の頃、女優を志す。23歳くらいから芝居の勉強をスタートした。故・蜷川幸雄さんの元で10年ほど演出助手を務めた演出家・石丸さち子さんの稽古(けいこ)場に毎日通い、初めて芝居を学んだという。
園監督が手がけた映画「新宿スワン」(2015年)では、セリフが一言、二言しかない役だったという桜井さんだが、園監督から「面白いね」と言ってもらい、出演シーンとセリフが増えたこともあったという。その後、園監督が手がけた映画「リアル鬼ごっこ」(2015年公開)、テレビドラマ「みんな!エスパーだよ!番外編 エスパー、都へ行く」(テレビ東京)などで再び起用されることに。
園監督について、「台本を読んで『こういう感じかな?』というイメージすらも通用しない、用意したモノが一切使えない監督」と表現する桜井さん。園監督の撮影現場では、台本も、セリフも、シチュエーションも変わるといい、「『事前に用意しすぎると自己満足になってしまう』ということを、初期の段階で経験させていただいた。そういう意味では、園さんの作品をやらせていただいたことはすごく大きくて。第一歩の転機ですかね」と話す。
桜井さんが「自分の中で、一個蓋(ふた)が開いた感じ」と考えている作品は、映画初主演となった「THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY」(2017年)だ。当時24歳だった二宮監督が手がけた作品で、桜井さんは、小さなサーカス団でマジシャンの助手をする29歳の無名の女優役を演じた。恋人役の高橋一生さんとのラブシーンでも注目を集めた。
「体力的にも精神的にも大変だったんですけど、『(芝居は)生モノだよ』という感覚を監督と共有することができて。お芝居に対する考え方というか向き合い方も、(自分と)わりと切り離さなくて日常と近いものだとそのときに感じたんです」と明かす。
これまでは、役と自身を「別モノ」として考えていたという桜井さんだが、「別の人になるって不可能だと思っているんです。ビジュアルはこれ(自分)ですし、声も変えられない中で、自分がその人間になるには、『どういう人生の選択をしてきたらなるかな』という考え方をするようになったんです」と変化を明かす。役と自分を切り離すのではなく、「リアリティーを自分でも持つことで、キャラクターに対して愛着を持てるようになった。そこは大きかったですね」と続ける。
そんな桜井さんが目指すのは、「見ている人になんらかの説得力をもたせられるお芝居」だ。「リコハイ!!」でも存分に発揮されており、吉藤芽衣プロデューサーは「桜井さんはお芝居がすごく上手でいらっしゃるし、魅力的な女優さん。クールな役が多い桜井さんに希恵役をお願いするのは新しいチャレンジだなと思いましたが、お願いさせていただいたら想像以上で」と太鼓判を押す。
新境地となった「リコハイ!!」をはじめ、桜井さんのこれからの活躍を楽しみにしたい。
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