SF映画「夏への扉 -キミのいる未来へ-」(三木孝浩監督、6月25日公開)で主演を務める俳優の山崎賢人さん。1995年と2025年の東京を舞台にした同作で、山崎さんが演じるのは過酷な運命にあらがうロボット科学者・高倉宗一郎。山崎さんは、何があっても絶対に“あきらめない”主人公に共感するところが大きかったと振り返る。さまざまなジャンルの作品で主演を務め幅広く活躍する山崎さんに、今作で演じた役や、新しい役へ挑戦することへの思いなどを聞いた。
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映画は、1956年にアメリカで発表されたロバート・A・ハインラインの名作タイムトラベル小説が原作。1995年の東京で、科学者の高倉宗一郎(山崎さん)は信頼していた共同経営者と婚約者に裏切られ、冷凍睡眠させられてしまう。2025年の東京で目を覚ました宗一郎は、変えられた運命を取り戻すため、30年の時を超える……というストーリー。宗一郎を慕う女子高生・松下璃子役で清原果耶さん、宗一郎と行動を共にする人間そっくりのロボット役で藤木直人さんらも出演する。
山崎さんが演じるのは、人生のすべてを奪われた孤独なロボット科学者。つらい運命に果敢に立ち向かう“あきらめない男”だ。山崎さんは演じるうえで「いい意味で、どこまでもあきらめの悪い男。そういう強さを持って演じようと思いました」と意識していたという。
そんな宗一郎の前向きな姿には共感するところがあったと山崎さん。「自分もどんな逆境やつらいことがあっても『とにかく前向きにいよう』と思っているので、すごく共感して演じられました。悲しみとかつらいことを知っている人のほうが、人にもやさしくできると思う。(だから)つらい環境にいることに慣れている宗一郎はめちゃくちゃ強いと思うので、そういうところもすごく好きですね」と役への思いを明かす。
そう語る山崎さん自身は、つらいことや挫折しそうなことに直面したとき、どう乗り越えてきたのか。山崎さんは、かつて壁にぶつかったときに友人から言われた言葉が救いになったという。
「仕事を『人生の100%』と考えていた時期があったんですが、それだと仕事がうまくいかなくなったときにゼロになってしまう。以前、仕事がうまくいかなくて自分の存在意義が分からなくなりそうになったとき、『賢人、100%で考えすぎだよ』と言ってくれたのが救いになりました。『人生の数あるものの中のひとつが仕事だよ』と。そのときから、そういう心持ちは大事にしよう、と思っています」と山崎さん。「そう思いながら、今でも『仕事100%』という感じでやっていたりもしますけど」と笑う。
劇中では清原さん、藤木さんと多くのシーンを撮影した。ドラマで共演経験があったという藤木さんは、今作では宗一郎と行動を共にする人間そっくりのロボット役。宗一郎と、思わず笑みがこぼれる掛け合いもある。山崎さんは藤木さんについて「スタイリッシュな感じがかっこいいけど、なのにちょっとチャーミングで、いとおしくなる」とほほ笑む。清原さんとは初共演だったといい、「しっかりされていて、尊敬します。たぶん、(思いが)すごく顔に出やすいタイプなのかなと思いました。すごく素直な人なんだなと。最初のぶつかり合うシーンを、一緒に悩みながら作れたのはいい思い出です」と振り返る。
今作では、落ち着いた雰囲気のロボット科学者を演じ、過去には映画「キングダム」のようなアクション作品から「ヲタクに恋は難しい」のようなコミカルな作品まで、さまざまなジャンルで主演を務めてきた。ジャンルにとらわれずに幅広い役柄をこなす山崎さんは、新しい役に挑むのは楽しいことだという。「やっぱり新しいことをやりたいですよね。ワクワクするし、そのための準備も楽しいし、挑戦している瞬間も楽しい。やったことがないジャンルのときは、完成した作品を見て『こうなったんだ』と思うことも楽しいです」とポジティブな思いを語る。
山崎さんの根底にあるのは、“ワクワクする”という感情だ。「ワクワクできるものがやりたい、という思いは、強くあります。それに、たとえワクワクしないことでも自分のマインド次第で楽しめるようにもなってきた。結果的に、全部ワクワクできるんです。だから今、最強です」と楽しそうに話す。
2010年に俳優デビューし、昨年で役者生活10周年。今後も15年、20年と活躍を続けるであろう山崎さんは、自身ではどのような未来像を描いているのだろうか。最後にそう聞いてみると、「30代っぽい自分、40代っぽい自分……その年その年の自分を出していけたら」と語る山崎さん。
「たぶん、そのときそのときで興味があること、伝えたいことは変わっていくと思います。俳優という仕事をしているので、それを作品で伝えられるのがいい。自分がワクワクしているようなものを、皆さんも楽しんでくれたら最高だなと思います」と山崎さん。「いろんな作品をやりたいです。どんどんいろんな進歩をしていって、いろんな作品が作られていくんだろうなと思うと、楽しみですね」と、やはり“ワクワク”した表情で語ってくれた。
※山崎賢人さんの「崎」は立つ崎(たつさき)
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