海に眠るダイヤモンド
最終話前編(9話) あの夜
12月22日(日)放送分
俳優の吉沢亮さん主演のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(総合、日曜午後8時ほか)は7月11日放送の第22回「篤太夫、パリへ」から、物語の舞台が1867年の仏パリに移り、“パリ編”に突入した。“異国嫌い”のかつての攘夷志士・渋沢篤太夫(栄一、吉沢さん)が、日本と隔絶した最先端の西洋技術に度肝を抜かれ「まいった!」と笑う姿が印象的だった同回。演出担当・田中健二さんは「かつての攘夷の志士たる栄一が外国の人々を認め、それを理解するっていうのを演出的にいろいろ仕組みました」と話す。そこには、平岡円四郎(堤真一さん)から受け継いだ“おかしれぇの精神”があったとも……。
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主君・江戸幕府第十五代将軍・徳川慶喜(草なぎ剛さん)の命で、慶喜の弟・昭武(板垣李光人さん)の随員・パリ万国博覧会の使節団として渡欧した栄一。その人生の“大きな転機”ともいえる渡欧体験となるが、田中さんは、パリ編について「栄一という人間が、ここで大きくなるんだなって分かるように描きたかった」と語る。描くにあたり、「新しいことを飲み込む能力の対比」をフックにした。
第22回では、西洋技術に感銘する栄一たちの一方で、昭武の身辺を固める水戸藩士たちが、激しく西洋文明に嫌悪感を示している姿が描かれていた。
田中さんは、そこが栄一との対比になっているといい、「新しい物事を飲み込む能力の違いというものを際立たせたかった」と明かす。また、対比をつける上で吉沢さんにも注文したことがあったといい、「物事に感動する、物事を受け入れるっていう部分を際立たせて演じていただきました。吉沢くんもその意図をすごい汲(く)んでくださりました」と語った。
続けて、「栄一の新しいものに対する好奇心というのは、恩人の円四郎から受け継いだ“おかしれぇの精神”でもあると思うので、それをパリでも発揮して、成長していく姿を見せられるように演出しました」と明かした。
「青天を衝け」は、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が主人公で、朝ドラ「風のハルカ」(2005年度後期)、「あさが来た」(2015年度後期)などの大森美香さんが脚本を担当。「緻密な計算」と「人への誠意」を武器に、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢の生きざまを描く。
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