放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
門脇麦さん演じる主婦・麻衣子と、森山直太朗さん演じる夫の上司で隣室に住む“二葉さん”の危うい関係を描く「うきわ -友達以上、不倫未満-」(テレビ東京系、月曜午後11時6分)。不倫を題材にしつつも、ほんわかとした空気感が流れ、二人のやりとりに「可愛い」という声が上がるなど、その絶妙なキャスティングにも注目が集まっている。麻衣子を演じるにあたり、“役作りを放棄する”というチャレンジをした門脇さんに、その手応えや森山さんの印象を聞いた。
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ドラマは、野村宗弘さんのマンガ「うきわ」(小学館)が原作。夫・たっくん(大東駿介さん)の転勤で、仕事を辞め、広島から上京した麻衣子。新生活に胸を弾ませながら家事をこなすが、夫は帰りが遅く、せっかく作った夕食も食べてもらえない日々。そんな中、夫の上司・二葉とベランダの壁一枚を隔てて会話したことをきっかけに仲良くなり……と展開する。
ドラマが放送されると、門脇さんと森山さんの“空気感”をはじめ、表情や距離感が話題になった。門脇さんのもとにも反響が届いているといい、「普段あんまり連絡が来ない友達だったり、知り合いの方からも連絡をいただいて。みなさん、『すごく面白い』『毎週楽しみにしている』とおっしゃってくれています」と笑顔を見せる。
第2話(8月16日放送)では、夫の浮気を知った麻衣子が、社宅のベランダで、二葉に「あの人、浮気してるんです、たぶん」と打ち明ける展開に。涙が止まらなくなってしまう麻衣子に、二葉は、壁の下からそっとティッシュを渡すのだった。そして、二人の距離は徐々に近づいていき、第4話(8月30日放送)では、二人で初めて外出する様子が描かれた。
SNSでは、「2人が可愛くてキュンキュンしながら見てる」「森山直太朗と門脇麦を応援したくなっちゃう」という声が上がっているが、門脇さんは「不倫がテーマではあれど、原作にあるちょっとほんわかした優しさや、空気感が出ればいいなと思っていたので、麻衣子さんと二葉さんが可愛く見えているというのは大変ありがたいなという感じですね」と話す。
麻衣子について、「今まで自分の人生の舵(かじ)を自分で取ることについて、深く考えずに生きてきた人。自ら封じてしまっている可能性や強さが眠っている」と表現するのは今作を手がける本間かなみプロデューサー。
近年、ドラマなどで描かれることが多い“自立した女性”とは反対に近い人といい、「夫の浮気や、二葉さんや、佐々木くん(高橋文哉さん演じる、麻衣子のパート先のアルバイト)との出会いで、内在しているものが目覚めていく。だからこそ、麻衣子のくすぶり、目覚めに説得力を持たせられる方に演じていただきたいと思っていました」と話す。
女優としての門脇さんは、「そういう内在的なものにパワーを持たせられる方」と考え、「作品を地に足が着いたものにする力のある方だと感じていたので、オファーさせていただきました」と起用理由を説明する。
一方で、門脇さんは、オファーされた際の心境について、「(原作の麻衣子より)年齢が私では若すぎる感じだし、あの空気感が出せるかどうかあんまりピンとこなかった」と告白。ドラマが始まる前に行われた会見では、「役作りを放棄するっていう、私の中ではとてもチャレンジングなことをしました。大変怖かった」と明かしていた。
門脇さんによると、役を演じるにあたり、事前に準備をする方が楽だというが、今回は「自分で何かを(現場に)持っていくのはもう無理だな」と感じたという。「変に作っていくよりは、現場でその都度、その都度作っていった方がリアル感も出るし、いいんじゃないかなと思いました」と思いを明かす。
その結果、自身でも気がつかないうちに、「1ミリずつ、だんだん(麻衣子の思いが)募っていく感じ」があった。「毎日鏡を見ている私にしかわからない変化だと思うんですけど、最後の方は、若干、原作の麻衣子さんの顔に似てきたなと思う瞬間もあったりして」と手応えを明かすが、実は既婚者でありながら、二葉にひかれていく麻衣子については、あまり共感ができなかったという。
「私だったらそういう関係にならないですし、麻衣子さんはこれから突拍子もない行動を取っていくんですけど、ふんわりしながら突拍子もないことをする感じの規則性のなさは、私にはとてもない部分だと思うので、最後までよくわからなかったです。演じる上ではずーっと難しいなという感じでした」と振り返る。
麻衣子と二葉さんの関係性を考え、あえて最初は森山さんとはあまり話をしなかったという門脇さん。二人の距離が近づいていく後半にかけ、たくさん話をしていった。森山さんの印象は、「とてもチャーミング」といい、「たぶん、私も直太朗さんも“おふざけ”です」と話す。
門脇さん、森山さん、大東さんの3人でいる場面から、森山さんだけが去って行くというあるシーンの撮影では、カメラに写っていないと勘違いした森山さんが、ふざけながら歩き出したときがあったという。「ぴょんぴょん、みたいな感じで、現場中が爆笑でした。可愛かったです。ゆるキャラみたいに歩いていました」と明かす。
また、門脇さんと森山さんがベランダで話すシーンでは、撮影の都合上、森山さんが映るモニターが見える位置で、門脇さんが芝居をする形だった。「(森山さんが)あまりにもいい表情すぎて、すてきすぎて、カットかかるたびにカメラマンさんと『もう最高』と言っていました。みんなが『直太朗さん最高』と言っている感じでした」と撮影現場の様子を明かす。
視聴者からは、門脇さんが表現する麻衣子の心の機微に、絶賛の声が上がっている。本間さんも、「セリフに始まり、まばたきや目線ひとつ取っても、門脇さんのお芝居には門脇さんのリズムがある。それが役の味わいを生んでいると思うし、独特で面白くてすごく魅力的」とコメントしていた。
そのことを伝えてみると、「麻衣子さんの場合は、自分の感覚より、0.5秒遅くセリフ(音)を出すということを若干やっていました」と裏側を明かした門脇さん。リズムを意識しない役もあるが、今回は、ゆったりとした役であり、「ほんわかとした、ちょっと天然っぽい感じもほしい」という思いから、意識的に0.5秒遅らせた。
「結果、浮気をしてしまっているかもしれないんですけど、ドロドロした不倫モノには見せたくなくて。あの二人でいる時間が“救いの時間”と“幸せな時間”であってほしいということもあって、やっぱり可愛い人たちっていうふうになってほしかった」と力を込めた門脇さん。まさに、門脇さんの狙い通りになったのではないだろうか。これからも、麻衣子と二葉の関係をはじめ、物語の行方を楽しみにしたい。
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