ダンダダン
第6話「ヤベー女がきた」
11月7日(木)放送分
天野こずえさんのマンガが原作のアニメ「ARIA」の新作「ARIA The BENEDIZIONE」が、12月3日に公開された。2015年に劇場公開された「ARIA The AVVENIRE」、今年3月公開の「ARIA The CREPUSCOLO」に続く“蒼のカーテンコール”の最終章で、姫屋を中心とした物語が描かれる。藍華・S・グランチェスタ役の斎藤千和さん、晃・E・フェラーリ役の皆川純子さん、あずさ・B・マクラーレン役の中原麻衣さんの姫屋のキャストに新作への思い、アフレコについて聞いた。
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斎藤さん 最終章ということはあまり考えていなかったです。「ARIA」って終わらないイメージがすごくあって、新しい作品がなかったとしてもずっと「ARIA」の世界観は続いている感じがして。個人的に「やった姫屋だ! 出番がきた」といううれしさはあったんですけど、最後という感覚は今でもあまりないかもしれません。
皆川さん 私もそうですね。締めくくるぞ!という気負いはなくて、「ARIA」がずっと続いていく中の一つという。最終章と銘打ってはいるけど、終わりではない感じです。
中原さん 私は寂しかったです(笑い)。私は映画からの参加だったので「みんなと一緒にもっとやりたい」という気持ちがすごくありました。「ARIA」ってスタッフさんもキャストの皆さんも、長い間やってらっしゃるので、絆がすごいんですよ。そこに入れてもらって「よし、これからだ」「ちょっと仲間になれてきたかも?」というところで終わるのがさみしい……と。でも、千和ちゃん(斎藤さん)の話を聞いたら、これから先も「ARIA」の世界は続いていくんだなって、納得しました。
皆川さん 昇格試験は、絶対に描かれるだろうなとは思っていましたけど、台本を読んで「これは相当なエネルギーが必要だな」と。テレビシリーズをやっている中であれば流れの中で演じられますけど、久々の劇場版では心も体も晃を演じるためのギアをいれないといけない。その上での今回の熱いシナリオだったので、すごくプレッシャーを感じました。あとは、どうやって泣かないように演じようって。そこが最大の試練なので(笑い)。
斎藤さん 一番泣くから(笑い)。
皆川さん 「ARIA」のキャストの中で私が一番泣き虫なので。このストーリーは、晃が泣いたら話にならないと思って、泣かずに、でも気持ちを入れてやる方法を本気で考えていました。
斎藤さん 私もシナリオを読んだ時は「純子ねぇ(皆川さん)、泣いちゃうな」としか思いませんでした(笑い)。「純子ねぇ、これできますか?」ってLINEしましたもんね。
皆川さん 「箱ティッシュ、持っていきますね」ってLINEが来ました。
斎藤さん 結構長くやってきた作品なので、藍華はすごく思い入れのあるキャラクターだし、私の中では、不満というわけではないんですけど、昇格試験をもっとちゃんとやりたかったなという思いがどこかにあったんです。だから、最終章で昇格試験を描くと聞いて「だよね!」って。
斎藤さん 藍華にとってプリマに昇格することは、ほかの人とは少し違うプレッシャーが乗っかってくるからこそ、演じたいという気持ちがありました。シナリオを読んだ時に「こんなことがあったんだ」って。今まで見せてこなかった藍華の暗い面も少し見えて、「そうやってプレッシャーに感じる時があるよね」と。私は、藍華に対して「よくこんな自信満々に生きてきたな」と思うところがあったんですけど、最終章を通して今まで以上に彼女のことをより理解することができました。すごくキャラクターの肉付きがよくなったというか。すごく素直に彼女の空白の部分を埋められた気がしました。
中原さん 私は後輩という立場なので、今まですごいと思っていた人たちにもこんな過去があって、こうなっていくんだなとあずさの目線で見ていました。姫屋の物語ではあるんですけど、私の中では二人の物語で、それを一番いい位置で見させてもらっているみたいな感覚なんですよね。台本を読んだ時も、「あー、うちの先輩が!」って、ただただ楽しかったです。
斎藤さん すごく時間を取ってもらっていたんですけど、かなり早く終わったんですよ。リテークもほぼなくさらっといって、本当にびっくりしました。
皆川さん かなりさらっといきましたね。
中原さん 二人が先に録(と)っていて、その後に二人の声を聞きながら録ったんですけど、後輩感は絶対に忘れちゃいけないなと思いました。あずさは後輩であって、大好きな藍華さんの行動に納得がいかなかったら「なんでですか!?」と言うという後輩感を忘れないように。
斎藤さん あずさ、可愛かったよね。ずっと怒っていて、ずっと一番不機嫌なんですよ。それも先輩のことを思っているからこそで「すごいな。この子はぶれない。強い」と思いました。
斎藤さん 最初は息巻いて、「頑張りましょうね、純子ねぇ」と箱ティッシュも現場に持っていったんですけど、純子ねぇが泣かなかったんですよ!(笑い)。箱ティッシュも一回も使わずに済んで。あまりにそれが衝撃だったんです。いつも泣くのにって。
皆川さん うん、いつも泣いてた(笑い)。
斎藤さん アニメシリーズでも泣いていたからなんでだろう?と思ったら、あまりに自分の中に自然にいたキャラクターだったんだなって。だから、演じていた時にも集中して役になりきっているというか、純子ねぇは晃さんだし、私は藍華だったんだって。
皆川さん そうなの。泣かなかった理由を自分でも考えて、本当にそうだと思った。晃を客観視してなかったから。客観視せずに世界に入り込んでいたから、ほぼ泣かずにすんだのかなと。
斎藤さん 収録ではすごくあっさりしちゃって、これで大丈夫?みたいな感じだったんです。実は、出来上がりを見るまで不安があったぐらい、あっさり終わっちゃった。
皆川さん 完成版を見たら、それがよかった。
斎藤さん 変に気負っていないし、過剰に表現していないし、ちゃんとやることをやっているし。自分の中にこんなに自然に彼女がいたんだというのを今回改めて感じました。
斎藤さん 「ARIA」はどのキャラクターもぶれないんですけど、姫屋は一番ぶれが少ないというか、ある種の幅みたいなものがあるかもしれないですね。
皆川さん 幅はあるかもしれない。姫屋は体育会系というか。
斎藤さん 喜怒哀楽がはっきりしている。
皆川さん 「ARIA」にはあまり負の感情が出てこないから、それを姫屋が一身に背負っている感じがする。
斎藤さん 姫屋は、関係性が結構さらっとして見えると思うんです。藍華が晃さんに反発することもあるし、あずさが藍華に対して怒る場面もあるんですけど、家族のような絆があるからこそ、外を向ける強さがある。信頼があって、大好きだからこそ、反発した意見が言えたり、「絶対もっとこうしたらいいのに」と言えたり、相手を突き放すことができる。その一歩を踏み出せるぐらい、この人たちの絆は深いんだって、今回学ぶことができました。
中原さん 私はすごく大好きなシーンがあって、藍華さんと晃さんの絆がすごく現れているシーンなんですけど、そこをぜひ見ていただきたいです。晃さんがすごくイケメンで、藍華さんに対して、子猫を手なずけるような感じがたまらなくて。ぜひキュンキュンしていただけたら、うれしいです。
斎藤さん そうだね、うちの先輩、イケメンなのよ。
皆川さん 今回は藍華も格好いいんですよ。「あぁ、晃の後輩だ!」と思いました。晃は藍華のお母さんからいろいろなものを受け継いで、藍華は晃から受け継いで、という流れにぐっと来ました。とりあえず、最後の藍華を見てください。格好いいので。
斎藤さん 新作では、姫屋が深いところでつながっているのが見えて、すごく好きだなと思いました。体育会系に見えるかもしれないけど、そういう絆もあるんだよと。姫屋の深いつながりを感じてもらえたらうれしいですね。
「ARIA」はマンガ誌「月刊コミックブレイド」(マッグガーデン、現在は休刊)で2002~08年に連載されたマンガが原作。水の都・ベネチアがモチーフの街を舞台に、ARIAカンパニーで一人前の水先案内人を目指す主人公・水無灯里の修業の日々、友人や先輩との交流などを描いている。テレビアニメ第1期が2005年、第2期が2006年、第3期が2008年に放送されたほか、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)も制作された。
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