菅田将暉:「ミステリと言う勿れ」実感する反響の大きさ 「僕らなりに届けられた証拠なのかな」 原作者の言葉も支えに

連続ドラマ「ミステリと言う勿れ」で主人公・久能整を演じる菅田将暉さん
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連続ドラマ「ミステリと言う勿れ」で主人公・久能整を演じる菅田将暉さん

 3月28日に最終回を迎える、俳優の菅田将暉さん主演のフジテレビ系“月9”ドラマ「ミステリと言う勿(なか)れ」(月曜午後9時)。原作は田村由美さんの同名人気ミステリーマンガ(小学館)で、社会で当たり前とされていることに疑問を持ち、切り込んでいく主人公・久能整の姿を描いてきた。整の持論も大きな話題となった本作について、主演を務めた菅田さんも視聴者からの反響の大きさを実感したという。実は撮影から1年近くがたっているといい、「僕らなりに届けられた証拠なのかな」と振り返る現在の心境を聞いた。

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 ◇「正論を振りかざす人」に見えないように 永山瑛太との関係性「整と我路に通ずるものあった」

 菅田さん演じる整は、とことん物事を考える性格で、普通は見逃してしまうようなささいな違和感にも気づく大学生。劇中では、膨大な知識をもとに、独自の視点で持論を展開していく姿が鮮烈だ。

 整を演じる上では、「正論を振りかざす人」に見えないよう、バランスを意識したという菅田さん。SNSなどの反響を通して、その思いがしっかり視聴者にも伝わっているのを実感し、「皆さんにも分かってもらえたという安心感がありました。ドラマを深く見てくださる方が多いので、こだわってよかったです」と語った。

 そんな整とは「もともと近いところがあるんでしょうね」と自身の性格を重ね合わせる。「なかなか伝わらないであろう不毛とされる議論を、この現場ではたくさんできた。この役を演じているから、整君が言っているような感覚で問答ができたというか。だから僕は話しやすかったですね」と明かした。

 さらに、菅田さんは犬堂我路を演じた永山瑛太さんを挙げ、「整君が我路君との会話を求める感じは、僕自身も瑛太さんに対してあって」と話す。思ったことを口にしてしまう整は周囲から煙たがられることもあり、友達もいないが、我路は整の考えに興味を抱き、距離を縮めてくれた男性だ。

 菅田さんは「瑛太さんとは同じ“思想”というか、瑛太さんには分かってもらえることがあったりする。マンガの中で整君と我路君が結びついたことと通ずるものがある気がしました」といい、「我路君が瑛太さんでよかったなと思います」と感謝した。

 ◇「整君ってこうやってしゃべるんだ!」 原作者・田村由美の言葉支えに

 そしてもう一人、菅田さんが感謝するのが原作者の田村さんだ。田村さんは実写化にあたってドラマチームと密にやり取りを交わし、菅田さんも「クランクイン前からたくさんお話しさせていただきました」と振り返る。

 「撮影では、現場で解決しなきゃならないけど、現場だけでは解決できない問題が出てくることがある。でも、先生(田村さん)が現場にもよく足を運んでくださり、その都度相談できました。ドラマ化する上で話の順番を入れ替えたり、オリジナルで足した部分もあるので、監督や制作陣が常に先生と会話できていたことで、ものすごく安心感をいただいていました」

 また、田村さんが何気なく口にした一言が、菅田さんの背中を押したこともあった。第5話で整と牛田五郎(小日向文世さん)の会話シーンを見学していた田村さんは、カットがかかった後、「整君ってこうやってしゃべるんだ!」と話したという。

 菅田さんは「その一言で安心しましたね。今のまま向き合っていけばいいんだと感じられました」と、当時の心境を明かした。

 ◇反響の大きさは「先生の思考の力」

 こうして作り上げられていったドラマ「ミステリと言う勿れ」は視聴者の間でも注目を集め、「ミステリーを超越した人間ドラマ」などと話題を呼んでいる。本作は、約1年前に撮影されたが、菅田さんは「たくさんの反響があって、作品のことを思い出す機会が多いですね。先輩、同業者からもドラマを見ているという声をたくさんもらって。本当にみんな、当たり前かのように見ていると言ってくれるんですよ」と語る。

 そんなドラマの魅力について、菅田さんは「エンターテインメントとしての感動が一つではないところがこの作品ならでは」と話す。「『泣けた』『笑えた』だけではなく、ドラマをきっかけにいろいろな人がいろいろなことを考え、議論を交えているのを肌で感じます」

 実際に、整が展開する持論には、世間の風潮によって見落としてしまいがちなことがちりばめられており、「ハッとさせられる」「いつも気づかされる」「すごく勉強になった」と、視聴者にも気づきを与えている。

 原作を読んだ段階で、ドラマも反響を呼ぶだろうと感じていたという菅田さん。もちろん「原作通りのメッセージを届ける」ことが前提だったが、放送を受け、ドラマが支持されているのは「やっぱり先生の思考の力。もともとマンガがこれだけ広まっている理由と同じかなと思います」と分析する。

 私生活でも「家族や親戚、友達に会うと、ドラマの内容を自分のことのように捉えて『こんなことがあって』と身の上話をしてくれるんです。その姿を見るとよかったなと思います」と明かし、「反響があるということは、僕らなりに届けられた証拠なのかな」と語っていた。

 ◇自身にとって「大事な作品に」

 本作を通して、「やってよかったと思うと同時に、改善点も見つかって、現代ドラマを作る上で大事な作品になりました。視聴者がいろいろな形で気になって、見てくれてると知れたことも自分にとっても大きかったです」と話す菅田さん。

 視聴者と共に、自身も毎週の放送をチェックしているといい、「僕は毎週月曜にラジオをやっていて、終わった後にドラマを見ているんですが、それが楽しみで。こんなに距離を置いて自分のドラマを見ることもないので、素直に楽しいです」と告白。「そうできている自分に安心しています」と、達成感をのぞかせていた。

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