ダンダダン
第5話「タマはどこじゃんよ」
10月31日(木)放送分
渡辺航さんの自転車マンガが原作のテレビアニメ「弱虫ペダル」の第5期「弱虫ペダル LIMIT BREAK(リミット ブレイク)」が、NHK総合で10月8日から毎週土曜深夜0時に放送される。第5期は、第4期放送終了から約4年ぶりとなる新シリーズで、総北高校2年生となった主人公・小野田坂道、今泉俊輔たちが迎える2度目のインターハイの最終日が描かれる。2013年にスタートした第1期から小野田坂道、今泉俊輔を演じ続けてきた山下大輝さん、鳥海浩輔さんは、同じ事務所の先輩後輩でもある。二人に第5期へかける思い、“師弟”の関係について語ってもらった。
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山下さん 第4期が終わった時は、まだ第5期の存在があるとは明確に聞いていなかったので、「いつか第5期で2年生の坂道のインターハイを走り抜けられたらいいな」と思っていたら、制作が決まったというお話をいただいて。第4期が3日目のスタートというところで終わっていて、ずっとそわそわしていたので「やっと走れる!」というのがめちゃくちゃうれしかったです。
鳥海さん 僕も制作が決まって、すごく楽しみにしていました。ただ、久しぶりの収録になりますし、話も途中から始まるので、こちらの気の持ちようというか、入り方が難しいのかなとか思っていたんですけど、そうでもなかったですね。4年もあいている感じはしないなと。
山下さん そうですね。
山下さん あんまり変わらないというか。2日目、3日目とのつながりのところだけの意識かなと。2日間連続で走って、いろいろなみんなの頑張りを見ていたり、自分自身も頑張ったりとか、いろいろなものを抱えた上での3日目なので、そこは意識しないといけない。みんなの体力がどれだけ残っているんだろうというのも考えました。チームとして戦って、誰の体力がどれだけ残っていて、誰がギリギリなのかというところとかも考えながらレースはやらなきゃいけない。全員が元気というわけじゃないというところからスタートするのは、一番大事だったのかなと思います。
鳥海さん 第5期の1話目なんですけど、3日目なんです。収録では、音響監督にも「ちょっと元気すぎます」と言われた気がします。ただ、気を付けなければいけないのはそこだけで、その意識を持っていれば、これだけ長く携わっていれば、キャラクターは自分になじんでいますし、自分の分身みたいなものですから。現状のキャラクター、物語の状況に気をつけて収録に入りましたね。
山下さん それがあんまりなかったんです。4期までずっと一緒に録(と)ってきたからこそ、(一緒に収録していないキャストの)声も自然と聞こえてくるというか。「きっとこうだろうな」という。
鳥海さん そうだね。しっかり絡んでる人同士では一緒に収録させてもらってたので、現場の緊張感や盛り上がりは共有できるんですけど、そうでない人たちも想像できるというか、「ここまでやってくるんだろ?」という。これまでもお互いの全力をかぶせ合うようなやりとりはずっとやってきているので、自然とみんな脳内で共有できていたんじゃないかな。だから、それぞれが持てる力を振り絞れば、今まで通り、一緒に録っていた時と同じものができるんじゃないかなという。(力を)抜けば、多分バレますけどね。
山下さん そうですね。抜く人が本当にいない現場ですよね。皆さん、喉を使い切るつもりで来てらっしゃる。それだけ熱量のこもった3日目になるから。
鳥海さん ただ、分散収録になって、3人なり、4人なりのシーンだけを収録していくので、以前と比べて隙間(すきま)がないんですよ。これまでは自分が出ていないシーンもあったのですが、それがないのでずっと全力なんです。むしろ、過酷になってたんじゃないかと。もう勢いで、温まってるうちに録っていく。だから、今までよりも濃密な時間になってましたね。
鳥海さん 関係性は、実はそんなに変わっていないんじゃないですかね。同じチームになって1年生レースをやってからは、普段から表に出すわけじゃないですけど、すごく信頼関係はできている。今泉さんはツンデレなので、坂道くんがすごく頑張ると、急に「坂道」と名前呼びになったりするんですけど(笑い)。今まで一緒につらい思いをしてやってきた中で築いてきた関係性だと思うので、それは1年生の時から変わらないと思います。今泉さん自身は、だいぶ素直にはなってきましたね。レース中にすごく本音を言うようになってきた。
山下さん ストレートに坂道を褒めてくれるシーンが増えました。
鳥海さん 「すげえよ、お前」って。そういう仲間に対しての意識は、だいぶ変わってきたというか、トゲが取れてきたというのはありますね。
山下さん レース中、鳴子(章吉)くん(総北の坂道と今泉の同級生)と言い合ったり、いつも通りの掛け合いをしているところもあるんですけど、鳴子に対しても素直になっているというか。認めた上での鼓舞の仕方みたいなのが、1年生の時よりもあるなと思って。
鳥海さん 総北というチームのカラーでもあるんでしょうけど、すごく“一人じゃない”感というかね。チームとして、それぞれのキャラクターのつながりは、内面の部分ですごく深くなっているんじゃないかな。日常はいつもと一緒で、トムとジェリーの今泉さんと鳴子くんがケンカして、坂道が一人あわあわしているという三人の構図はずっと変わらない。
山下さん 関係性としては、1年生だった時と変わらない三人と、成長している三人という構図が描かれていて、このつながりは強いなってすごく感じます。二人だけじゃなくて、鳴子くんも含めての同期のつながりは、オンリーワンのつながりだなと感じます。
鳥海さん 坂道くんは魅力しかないんだよね。絶対的な強者、勝者ですから。
山下さん 任務を与えられるとマジで強いんですよね。
鳥海さん ほかのキャラクターが坂道を見ているのと同じ視点で、ものすごく頼りにしてますし、4番打者みたいな感じです。チームの根幹を担っていて、最後は「彼さえいればなんとかなる」という。周囲は、1年生の坂道に対しては“期待”を持っていたんでしょうけど、今はもう期待を超えて、やってもらわなきゃ困るような人になってきている。野球で言えば、ジャイアンツの岡本(和真)選手でしょうね。最初は、若くして4番になってみんなに守られていたんですけど、今やどっしり真ん中に座っている。だから、まさに主砲ですよ。
山下さん それぐらい成長したってことですよね。僕も今泉くんに対して、そっくりそのままの思いというか。変わらず坂道は仲間が第一で、自分以外の誰かのために頑張らなきゃという思いがあるから、今泉くんの頑張りを見ているからこそ、自分ももっと頑張らなきゃと思える。今泉くんから力をもらっている。それに、今泉くんは、坂道をめちゃめちゃ後押ししてくれるんです。今回の3日目は特に多くなると思うんですけど、ブーストさせてくれるきっかけをくれるのが今泉くんという場面が多い。だからこそ、坂道にとって「横にずっといてほしい存在」だろうなと思うんです。この二人のつながりは本当に大事だなと思いますし、「坂道の力を100%出してくれる存在」だなと思います。
鳥海さん 山下くんは「弱虫ペダル」の坂道役が決まったのが、デビューして1年ぐらいで、その時から彼の成長を見ているわけです。第1期の当時は、山下くんの周りは我々も含め先輩だらけで、そういう環境もあったのか、「いまどきこんな新人らしい新人っているんだな」と。お芝居も含めて、良い意味ですごく新人らしい子だなというのが最初の印象でした。でも、だからこそ坂道に選ばれたんだろうなと。坂道と山下くんの成長がすごくリンクしていくんです。他の作品でご一緒する機会も多かったので、本当にどんどん大きくなっていくのを横で見てました。いや、ご立派になられました。もう4番打者ですから。
山下さん いやいや(笑い)。
鳥海さん 当たるとでかい。ホームランが多いんです。同じ事務所としても4番です。あんなに頼りなかったのが、いつの間にか「頼っていいんだ」という。皆さんもそう思っていると思います。特にデビュー当時から彼を追いかけてきている方たちからすると、「弱虫ペダル」ともすごくリンクする曲線なんですよね。
山下さん ありがとうございます。鳥さん(鳥海さん)がいろいろ教えてくれたからです。いろいろな変化、僕の体重の変化も見てくれるから。僕、「ペダル」が始まると、目に見えて体が大きくなるんですよ。
鳥海さん 4期までは、必ず収録が終わった後、みんなで食事をしていたんです。彼はわんぱくだったので、たくさん食べさせて。
山下さん これが幸せ太りっていうんだなって(笑い)。すごく楽しかったというか。みんなでご飯に行って、いろいろ話をしてというのが本当に貴重で。今考えると、本当に楽しい時間だったんだなって改めて痛感しますね。
鳥海さん 心身ともに大きくなってほしかったので(笑い)。
山下さん 声優人生と同じぐらい、鳥さんが最初からずっと一緒にいてくれて、本当にずっとお世話になっていて。だから、今もそうですけど、鳥さんが同じ現場にいると聞いただけで超安心するというか。「ペダル」以外のいろいろな作品でもご一緒する機会も増えて、だんだん二人で食事もさせてもらえるようになって。こんなに近くにいてくださって、いつもありがとうございます。
山下さん 一から教えていただきました。最初のころはドラマCDも初めてで、僕はすぐ緊張して焦ってしまうところがあるんですけど、「緊張するもんはしょうがない」と鳥さんは言ってくださって。ドラマCDのページをめくるのも「みんなと一緒のタイミングでいいんだよ」って。いろいろ気になっている部分もすぐ鳥さんに相談して、心構えとか、向き合い方とか、その時その時でいろいろなことを教えてくれました。
鳥海さん 長らくお待たせいたしましたが、いよいよ第5期を皆様にお届けすることができます。2年生のインターハイ3日目なので、彼らがゴールに向かっていく様をぜひ見ていただければと思います。
山下さん 第5期ということで、長い期間、長い話数、走り抜けてきたわけなんですけれど、坂道としてはみんなと一緒にゴールまで走り切ってほしいなと。本当に「弱虫ペダル」は、入り口に入ってしまえば、もう止まることもないぐらい魅力的な作品なので、ぜひこれまで見ていない方には見ていただきたいですし、これまで見てくださった方にとっても、さらに面白い物語になるのではないかと思います。一緒に最後までインターハイを走りきってもらえると非常にうれしいです。
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