「ウルトラマン」シリーズの新作「ウルトラマンデッカー」(テレビ東京系)の第14話「魔神誕生」が10月15日に放送され、地球平和同盟TPUの科学者・アサカゲ ユウイチロウの正体が、ヴィランのバズド星人アガムスであることが明らかになった。これまでアサカゲがヴィランであることは一切におわせてこなかったこともあり、驚かされた視聴者も多かったはず。アサカゲ ユウイチロウ、アガムスを演じる俳優の小柳友さんに、撮影の裏側を聞いた。
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「ウルトラマンデッカー」は、前作「ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA」の数年後、人類の未知なる世界への探求心・ネオフロンティアスピリッツが宇宙に拡大した時代が舞台。新たに再編されたエキスパートチーム・GUTS-SELECTの新人隊員・アスミ カナタがウルトラマンデッカーに変身する。テレビ東京系で毎週土曜午前9時に放送中。
アサカゲは、これまでGUTSホークなど多くのGUTS-SELECTの新装備を発明してきた。その正体はアガムスで、自らが開発したロボット型兵器・電脳魔人テラフェイザーをTPUから奪い、ウルトラマンデッカーに挑む。
小柳さんはもちろんアサカゲの正体を知りながら、演じてきた。まさか!?となるのは、小柳さんの演技によるところも大きい。
「出演をオファーしていただいた時から知っていました。『科学者ですが、実はヴィランです』と言われ、最初は不思議だったんですけど、脚本を読んで、こういう理由なのか……と自然に入ることができました。まさかヴィランだとは気付かれないようなミスリードも意識していたところです。最初はちょっと厳しい科学者で、物語が進む中で和解し、どんどんこれから仲良くなってく。一段落ついたと思ったら、もう一つ大きな展開がある……と監督から流れを説明していただいていました。最後まで見ていただければ、そういうことだったのか……と分かっていただけるはずです。僕自身もすごいな!と脚本を読んでいました。脚本が素晴らしいので、すごくやりやすかったです」
「だまされた!」と思う人もいるかもしれないが、「そう思っていただけたら、俳優冥利に尽きますね」と語る小柳さん。緻密な逆算をしながらアサカゲを演じてきた。
「バレてはいけませんし、におわせてもいけません。アサカゲのせりふをアガムスとしても言えるのか……と確認していました。アサカゲとやってきたことに意味があり、これは何のためにやっているのか?とつながりを確認していました。やってきたことはテラフェイザーにつながっているんですね。仕草や目線をちょっとだけ怪しくしてはいますが、普通に見ていると気付かないかもしれません。なので、もう一回、最初から見てほしいです。ぜひ、 TSUBURAYA IMAGINATION(定額制動画配信サービス)で見直してください(笑い)」
小柳さんは、実はヴィランであることを隠しながら、「ウルトラマンデッカー」のイベントに登場したり、番組に出演したりしていた。「僕の心はズタズタでした(笑い)」と明かす。
「つらかったです。先日、親戚の子供がウルトラDフラッシャーで遊んでいる動画が送られてきたんです。めちゃくちゃ可愛いんですけど、僕は敵なんだよな……と寂しくなりました。お子さんが悪いことをした時、『悪いことをしているとアガムスが出てくるよ!』という感じで扱っていただければいいかな(笑い)。あんまりヴィランをやったことがなかったのでいい機会ですし、うれしいんですけどね。ヴィランは面白いです。掘り下げがいがあって、記号的な悪ではなく、俳優としてどうやって役を掘り下げるのか?と考えました。こんなに深いんだ……と感じています」
アサカゲからアガムスに……と正体が明らかになったことで、演技に変化はあるのだろうか?
「演技自体は変わらないのですが、物語が進み状況も変わっていってるので、変化している部分もあると思います。地球には来ていますが、バズド星人であることは変わりません。そこを軸としてちゃんと持っていないと、“悪役をやっています!”と記号的になってしまうかもしれません。地球で過ごす中で、いろいろなことがあったと思いますが、思いを遂げるために地球にいることをずっと意識していないといけません。地続きになっていることを忘れないようにしています」
アガムスの思いは複雑だ。
「地球人と接し、愛や優しさに触れ、それでも地球を滅ぼしたいのか?と考えてしまいます。でも、それくらいの思いが根底にあるんですよね。だからこそ、優しさなどが吹っ切れたんだろうと思います。どちらにも正義があって、そこも複雑です」
小柳さんは2010年公開の映画「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」でウルトラマンゼロに変身する主人公・ランを演じた経験がある。ウルトラマンシリーズに出演するのは約12年ぶりとなった。「ウルトラマンデッカー」に出演するアスミ カナタ役の松本大輝さん、キリノ イチカ役の村山優香さん、リュウモン ソウマ役の大地伸永さんといった3人の若手と共演する中で、“先輩”として感じることがあるという。
「若手の3人がすごくいいんです。彼らも悩んでいます。僕は先輩にいろいろなことを教えていただいてきたので、それをつなげていかないといけないという思いがあります。彼らと接する中で、彼らが変化している姿を見ていると、感動します。“ウルトラマン”の撮影現場は、俳優を育てる場でもあって、僕もそこに入っています。僕にできることは何なんだろう?と考え、自分が経験してきた失敗などについて話して、もっと芝居を好きになってもらいたいと思っています。僕が12年前に経験したことをこの作品でお返ししていきたいという思いがあります」
約12年前の経験は今も生きている。
「涙を流すシーンで何時間も泣き続けて、なかなかOKが出なかったことがありました。次の日にOKをいただきましたが、納得のいかないOKですごく悔しかったです。撮影が大変なのに、スタッフさんたちにはずっと付き合っていただきました。みんなで一緒に作っていて、期待してくれてるからこそ僕が頑張らなきゃいけないし、当たり前のことですが台本を一番読み込まなければいけません。あの時に学んだことは、すごく大きいですね。それが今もすごく生きていて、あの経験、悔しい思いがなかったら、辞めていたかもしれません。どうやったらうまくいくんだろう?と考えるようになり、考え方も変わりました」
アガムスの登場によって「ウルトラマンデッカー」は新たな展開を迎える。小柳さんは「本当に最後まで見てほしいです。若手3人がこれからもどんどん輝きます。彼らのファンにもなってほしいですね。ぜひ応援していただければ!」と語る。今後の展開にも期待が高まる。
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