良いこと悪いこと
第8話 7人目、だーれだ?
12月6日(土)放送分
1月8日にスタートする2023年の大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合、日曜午後8時ほか)で、主人公・徳川家康(松本潤さん)が父のように慕う駿河の大名・今川義元を演じる野村萬斎さん。1994年に放送された「花の乱」で細川勝元を演じて以来、29年ぶり2度目の大河ドラマへの出演となる萬斎さんに、久しぶりに大河ドラマに挑んだ心境や、役作りなどについて語ってもらった。
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「どうする家康」は、心に傷を抱えた弱き少年が、乱世を終わらせた奇跡と希望の物語。弱小国の主として生きる運命を受け入れた家康は、織田信長、武田信玄ら“化け物”が割拠する乱世に飛び込み、さまざまなピンチに立ち向かっていく。ドラマ「リーガルハイ」「コンフィデンスマンJP」などの古沢良太さんが脚本を担当し、新たな視点から、徳川家康の生涯をスピード感あふれる展開で描く。
「29年ぶりっていうと随分な年ですねぇ」と感慨深げな表情を見せた萬斎さん。「その間にもいろいろオファーはいただいたんですが、なかなかスケジュールが合わなかったんです。大河ドラマって長期的なものですからね。それなりに覚悟がないとできないので」と今作に臨む決意をのぞかせた。
「花の乱」の撮影を振り返り、「私もまだ20代でしたし、そのときは三田佳子さん、先代の市川團十郎さん、萬屋錦之介さん、京マチ子さんといった銀幕のスター、時代劇を背負ってきたお歴々の胸を借りて、皆さんの演技を真剣に食い入るように見ながら、『どうやったら対抗できるか?』という思いでした。しかも応仁の乱という非常にややこしい時代の作品でしたので、緊張感をもって臨みましたね」と当時の心境を語った。
一方、今作については「古沢さんの脚本ということもあるでしょうし、松本さんをはじめとする出演者のキャラクターなど、非常にアットホームな構成になっていると思います。緊張感がないわけじゃないですけど、一種のファミリードラマとしての面白みがあるように感じました」とほほ笑む。
また、29年ぶりの撮影では、かつらや衣装の仕様など「いろんなことが変わっていた」といい、「(セットの)後ろにLEDパネルを立てて、そこに書き割りならぬ映像を流して撮るなど、技術の革新にも驚いております」と目を輝かせた。
今川義元というキャラクターは、「徳川家康の思想に大いに影響を与えた人物で、身をもって何か授けるような役」だという萬斎さん。
「キーワードとして『王道を説く』ということなんだろうと思います。桶狭間以降、家康が生きていた状況は戦乱の世であり、戦うことは避けられないけれども、その後の理想的な国造りというものを説く。それが『王道を説く』ということで、(義元が)“覇道”と“王道”の違いを語るシーンも出てきます。カリスマ性があり人格者という面で、厳格な人物として演じることを心がけました」
演じるうえでは、「(家康の)父親代わりのような大きさを見せることを心がけた」といい、「厳しい場面だなと思ったのが、(息子の)氏真(溝端淳平さん)に引導を渡すというか、実の息子にここまで言うかというような描写が出てくるんです。そういう意味では非情な部分もありつつ、国を治めるという責任を考えれば、そういう判断もあるのかなと感じました」と率直な思いを吐露した。
また、義元の人物像について「時代背景として、何を取り何を捨てるかという取捨選択の中で、やっぱり国を大事にした。理想的な国家を作ることと、ただ単に自分の腕力だけで治めようというのは違うところにある」と感じたという萬斎さん。演じていて難しさを感じた部分を問うと、「(義元は)泰然自若としていて、信念を持っている。ある種のカリスマですよね。武力とはまた違うカリスマ性を見せなきゃいけないということですね」と熱弁した。
そのうえで、「(義元のカリスマ性を感じさせる)象徴的なシーンとして、これから戦いに出ようというところで、義元があることをするんです。そのシーンは、『今川義元という人が背負っているものが何か』が見えるようなシーンになったらいいなと。天と地をつなぐような、神に成り代わるような大きなものを背負っている存在として見えたらいいなと思っております」と意気込みを語った。
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