1月27日公開の映画「あつい胸さわぎ」(まつむらしんご監督)で若年性乳がんを患う18歳の主人公・武藤千夏を演じた吉田美月喜さん。「この映画は千夏のひと夏の成長の物語。18歳の危うさ、自分じゃどうしようもできないけれど大人になりたくて……という気持ちを大切に演じました」と話す吉田さんに話を聞いた。
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映画は、母と娘の視点から“乳がん”と“恋”をテーマに描いた、演劇ユニット「iaku」の横山拓也さんによる舞台を映画化。港町の古い一軒家に暮らす千夏(吉田さん)は、母の昭子(常盤貴子さん)と二人、慎ましくも笑いの絶えない日々を過ごしていた。小説家を目指し、念願の芸大に合格した千夏は、授業で出された創作小説の課題「初恋の思い出」で頭を悩ませていた。一方、昭子は千夏の部屋で、千夏が受けた乳がん検診の再検査の知らせを見つけて……と展開する。
千夏を演じるにあたり、吉田さんは最初にインターネットで情報収集をしたという。「(乳がんについて)お医者さんに質問させていただく機会はあったんですけど、まずは自分で調べてみようと思って。いろんな情報が出てくるけど、結局どれが本当なのかよく分からなくて、すごく不安に感じました」と振り返る。
「でも、きっと千夏もそうだったんだろうなって思ったんです。しかも撮影当時、私も千夏と同じ18歳。高校を卒業してちょっと浮ついた気分で『大人になった』と思いながらも、結局は自分じゃ解決できないことが多い年齢で。このモヤモヤをどうしたらいいのか、大人だけどお母さんに頼らなきゃいけなくて……。そういう感情は、意識したというよりは共感しながら演じていた部分ですね」
劇中の千夏と母・昭子の関係については「私自身、母とけんかも結構するんですけど(笑い)仲が良いほうだと思うので、2人の関係性と重なる部分も、共感できる部分もすごく多かったです」と明かす。
そんなふうに自身と共通する点も多い役だったというが、演じるうえで難しさを感じたこともあったという。「恋愛感情は、今まで私が生きてきた経験を通して理解できる部分もありましたが、乳がんは実際に患った方じゃないと分からない部分がたくさんあるので、どう演じればいいのか、自分でも深く考えました」と率直な思いを語る。
「病院のシーンでの表情や反応は、撮影に入る前にお医者さんに教えてもらったホームページを読んで参考にしました。乳がんを宣告された時にどういう気持ちだったのか、実際の患者さんの日記がまとめられているので、そのページをたくさん読んで参考にしながら演じさせていただきました」と回想。実際の患者の体験談が、本作の演技に生かされているようだ。
母・昭子を演じた常盤さんは「憧れ」だという吉田さん。「本当にかっこいいです。私の中で、ずっと『人として芯のある女性になりたい』という目標があるのですが、常盤さんはまさに私が憧れる女性像そのもの。常盤さんがいるだけで現場に安心感が生まれるんです。本当のお母さんのように話しかけてくださったり、面倒を見てくださったりしたので、『こういう大人になりたい!』と強く思いました」
母と娘、互いの感情をぶつけ合うシーンも多かった。「こんなに間近で直接、常盤さんのお芝居を受け止めることができるなんて。すごく貴重な時間でしたし、とても勉強になりましたね」と目を輝かせる。
和歌山で行われた撮影の最終日には、常盤さんやスタッフと一緒に夜市を訪れたという。「夜市では魚を売っていて『魚好きなんです』っていう話を常盤さんにしたんです。後日、自宅に戻るとすごく大きい段ボールが届いていて、中にはしらすなど大量のお魚が入っていました。『家族で食べてね』というメッセージと一緒に常盤さんが送ってくださったもので、私だけじゃなくて私の家族にまで親切にしてくださるんだって感激して……。私の中ですごく印象深い思い出になりました」とうれしそうに話す。
撮影を通して、常盤さんをはじめ、共演者やスタッフに支えられたという吉田さん。演じる千夏の境遇ともリンクしたそうで、「千夏を演じて感じたのが、人に支えてもらえるって心強いことだなって。千夏は乳がんや恋愛など悩みを抱えているけれど、人間は誰もがコンプレックスや人に言えない不安を抱えている。そういうときに、周りの人がずっと見守り続けてくれるのは、すごく温かいものなんだと感じました。どんな年代の方にも共感していただける作品だと思うので、ぜひご家族そろって見ていただいて、コミュニケーションの一つにしてもらえたらうれしいですね」とアピールした。
今年の3月に20歳の誕生日を迎える吉田さん。これまでに主演映画「メイヘムガールズ」(藤田真一監督)の山﨑瑞穂役や、連続ドラマ「ドラゴン桜」(TBS系)の清野利恵役などで見る者に強い印象を残してきた。
「15歳の時に事務所に入って、そこから私の人生は一変しました。毎日刺激でいっぱいで、ただひたすら楽しくお仕事をさせていただきました」と10代を振り返り、「今後はただ楽しいだけじゃ駄目で、大人としての責任も出てくると思います。そこはしっかり、大人としてのけじめを持ってやっていかなければ」と決意を新たにする。
今後は「アクションに挑戦したい」という吉田さん。「女優としての強みにもなると思いますし、個人的にアクションができる女優さんってかっこいいなって。空手や柔道のような格闘技は経験がないけれど、球技などのスポーツは昔からやっていました。『運動神経いいね』と言われることが多いので、もしかしたらできるんじゃないかなと(笑い)。とはいえ、そんなに甘い物じゃないとは分かっているので、しっかりと技術を学んで身につけて挑戦してみたいですね」と言葉に力を込める。
また、20歳になってプライベートでやってみたいことを聞くと、「母と2人でお酒を飲みたい!」と即答。「わりとボーイッシュな雰囲気の母なんですけど、意外と飲めなくて。いつもカシスオレンジとかかわいらしい感じのお酒を飲んでいます。私も多分そんなに強くない気がするので、まずは母と同じお酒から飲んでみようかな(笑い)」と笑顔を見せていた。
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