名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
「月刊デザート」(講談社)で連載中の森下suuさんの恋愛マンガが原作のテレビアニメ「ゆびさきと恋々」が、1月6日からTOKYO MX、MBS、BS日テレで放送される。聴覚障がいのある女子大生・糸瀬雪と世界を旅する大学の先輩・波岐逸臣のラブストーリーで、諸星すみれさんが雪、宮崎遊さんが逸臣をそれぞれ演じる。諸星さん、宮崎さんは、音が聴こえない雪、英語、ドイツ語を話すトリリンガルという難役に挑戦した。二人に収録について聞いた。
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諸星さん すごく温かいお話です。恋愛マンガということで、キュンキュンするポイントもたくさんあるのですが、キュンの質がすごく高くて、奥深いんです。キュンって言っていいのかな?というくらい、言葉に表せないくらいの高まる感情がありました。気持ちのやり取りがとても繊細、緻密で、雪は全編通してモノローグですけど、その言葉がキレイで、普段はしないような言い回しで紡がれていて、うっとりしました。演じる時は、どうしよう!?ともなり、私自身も新しい世界が開けるような感覚があり、ワクワクしながら読ませていただきました。恋愛だけじゃなくて、雪の一人の女の子としての成長物語、友達や家族の愛などが詰まっていて、とても心温まる作品です。
宮崎さん 普通に生きていて感じるモヤッとする瞬間、何となしにキュンとする時、何だ今のこのいい感じ?となること……。ささいな心の変化が淡く、足湯くらいのじんわりくるような温度感で一つ一つ丁寧に描かれているんですよね。僕は、女性向けの恋愛マンガをあんまり読んだことがなかったのですが、スルッと読めて、面白かった!となったんです。この作品らしく、普遍的なことを描いていて、そこをしっかりキャッチしないといけないし、ごまかしが利かない。それが一番の魅力であり、大事なことだから、何よりも大切にしなければいけないと思いながら演じています。
諸星さん 最初はテープオーディションでその後、スタジオオーディションでした。最初、はかなく、かれんでおっとりしていて、でも芯が通っていて、生まれ持ったエネルギーの強さを感じ、キャラクター像を作りました。スタジオオーディションでは「高校生の恋愛ではなく大学生の恋愛で」というお話があり、等身大で演じていたつもりだったのですが、私はこれまで幼いキャラクターを演じさせていただく機会が多く、「もうちょっとだけ大人にステップアップした感じでやってみてもいいんじゃないか?」というディレクションがありました。声のトーン、キャラクターの感じを大幅に変えるわけではないのですが、そこを意識しました。大人とは言えないけど、高校生ほど子供ではなく、絶妙なニュアンスなんです。
宮崎さん 僕は最初、テープオーディションではなかったんです。逸臣はトリリンガルなので、最初から英語ができて、決まったらドイツ語スクールに通える人というお話がありました。その場で英語をしゃべらないといけないので、緊張したことを覚えています。英語はそんなにできなかったのですが、普段受けるオーディションと違って、あれ?これ、決まるかな?みたいな不思議な感覚がありました。その後、2次のスタジオオーディションがあり、最終はドイツ語のせりふを渡されて、ドイツ語の先生のディレクションを受けながら、しゃべりました。普段と全然違うオーディションでした。
諸星さん 私も謎にハマった感じがあり、不思議と受かりそうな気がしたんです。雪を通して、きっとこれまで見てこなかった世界を知ることができるだろう……とワクワクしました。
宮崎さん 学生の時、少しだけバックパッカーをやっていて、初めて行ったのがタイだったのですが、その時は全然しゃべれませんでした。しゃべれたら、もっと楽しいだろうなということがたくさんあったから、帰ってきて帰国生の友人に発音を教えてもらったことがあります。きっちり訓練はやっていないし、英検も準2級ですが、旅行できるくらいはしゃべります。お芝居でここまでやったことはなかったです。
-ードイツ語は難しい?
宮崎さん 人のお金で勉強できるなんて、ありがたいな!とワクワクしていました(笑い)。男性名詞、女性名詞があったり、これを全部覚えるの!?と気が遠くなりました。英語とはまた別の難しさがありますね。諸星さんと収録している時、英語やドイツ語のせりふは、サラッとやるんですが、その後に居残りで収録し直しています。
諸星さん ドイツ語のせりふは見たことがないようなカタカナなので、どうやるんだろう!?と私も一緒に勉強しているようで、毎回楽しみのポイントの一つでした。大変そうだな……と思いつつ。
宮崎さん やっぱりドイツ語ですね。3カ月訓練したドイツ語を披露することはやっぱり新鮮です。
諸星さん どうしてそういう言葉に至ったのかを噛み砕いて演じ、聞こえがいいだけにはしたくなかったんです。どうして突き動かされたのか、何を見て気持ちの変化があったのか……をきちんと理解しないとこの作品の良さは伝えられないですし、丁寧に作っています。
諸星さん 圧倒的にせりふが多いのですが、不思議と大変なことはないんです。モノローグなので、考えていることが音になっていて、伝えるというよりは、自分の中でいろいろ考えたことがポロポロと音になっています。普通にしゃべっている時とは意識が違います。普段の収録は、せりふを聞いて、それを受け止めて……となるのですが、今回は聞いてはいけなくて、ただ、それを受け止めたいという気持ちはあるんです。“見て演じる”という感じでして、聴こえていない世界を常に持続させることには結構エネルギーを使いますし、神経を研ぎ澄ませています。神経を使う部分が普段とは違うので、そういう部分では大変だとは思います。
-ー逸臣を演じる際に意識していることは?
宮崎さん 話が進んでいくにつれて、雪とのコミュニケーションに慣れていきますが、最初は慣れていないので、慣れるまでのグラデーションはちゃんと表現したいっていう演出の意図があり、そこが大変でした。行き過ぎちゃうと、慣れた感じになりますし、そこを繊細に演じています。
諸星さん 見えるもの、触れるものへの感度が高くなるんだろうなと思い、一つ一つに集中している感覚があると思います。雪は、私たちが普段見て、何気なくスルーしているものに対して、すてきな言葉で表現しますし、音が入ってこない世界で雪を通して感じていることが、モノローグを通して分かるところがあります。それが、自分としては、新しい世界であり、発見でした。モノローグは、外からは分からないものですし、聴こえない世界は、本人にしか分からない。想像が付かないです。実際に第1話を見て、音のない世界が表現されていて……。
宮崎さん 音が混ざりあっていて、振動を感じるような表現で、新鮮でした。皆さんにも見て、聞いていただきたいです。
諸星さん 共演させていただくのは初めてでして、最初は舞台役者さんかな?と思ったんです。フラットで、いい意味で作り込まれてないお芝居をされてまして。恋愛マンガの男性は、格好いいんですけど、格好よくないんです。いい意味ですよ! 格好よく聞かせようとしないけど、キュンとさせなくてはいけなくて、バランスがすごく難しいとは思うのですが、すごくすてきなんです。雪は、あまり聞きすぎないようにしないといけないところもあるのですが、聞いていると、スッと入ってくるところがあって、私も雪としてとてもお芝居しやすかったです。
宮崎さん すごくうれしいです。元々、派手な芝居をするタイプではないのですが、決めなきゃいけないポイントでは力を入れていないといけません。もっと頑張りたいです。
諸星さん キュンキュンしています(笑い)。テスト収録が終わった時、ふー!って言ったり。とっても楽しくて、最高です。
宮崎さん 諸星さんは、先輩なんです。僕が学生だった時から活躍されていて、すごいなあ……と思っていた方なので、諸星さんと掛け合いができることがうれしかったですし、楽しみでした。実際に共演させていただき、お芝居に対してすごく素直な方なんだなと感じました。雪の心境の解像度が高く、ディティールが細かくスッと入ってくる。雪は、こんな気持ちなんだと一瞬で入ってくる。それに、僕が想像していた雪よりも可愛いです。尊敬する先輩です。勉強になるところがたくさんありました。
諸星さん 原作の素晴らしさをアニメとして魅力的に表現しています。音やキャラクターのお芝居によって、作品の世界をよりリアルで身近に感じられるはずです。ロマンチックで美しい世界ではありますが、リアルに感じられるアニメになっているので、ぜひ期待してください。
宮崎さん 心の機微を繊細に描いている作品で、そこを伝えたいと思っていました。じんわり温まるような優しい温度感を感じていただければうれしいです。そこを最後まで感じていただけるように、頑張っています。楽しみにしていてください。
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