海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、俳優の柄本時生さんと伊藤万理華さんが主演を務めるモキュメンタリー「PORTAL-X ~ドアの向こうの観察記録~」(WOWOWプライム、金曜午後11時)の第3話「フロム・アンダーグラウンド」だ。
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突然発見された異次元への扉「ポータル」。扉の先には、この世界とは別の歴史をたどった並行世界が広がっていた。番組ディレクターのカイフ(柄本さん)とカメラマンのルナ(伊藤さん)は、さまざまな並行世界をリポート。食糧難や不死が実現した世界、真の多様性を獲得できなかった社会、極端な少子化、運に頼り切る世界など、歴史の転換点で選択を誤り、取り返しのつかない状況に陥っている世界を目の当たりにしていく……。映画「ユートピア」を手掛けた伊藤峻太監督が監督・脚本・VFXを担当している。
実際の社会問題にも通じるテーマをモキュメンタリーとして扱っている本作。第1話で食糧難を新食材によって解決しようとしたポータル05の顛末、第2話では、未完の大作を完結させるために伝説のマンガ家の脳をコンピューターで復活させたポータル19の世界を見つめてきた。第3話では、地底人という“未知との遭遇”を果たしたポータル14が舞台だ。
出会った地底人たちは高い知能と知性を持ち合わせ、ものすごいスピードで言語を習得。さらに地底は貧富の差がなく、資源も豊富で、ぬいぐるみのようなキュートな外観もあって世界中で交流が進み始める。ところが地底人の“ある特殊な文化”が発覚したせいで関係性が大きく揺らぐことになる……。
今回のテーマは多様性と異文化共生だろう。それぞれの人々の文化は当然尊重されるべきだが、かつてさまざまな文明に存在した人身供犠のように、それが自分の許容範囲をはるかに超えていた場合、恐怖や不安を覚えるようなものだった場合、どこまで黙認できるのか。きれい事では終わらない内容だった。
個人的には地底人のフウフウ・アカリの声を「SPY×FAMILY」のヨル役などで知られる人気声優の早見沙織さんが務めていたのもポイントだった。おっとりした雰囲気ながら殺し屋の顔を持つヨルのように、可愛いルックスながら、理解に苦しむ“ある特殊な文化”も持ち合わせる地底人をキュートかつどこか不気味に演じている。
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