ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
「チェンソーマン」などで知られる藤本タツキさんのマンガが原作の劇場版アニメ「ルックバック」(6月28日公開)。若手俳優として注目を集める河合優実さん、吉田美月喜さんが声優に初挑戦することも話題になっている。集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で2021年7月に発表され、初日で250万以上の閲覧数を記録した話題作で、マンガへのひたむきな思いが二人の少女をつなげるが、やがて大きな出来事により二人の運命が分かれていく……というストーリー。河合さんが学生新聞で4コママンガを連載している小学4年生の藤野、吉田さんが不登校の同級生・京本をそれぞれ演じる。河合さん、吉田さんに収録の裏側を聞いた。
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吉田さん 私はオーディションの時に知りました。藤本先生の「チェンソーマン」は読んでいたのですが、「ルックバック」は知らなくて、読んで衝撃を受けました。アニメ化され、声優としてオーディションに参加できることがうれしかったです。
河合さん 発表された当時、ネットで読んで、すごい作品だ!となりました。今まで触れたことがないような感触のマンガでした。人物が魅力的で、クールなトーンなのですが、迫ってくるような感覚があったんです。
吉田さん 私が家が中3までテレビ、マンガが禁止だったのですが、コロナ禍の自粛期間中に、アニメを見るようになって、こんなに面白いんだ!と頻繁に見るようになりました。周りにアニメが好きな友達が多いので、面白い作品を教えてもらっています。
河合さん あまりアニメは見てこなかったのですが、家族が見ているのを横で見たり、お父さんの本棚にある「バガボンド」「20世紀少年」を読んだりはしていました。好きなマンガは「おやすみプンプン」です。絵が好きです。藤本先生の絵もすごく好きで「ルックバック」「さよなら絵梨」を読みました。
吉田さん 自分では必死にやっていたけど、どんな音になっているのか想像できなくて、収録した声を少し聞いたのですが、自分じゃないみたいでした。不思議でしたね。
河合さん ナレーションなど声のお仕事をした時、「(声が)普段と全然違うね」と言われることが多くて、そうかな?とも思っていたのですが、アニメだと自分でもそう感じました。
吉田さん 私が演じた京本は、藤野に憧れていて、それが彼女の生きる力にもなっています。彼女がどういうふうに生きて、どういうことを考えているのか?とバックボーンを考えていました。声を当てる際、未完成なシーンもあったのですが、既にキャラクターが前面に出ていて、出来上がっているように感じました。その場でキャラクターを見て感じたことを表現しようとしました。
河合さん 普段、自分が体を使って演技している部分は、絵が担ってくれていますし、声を当てるのはこういう感覚なんだ……と感じました。描かれている藤野を感じながら演じようとしました。
吉田さん 京本は、秋田弁をしゃべるのですが、最初は秋田弁が特に強くて、小さい頃の甲高い声を少し意識しながら、方言の強さで変化を付けるように考えていました。
河合さん 実写ではここまで下の年齢を演じることは不可能ですし、初めての経験でした。小学生の声を出すことを楽しんでいました。成長しても同じ人であるとつながりが見えないといけないので、トーンなどを調整しようとしていました。
吉田さん ドラマでちょっとだけ共演させていただいたことはありますが、ここまでがっつりの共演は初めてです。すごくやりやすかったです。最初は京本が出てこないので、優実ちゃんの演技を聞いていたのですが、本当に初めてなの?と思うくらい上手で、それがプレッシャーになりました。私は秋田弁もありますし、大丈夫!?となって。ガチガチに緊張したのですが、呼吸が合ったシーンもたくさんあったことがうれしかったですし、優実ちゃんだからだと感じていました。
河合さん 全く余裕がなかったんですけどね。もうちょっとできると思っていたんです。プロの声優の方々ではなく俳優である私たちが選ばれたのだから、私たちができるよさがきっとあるはずだと思っていて、もうちょっと力を抜いて臨もうとしていたのですが、すごく難しくて……。簡単だと思っていたわけは全くないのですが、もう少しリラックスして、いろいろ試そうとしていたんです。難しくて全然余裕がありませんでした。段々、慣れてきて、最初の頃の演技が固く感じたので、相談して録り直させてもらったところもあります。
吉田さん 数日で収録を行ったのですが、後半の方がやりやすかったですよね。
河合さん そうですよね。2日でこんなに自分の変化を実感することはなかなかないです。
吉田さん 普段とは違う疲れがありました。声優さんはやっぱりすごい!と改めて感じました。
吉田さん 私はオーディションを2回受けたのですが、「1回目のオーディションの時のものを変えないでほしい」と言われていました。1回目と2回目で印象が違ったみたいでして。ただ、私は2回共、同じようにやったつもりで、声の印象を変えるなんてそんな難しいことはできないですしね。混乱していましたが、何か違ったら監督が言ってくれるだろうと思っていました。「練習しすぎないで」とも言われていたので、監督を信用していくしかないと思っていました。
河合さん 監督がブースの中に来てくださったことがありました。私がとあるシーンで、なかなか求られている音を出すことができなくて、何回もトライした時、監督が実演してくれたんです。叫ぶシーンでして、全力で「ワーッ!」とやってくださったことが印象に残っています。監督をより一層信頼した瞬間でした。最初から最後までこだわり抜く方で、すごく信頼しています。
吉田さん すごく丁寧でしたよね。
河合さん 演技について考え直すきっかけになりました。普段の自分とは声の使い方が全然違いますし、柄本明さんが何かの本で「役者は声」と言っていたことが心に残っていて、私は今もまだその言葉の本当の意味は分かっていないと思っていますが、今回お芝居における声の要素についてすごく考えました。
吉田さん 自分が演技をする時、声以外のものにいかに頼っていたかと感じました。自分は感情を表現できているつもりでも、できていなかったり……。2人の出会いのシーンは一番苦労したのですが、指摘されたようにしないと、確かに気持ちが伝わらないだろうなと感じましたし、声の表現に改めて向き合わせていただきました。声の表現でもっと何かできると考えるきっかけになりました。
河合さん あまり決めないようにしています。
吉田さん 私もそうです。
河合さん 自分がやってみたいことをずっと続けていれば、なるであろう姿があるはずだと思っています。何をやりたいかをちゃんと考えていきたいと思っております。
吉田さん いろいろな俳優さんを見て、この方の演技すごくすてきだなと思うことはたくさんあるのですが、自分なりに噛み砕いていきながら、将来的には「吉田美月喜だからだよね」と言っていただけるようになりたいです。そのためにはいろいろな経験が必要ですし、挑戦していきたいです。
※河合優実さんの衣装(敬称略)
スタイリスト・Shohei Kashima(W)▽トップス:(イムズ<ブランド△ニュース>)、そのほか:スタイリスト私物
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