ドラゴンボールDAIMA
第5話 パンジ
11月11日(月)放送分
武田綾乃さんの小説が原作のテレビアニメ「響け!ユーフォニアム」の最終章となる第3期「響け!ユーフォニアム3」が、NHK・Eテレで4月7日から毎週日曜午後5時に放送される。テレビアニメ第1期がスタートした2015年から約9年がたった。同作は、高校生の黄前久美子らの成長、心の変化を丁寧に描いている。テレビアニメ第1期から同作を手掛けてきた京都アニメーションの石原立也監督に、約9年掛けてからこそ描けたこと、第3期について聞いた。
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「響け!ユーフォニアム」は、北宇治高校の吹奏楽部を舞台に、ユーフォニアム担当の黄前久美子ら吹奏楽部員が成長する姿を描いている。テレビアニメ第1期が2015年4~6月、第2期が2016年10~12月に放送された。
石原監督は第3期について「アニメや映画は、言葉にならないテーマを映像にするところがいいのですが、一言で言うと久美子の成長を描きます。彼女たちが、いろいろなことを考え、決断していきます。視聴者の方々がいろいろ考えることがあればと思いながら作っています」と語る。
第1期では高校1年生だった久美子も3年生になり、吹奏楽部の部長になった。約9年掛けたから描けたこともある。
「結果的に出来たことなのですが、約10年 という長い時間を掛けて、時間の変化を描くことができました。昔は、1年放送するテレビアニメが多く、例えば10歳の主人公が、最終回で15歳くらいまで成長するアニメもありました。あの頃のアニメは1年間見て、最終回を迎えた時の満足感もありました。結果的に10年近く掛かったわけですが、久美子と一緒に10年過ごしてきた満足感のようなものがあります。若い人からすると、10年は長いけど、僕からすると若い頃の3年くらいの感覚です。高校の3年間というのは濃密な時間で、それを描けたと思っています。作品と長く付き合うと解像度が上がっていくところもあり、このキャラクターなら、こんな時はこんなふうに考える……と想像しやすくなるところもあります。そこは表現できているはずです」
高校1年生から3年生になり、それぞれが成長している。
「最初からやろうとしたわけではなくて、結果的になったことではあるのですが、今見ると第1期の久美子は若干幼い印象があります。第3期は、『誓いのフィナーレ』(2019年公開の劇場版)の時から基本的にキャラクター設定を変えていないのですが、第3期の久美子は大人っぽく見えます。それは、久美子の置かれている環境が1年生の時とは違い、部長になっていますし、その責任もあってあんまりヘラヘラした表情をしていません。りりしい顔が多くなっています。ちなみに、葉月と求は少しキャラクターデザインを変えています。求はちょっとだけ背を高くしています」
高坂麗奈はドラムメジャー、塚本秀一は副部長となり、久美子を支えることになる。久美子、麗奈、秀一たちは吹奏楽部で起きるさまざまな問題に直面する。
「第3期は緊張感のあるシーンが多いです。ヒリヒリするシーンばかりでは痛くなってきますし、案配が難しいところです。久美子はいろいろな問題の渦中に、入っていかざるを得ないので、苦労はします。久美子や秀一は後輩に対して優しいけど、麗奈は厳しく接することもあります。麗奈は3年生になってより厳しくなっています。自分に厳しいし、周りにも厳しい。麗奈は芯が通っていて、曲げない子です。ただ、危うさもあって、僕はそこが彼女の魅力だと思っています」
第3期に登場する新キャラクターの中で特に注目を集めているのが“謎の転校生”黒江真由だ。真由は吹奏楽部に入部することになる。公開中の映像では、久美子と真由の出会いが描かれている。キラキラした真由がどこか神秘的にも見える。
「真由は、久美子のライバル的な存在になりますが、僕として見ている人には真由のことを好きになってほしいんですよ。キャラ設定を作る際も麗奈に負けないくらいの美少女にしようとしました。普通に転校生が来たというよりは、謎の美少女が登場する方がドラマチックじゃないですか。神秘的な方がキャラクターに興味を持ってもらえます。ただ、ギミックのようになってはまずいとも思っています。アニメを描く上でのギミックは必要ですが、彼女を一人の人間として描きたい。キャラクターは、ストーリーを動かす上で都合よく使ってしまうこともありますが、そうすると人間味が薄れてしまうことがあります。彼女にも事情があるわけですし、なるべく人間味を描いていこうとしています」
久美子と真由の出会いのシーンもそうだが、「響け!ユーフォニアム」は光の使い方が絶妙だ。キャラクターの心情を表現する上で、光が大きな要素になっているようにも見える。
「演出的に光でキャラクターの心情を表現することもありますし、キャラクターの位置関係も表現しています。例えば、第2期のみぞれと希美のシーンで、日陰でうずくまっているみぞれが、光の中に出ていく表現がありましたが、演出的にそういうふうに光を使うこともあります。絵というのは結局、光と影ですし、丁寧に描こうとしています。第3期では、第2話で出てくる久美子と麗奈のシーンの光にもこだわりました。夕方、雨が降っていたけど、山に西日が差して、光が当たる。僕自身もこれまで見たことのある光景で、それを表現しようとしました。撮影さんも頑張ってくれたシーンです」
最終章となる第3期はこれまでの集大成なのかもしれない。久美子たちの成長、心の動きを丁寧に描いている。
石原監督は「僕の気持ちとしては、この作品においてはやりきったかな?という気もするんです。僕は、吹奏楽のことも全然知りませんでしたし、割と畑違いの作品ではあったのですが、3年分のキャラクターの成長を描けたことが、すごく面白かったです」と思いを語る。
久美子たちは、どこに向かうのか? 第3期も京都アニメーションならではの美しい映像で、最高のフィナーレを飾ってくれるはずだ。
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