全領域異常解決室
第7話 すべてお話します 物語はここから始まった
11月20日(水)放送分
ドラマウォッチャーなら、今年この名前を見ないクールはなかっただろう。放送中のフジテレビ系“月9”ドラマ「海のはじまり」(月曜午後9時)をはじめ、今年4本の連ドラに出演している俳優の山谷花純さん。山谷さんに、「海のはじまり」で演じる“夏美先生”こと乃木夏美のことや、17年目に突入した芸能活動について話を聞いた。
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「海のはじまり」で演じる夏美は、主人公・月岡夏(目黒蓮さん)の娘である海(泉谷星奈ちゃん)の担任教師。教師役には感慨深いものがあった。
「私のデビュー作品が16年前の月9の『CHANGE』だったのですが、その時は、木村拓哉さん演じる小学校の先生の生徒の一人を演じていたんです。なので、同じ月9で、今度は自分が担任の先生として戻ってこられたのはうれしかったですし、知らないうちに大人になっていたんだなぁと。長い間この仕事を続けてきたんだと改めて実感しました」
今作のプロデューサーである村瀬健さんのドラマに出演するのは「silent」(フジテレビ系、2022年)、「いちばんすきな花」(同、2023年)に続き3作目。「20代前半に映画『とんかつDJアゲ太郎』で村瀬さんと知り合ってから、自分の大切なターニングポイントでご一緒させていただいています」と語る。
夏美を演じるにあたり、村瀬さんからは「一見ドライに見えるけど、一人一人に愛情を持って接している、誰にでも分け隔てなく向き合う先生でいてほしい」とリクエストされた。SNSでは視聴者からも「いい先生」「こんな先生に会えた海は幸せ者」といった声が上がるが、第6話(8月5日放送)では、そんな夏美と、海の父・夏が初めて会話するシーンが描かれた。
「夏美は、(古川琴音さん演じる海の母)水季さんが病気で亡くなる前に、病気のこととかを聞いていて……。夏美だけが抱えていた心配を、視聴者の皆さんに感じてもらえていたらいいなと、演じました。古川さんとは実際の共演シーンはなかったのですが、こんな会話をしたんじゃないかとか想像しながら撮影に臨みました」
主演の目黒さんとは、会話のシーンで初共演した。印象的な出来事があったという。
「目黒さんが、星奈ちゃんと2人でこういうことがあったんです、とお話をしてくれたのですが、すごくうれしそうな表情が夏さんとリンクしていると感じました。それと、目黒さんと星奈ちゃんが2人で校門の前で立っているシーンを見たときは、客観的に可愛いなって思いました(笑い)!」
“夏”と“夏美”の名前が似ていることが、視聴者の間で話題となっているが、本人に理由を聞いてみた。
「実は村瀬さんのドラマには、『silent』も『いちばんすきな花』も“乃木夏美”という役名で出演させていただいているんです(笑い)。それぞれまったく違う人物ですが、村瀬さんと(脚本の)生方美久さんが遊び心を持って取り入れてくださっていて。なので3年間“乃木夏美”なんです(笑い)。どれだけの方が気付いているんだろう? なかなかないことをやらせてもらっているので、うれしいですね」
2008年に芸能活動を始め、今年で17年目に入った。芸能界に入った理由は「テレビの仕組みを知りたかったから」。
「テレビが好きだったのですが、どうやって作られているのか全く知らなくて、小学生のころは全て生放送だと思っていました(笑い)。テレビの制作過程を知りたくて、単純に小学校の担任の先生にテレビに出たい!と言ったら、今の事務所のオーディションを教えていただいて、この仕事を始めました。周りからも珍しいとよく言われるのですが、モデルや女優になりたい!と思って入ったわけではないんです」
そんな経緯もあってか、これまで何度も「自分はこの仕事に向いていない、辞めたい」と思うことがあったという。現在も続けているモチベーションは何なのか。
「“意地”ですね(笑い)。もうここまで来たら引き返せない!という意地です。ありがたいことに、もうこれが叶(かな)わなかったら辞めようと思ったタイミングで、大河ドラマや、ずっと出たかった美容誌に登場することができたり、ゴールデン・プライム帯の出演作が増えていったりと、夢を叶えることができ、引き返せなくなりました。多分これからも、自分に合っているのかな?と自問しながら続けていくと思います」
そんな中で、叶えたい夢もできた。
「最近、自分はなんて無力なんだろう!と実感する出来事があって……自分がもっと売れていて、力があったら、この子を救えたんじゃないか、と思えたんです。今は、困っている人や壁にぶつかっている人たちに対して、自信をもって手を差し伸べられる地位や力がほしいです。芸能活動の夢というよりは、自分の人生の目標です」
そう語る山谷さんに、優しい夏美先生が重なった。
<プロフィル>
やまや ・かすみ 1996年12月26日生まれ、宮城県仙台市出身。エイベックス主催のオーディションに合格し、2008年にドラマ「CHANGE」でデビュー。その後、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」やスーパー戦隊シリーズ「手裏剣戦隊ニンニンジャー」などに出演。2018年には映画「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」で末期がん患者役に丸刈りで臨み注目された。主演映画「フェイクプラスティックプラネット」で「マドリード国際映画祭2019」で最優秀外国語映画主演女優賞も受賞。その後、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(総合)や、今年は「アンメット ある脳外科医の日記」(カンテレ・フジテレビ系)などに出演。地元・宮城の「みやぎ絆大使」も務めている。
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