放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
吉高由里子さん主演のNHK大河ドラマ「光る君へ」(総合、日曜午後8時ほか)で、藤原伊周を演じた三浦翔平さん。10月13日放送の第39回「とだえぬ絆」では、「俺が、何をした……」とツッコミどころ満載の言葉を吐きつつ、この世を去った伊周だが、鼻持ちならないヒールに徹し、時に振り切った演技で存在感を放った三浦さんの姿は、大河ドラマファンの胸に深く刻まれたはずだ。
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脚本の大石静さんは、2022年5月の制作発表会見で本作について「平安時代の驚くようなセックス&バイオレンスを描きたい」と語っていた。また昨年12月の初回試写会では「ラブストーリーだけではないです」と強調。「いろいろ生々しい権謀術数の男の政(まつりごと)の世界もたくさん出てきます」ともアピールしていたが、この「生々しい権謀術数の男の政の世界」を、“敗者”として体現してくれたのが、三浦さん扮(ふん)する伊周だったようにも思える。
「才色兼備の自信家」として登場し、父・道隆(井浦新さん)の引き立てによりスピード出世を果たすなど、わが世の春を謳歌するも、道隆亡きあとは、自身の傲慢さからくる「人望のなさ」も災いし、坂道を転げ落ちるのかのように、その地位を失ってしまった伊周。
弟の隆家(竜星涼さん)が、花山院(本郷奏多さん)に矢を放つという愚行をきっかけに都を離れなければならず、結果として母・貴子(板谷由夏さん)と生きて再会できなかったのは、不運と言えば不運だが、このことをきっかけに、ねちっこい性格には拍車がかかり、ライバル・道長(柄本佑さん)への恨みを募らせると、妹の定子(高畑充希さん)の死後は“呪詛三昧”。しかし、効果はなく、逆に自身の命を縮めることに……。
そんな伊周の転落人生だが、三浦さんは視聴者が同情しようにもできないほど、ヒールに徹することで、ドラマの大いなるスパイスとなっていった。
特に後半は「呪詛することが唯一の拠り所になってしまった常軌を逸した伊周」を熱演。“退場回”の1週前の38回「まぶしき闇」(10月6日放送)では、木製の人型を歯でかみ砕こうとしたり、道長の前で狂ったように笑いながら「道長をなぎ払うなり」と呪いの言葉を繰り返したりと、“振り切った演技”で視聴者の視線をくぎ付けにしたことは、改めて言うまでもないだろう。
「伊周はまさに当たり役だった」と言える三浦さんの活躍ぶり。SNSには「ヒール役が絵になっていた」「こういうヒールみたいな役のオファーも今後増えるんだろうなと思った」といった声も上がっていたが。今後の俳優キャリアにどう作用するのかにも注目したい。
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