良いこと悪いこと
最終話 真犯人、だーれだ?
12月20日(土)放送分
連続ドラマ「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」(TBS系・火曜午後10時)に出演するディーン・フジオカさん。厚生労働省のエリート官僚で、2年間の育休を取得した中谷達也を演じている。ディーン・フジオカさんに、役柄や見どころについて話を聞いた。
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原作は、朱野帰子さんの小説「対岸の家事」(講談社文庫)。詩穂(多部さん)が自分とは異なるさまざまな立場や、考え方を持つ「対岸にいる人たち」との交流を通し「家事」という終わりなき仕事を描く。
読み終わったあと、“やっぱり生きていくことは大変だな”としみじみ感じたというか、食らってしまいました。子どもを産んで命をつないでいくこと、脈々と繰り返されるバトンの重みを深く感じて。自分もそうやって生まれてきたし、母親、父親に対しての感謝、自分が父親であることも含めて、この作品は世に届けられるべきテーマを扱っていると思いました。自分は重く受け止めすぎてしまったところもありますが、ドラマ作品としてどういうふうに届けられるかな、と思っています。
中谷は“砂場の帝王”ですね(笑)。公園の砂場で子どもたちと遊ぶシーンがあるのですが、自分のキングダムを作り、それを自らの手で破壊するという……。そうだったらカッコいいのですが、そんなキャラクターではありません(笑)。
中谷は育休を取得したエリート官僚なのですが、形から入るのが好きなのかな、という印象はありました。「こうあるべき」「ルールはこうだから」とか、そういうことにすごく執着心を持っているんです。それはキャリアでは生かされる面は多々あったと思いますが、育児においては予定通り進まないことの連続。コントロールができなかったり、うまくいかなくて四苦八苦しているギャップが、中谷というキャラクターの一番の「萌えポイント」かなと思っております。
眼鏡の持ち上げ方ですかね。フィッティングの時からたくさんの眼鏡をトライしたのですが、こういう眼鏡はかけたことないな、というのが、劇中でかけているものです。眼鏡を指でどう押してクイッとやるのか「今のは眼鏡に触れるタイミングが早すぎましたね」など、意外な演出指導がけっこうあります(笑)。
父と子の関係性というのはこれまでも演じたことはあったのですが、ここまで家事にフォーカスを当てた役柄というのは初めてでした。家事や子育てというのは、そこにドラマを生み出すこと、繊細な機微を作るのが難しいテーマだと思います。
ド派手な合戦シーンがあるわけでもないし、ファンタジックな、ロマンチックなラブストーリーというわけでもない。もちろん、どんな物語も生命があってこその感情の起伏があると思うのですが、“命をつないでいく”ところのリアルな部分、手作業の地味な、ともすれば何も変化のない退屈な日々に思えてしまう部分。でも確実にそこには変化が生まれているという、少しずつの葛藤や苦悩、喜びや達成感をここまで解像度高く演じることは初めての経験です。監督から緻密な指導をいただいて、ハッとさせられたり、自分では気づかなかった一面を引き出してもらっています。
まず1人のプロとして手加減をしない。基本敬語で話しかけるところに始まり、といっても何にもお返事がないので(笑)、仲良くなるために僕が着ている服のボタンを「このボタン押してね」と下から順に押してもらって、一番上まで押した時には抱っこをするということをよくやっています。
あとは着替えている途中に廊下に走り出したりするんですよ。まだ2歳児なので自然のままというか、転んでケガをするんじゃないかというぐらいの猛スピードでダッシュして(笑)。それをスタッフの皆さんが追いかけるという光景が最高ですね。スタッフさんは大変だと思いますが、愛おしいです。
公園でのシーンが多いのですが、公園をこんなふうに遊び倒すというか、使い倒すことができるというのは発見でした。パンダに見えないパンダの乗り物に乗ったり、うさぎに座ったほうがかわいいのではないか、と真剣に議論をしながら(笑)。いい現場です。
多部さんとニックネームの話になって「撮影現場ではなんて呼ばれますか? フジオカさんですか?」「どうしてディーンというお名前なんですか?」と。それで多部さんがご自身のニックネームはないとおっしゃるので、だったら「タビィー」でいいんじゃないかと、そこから僕の中で多部さんは「タビィー」になりました(笑)。
演技の面はもう、安定感抜群です。さすがすてきなお芝居をされるなと思って。演じる子どもたちは眠くなったり機嫌が悪くなってしまったりすると、泣き出したり、野獣というか、猛獣というか、とんでもないことになるんですが、多部さんはいつも安定していて。だから「猛獣使いのタビィー」ですね。
多部さん演じる詩穂と中谷は基本的にすれ違うんです。同じ空間にいるのにずっとかみ合わないみたいな。絶妙なズレみたいなものを、お互いに感じながらやっているのかな、と勝手に思っています。1つひとつのシチュエーションの中で、掛け合いのような間の取り方だったり、2人で歩いてしゃべっていても目が合わない、考え方が交差しない。
今回の作品のお芝居は、顕微鏡でやる作業に近いイメージです。日常の中でそれぞれの生い立ちのトラウマと向き合うところもあって、少し独特。中谷も詩穂も自分の中にそういう重しがあり、それを引っ張りながら、溜めながら生きている。それを大っぴらにはせず、でもちゃんと表に見せなくてはいけない部分は見せるという作業をずっとやっています。撮影の合間には、お互い好きな車の話などをしています(笑)。
これから共演シーンを撮ることになっているので楽しみです。江口さんとは同い年だと思うので、勝手にもっと仲良くなりたいなんて思っています。
第2話の見どころは中谷の“異物感”でしょうか。この物語には1人ひとり個性豊かなキャラクターがたくさん登場しますが、第2話においての中谷の“空気読めない感”というか“場違いな感じ”が、個人的には滑稽な存在のままでいてほしいと思っています。
原作の物語がドラマになることで、こういう楽しみ方があるのかと視聴者の皆さんに体感していただきたいです。この作品がエンターテインメントとして楽しめて、そこに学びや気づきがあるということ。家族の数だけいろいろな選択肢があり、それが人を救う時もあれば、逆に苦しめてしまうこともある。はっきりとした答えがない中で、日々模索しながら暮らしているあらゆる世代、性別、どんな背景の方々にとっても、自分事として楽しめるドラマになっていると思います。
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