ばけばけ:波乱の第15回 注目度のピーク75.0%は暴力を傳が目撃? トキの出生の秘密? 傳との別れ?

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第15回(10月17日放送)で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、第15回の最高値は午前8時6分の75.0%だった。

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 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇見どころ多い第15回 注目度は4度の“山”できる

 朝ドラは、1週ごとにその週の物語が完結を迎えることが多く、「起承転結」の「転結」が金曜に集中にしがちだ。「ばけばけ」の第15回も、第3週「ヨーコソ、マツノケヘ。」のフィナーレとなる回。次々と見どころがやってくる、“山場”がたっぷりつまった内容だった。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた注目度は、序盤から終盤まで大きく上下しながら、4度“山”を作った。うち3度は70%台という比較的高い注目度を記録した。

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 第15回は、トキ(高石さん)の献身もあり、傳(堤真一さん)の食欲が少し戻ってくる話題で始まる。体調に回復の兆しが見られ、ひょっとして明るい展開になるのだろうかと思わせるスタートだ。

 オープニング後の午前8時3分に記録した72.8%が最初の“山”。工場では、検番の平井(足立智充さん)による厳しい品質検査が行われている。失敗が続くせん(安達木乃さん)に激怒した平井が、ついせんの頰をたたいてしまう。

 その瞬間を、久しぶりに様子を見に来た傳がたまたま目撃。傳は工場の惨状を嘆き、三之丞(板垣李光人さん)に事態の説明を求めるが、その途中で腹部を押さえて倒れてしまう。このあたりが午前8時3分台。一気に、ドラマが急展開し始める「転」の場面だ。視聴者の注目度が急上昇するのもよくわかる。

 ◇最高値は午前8時6分の75.0% “松野家の秘密”が明かされる一連の場面

 三之丞は傳の問いに「無理ですよ、今さら。いつも兄上ばかりで何も教わっていない。声すらかけてもらったことのない三男坊が、都合よく駆り出されたって」と本音を吐露し、トキが傅とタエ(北川景子さん)の娘であることを暴露する。

 注目度はいったん63.8%まで下がるが、午前8時6分には、この日の最高値75.0%まで一気に反転。午前8時7分の73.0%と合わせ、2分続きで70%超となった。

 「手放した分、いとおしくなるのなら、私もよそで育ちたかったです」。三之丞が傅とタエに、ようやく率直な思いをぶつける。ここからが午前8時6分台。トキの出生の秘密が本人に明かされ、三之丞の中に蓄積されていた黒いものが一気に吐き出された衝撃の場面だ。

 三之丞はトキに「ごめん。急にこんな話して……」と謝罪する。長い沈黙の時間があって、トキがぽつりとつぶやく。このあたりから、午前8時7分台に突入する。

 「もう知っちょるけん」「知っちょります、全て」。三之丞が思っていた答えとは違ったのだろう。続けて「私がおじさまとおばさまの子供で、松野の父と母は育ての親だということでございます。誰に聞いたわけではございません。ですが……自然とそうなのではないかと」と明かす。

 第1週からくすぶり続けていた“松野家の秘密”。少しずつ明らかにされてきたが、やはりトキは全てを察していたということがわかった瞬間だった。

 ◇3回目の“山”は傳との永遠の別れ

 傳は気力を振り絞り、「そうか……。じゃったら言おう。お前は……わしとおタエの子ではない。松野司之介と松野フミの子じゃ。産まれた時から、そしてこれからも、ずーっと……」と語りかけた。トキは「そのことも知っちょります」と答える。

 この辺りは注目度がやや下がり、3回目の“山”の午前8時10分(72.7%)を迎える。

 傳はタエと目を合わせると小さくうなずき、そのままタエの膝に倒れ込み、帰らぬ人となる。倒れこむあたりからが午前8時10分台。三之丞は「父上」と声をかけながら寄り添うが、タエは何もできない。黙って見守ることしかできないトキがかわいそうな場面だ。後半は場面が変わり、トキが帰宅した松野家での風景に変わる。

 ◇取り乱し方が分からない! トキの号泣でもう一度注目度上昇

 「立派に勤め上げた」。トキの献身的な介護をたたえる松野家一同。トキは「ちょっと一人になりたい。一人になって取り乱したい」とお願いする。許しを得たトキは「なら、取り乱してくるけん」と力強く言うと、司之介(岡部たかしさん)が「好きなだけ取り乱してこいよ」と返す。相変わらず、楽しい松野家の会話だ。

 表に出て一人になったトキだが、どうしたら、この感情を発散できるのかわからない。この後が4回目の“山”となった午前8時13分台(69.0%)だ。

 「おトキ」。背後から声がする。幼なじみの野津サワ(円井わんさん)だ。「取り乱したいんだけど、取り乱し方が分からないの?」「教師目指しちょるけん、知っとんじゃない」とトキが尋ねる。この辺までは13分台だ。

 サワが「いや、そげな。そもそも学校で取り乱し方……」と答えるや否や、トキは号泣する。この辺は午前8時14分台だった。

 「工場での暴力を傳が目撃」「出生の秘密を実の父母の前でトキ本人が知る」「傳の死」「トキの号泣直前」とそれぞれの見どころで、しっかり視聴者の視線をクギヅケにしていた第15回だった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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