高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説（朝ドラ）「ばけばけ」（総合、月～土曜午前8時ほか）の第43回（11月26日放送）で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか？　テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」（REVISIO社調べ、関東地区、速報値）の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時0分の71.8％だった。

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朝ドラ「ばけばけ」徹底特集！　高石あかりがヒロインに

　「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン（小泉八雲）だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

　◇最高値は午前8時8分の71.6％　「サイレント！」とヘブンがトキに激怒

　テレビの前の視聴者のうち、画面に視線がクギヅケになっていた人の割合を示す「注目度」はこの日、前半戦はやや低迷したものの、折り返し点を過ぎた午前8時8分以降の後半戦は比較的高い注目度が続いた。中でも特に高くなったのは後半戦の最初と最後だ。

　第43回は、知事の江藤（佐野史郎さん）から、リヨ（北香那さん）がヘブン（トミー・バストウさん）と恋仲にならないよう命じられた錦織（吉沢亮さん）は、そのサポートをトキ（高石さん）に頼む。リヨからは、ヘブンとの恋の応援をすでに頼まれていたトキは板挟みになってしまうという話だ。

　オープニングまでの序盤は、錦織がトキを訪ね、リヨとヘブンについて協力を求める場面。午前8時1分の65.6％が最高で、全体的に注目度は低い。

　オープニング後は、司之介（岡部たかしさん）がトキに仕事の近況を尋ねる松野家の朝の団らんの場面。この後、トキがヘブンの家で女中の仕事を始める午前8時8分から一気に注目度が上昇する。まず午前8時8分（71.6％）と午前8時9分（71.1％）は2分続けて70％を超えた。

　午前8時8分は、トキがウグイスのえさをすり鉢で作っていると、手が滑り、すりこぎを飛ばしてしまう。壁につるしたまな板などに当たり、大きな音が発生。ヘブンが書斎からやってきて、「音をたてないで」と激怒する。そんな8分台の71.6％が、この日の注目度のピークだった。

　続く午前8時9分はヘブン宅に来客がやってくる。ヘブンに叱られ、ブードゥー人形に感情をぶつけていたトキが玄関に出てみると、来客はリヨだった。錦織の頼みもあり、必死に門の外まで押し返し、会話を始めるトキ。「ヘブン先生にお目にかかりたいんですけど」というリヨに、「きょうは……あいにく……」と愛想笑いでごまかすあたりまでが9分台だ。

　◇リヨはトキと一緒に八重垣神社へ　恋占いの結果は？

　騒動を巻き起こすリヨの登場で、注目度は大きく下がらない。午前8時10分以降は、ヘブンが散歩に出かけたとトキがうそをつく。リヨも納得してこれで帰ってくれるかと安心したトキに、リヨは頼みごとをする。行きたい場所があり、「ちょっと今からご一緒してくださらない」というのだ。注目度はすぐ67％台まで下がるが、大きく下がることなく、再び上昇し始める。

　リヨとトキが訪れたのは、縁結びで有名な松江の八重垣神社。境内の「鏡の池」で硬貨を乗せた占い用紙をそっと浮かべると、沈むまでの時間や沈む場所で恋愛の成就が占えると言われている。トキは「ばけばけ」第5回で友人たちと訪れ、トキの用紙だけがなぜか一向に沈まず、どんどん遠くへ流されていくのをトキが呆然と見つめるというシーンがあった。

　注目度は占いを始める午前8時12分ごろから次第に注目度が上昇。午前8時14分には70.9％と再び70％超を記録した。遠くアメリカからやって来たヘブンを思い、リヨが「遠くで沈んで」と祈る横で、トキはヘブンからもらったブードゥー人形を手に「沈め、沈め……」とつぶやく。しかし、心の中では「沈むな……沈むなら近くで」と祈る様子に、蛇（渡辺江里子さん）と蛙（木村美穂さん）は「あら、今度は沈むなって言ってる」「完全に板挟みね」とツッコミを入れる。リヨとトキの必死の形相が楽しい場面だ。

　トキの場合と同様、占いの結果は明日に持ち越し。第5回は恋占いの場面のラストに当たる午前8時14分台がその日の最高値だったが、第43回はわずかに午前8時8分と午前8時9分に届かなかった。

　ちなみに八重垣神社の恋占いは今も多くの観光客が立ち寄る人気スポット。八重垣神社は松江市中心部から、車で15分程度の山あいにあり、実は松江の中心からは少し離れた場所にある。リヨが「車（人力車）で行きましょう」というのも納得の距離だ。

　八重垣神社の主祭神は、須佐之男命（スサノオノミコト）と稲田姫。ヤマタノオロチを退治し、稲田姫の命を救った須佐之男命は、夫婦となる。縁結びの神と崇拝されるのはそのためだ。境内奥の佐久佐女の森は、稲田姫を隠し、ヤマタノオロチから守った場所とされる。リヨが占いをやっていた「鏡の池」もこの森にある。

　ちなみに占い用紙は現在、1枚100円。10円または100円を乗せて水に浮かべる。神社の公式サイトによると、15分以内に沈めば、早く沈む（＝縁が早い）と判断していいらしい。松江を訪れた際には、ぜひいかがだろうか。

　活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。（文・佐々本浩材／MANTAN）